メモの魔力
メモをとると、あらゆる日常の出来事を片っ端からアイデアに転換できる。一見価値のなさそうな、普通の感覚では誰もがスルーしてしまう小さな事象でさえ、メモすることで、それはアイデアになる。メモの魔力は日常をアイデアに変える。
また、メモの対象を「自分自身」に向けることで「自分とは何か」も見えてくる。つまり、自己分析が深まる。多くの人は自己分析を中途半端に終えてしまって、自分のことを深く知らないまま、物差しのないまま、流れに身を委ねて日々を漫然と過ごし続けてしまう。
しかし、自分のことがわかっていると、明確な価値観や死生観に沿って、正しい方向に向かってオールを漕いでいくことができる。生きるという航海を正しく進めるための指針「人生のコンパス」を手に入れることができる。
メモは新しいアイデアを生み出す
メモやノートは、記憶させる「第2の脳」である。いわば「外付けHDD」として、あとで検索できるように書く。第2の脳である外部HDDに記憶の部分を頼ることで、空いた自分の脳の容量を、創造力を要することに目一杯使う。第2の脳に蓄積したファクトが、第1の脳で新しいアイデアを生む際の種になることもあるため、気づいたら何でもメモをしておくという意識が、創造力を高めるための第一歩である。
すべてのアイデアは、普段、無意識に通り過ぎてしまいそうなことに目を向けて、逃げずにそれらを「言語化」することで生まれている。その知的生産の過程を「メモ」と呼んでいる。この人間にしかできない知的生産活動こそが、仕事の真髄である。
メモは姿勢である
何らかの目的を持って、日々、あらゆる情報に対して、毛穴むき出し状態でいられるかどうか。身の周りのあらゆる情報にアンテナを張り、そこから何らかの知的生産を行う意識を持てているかどうか。この弛まぬ知的好奇心と、知的創造に対する貪欲なスタンスこそが、最も大切にすべき基本姿勢である。
アイデアを生み出すメモの書き方
・原則:ノートは「見開き」で使う
①左側ページに「ファクト」を書く
どこかで見聞きした客観的な事実を書く。キーワードを書いたら、それに丸をして、関連ワードを周りに書いていくのもお勧め。
②左のページ1/5くらいのところに縦線を引き「標語」の列をつくる
ファクト欄に書いたことをグルーピングして「要は何の話か」というエッセンスをまとめて一言で表現したり、そこにキャッチーなネーミングをする。
③右ページを左右半分に分ける
④右ページの左半分に「抽象化」した要素を書く
左ページの「ファクト」を見つめて、そこで書かれている具体的な内容を「抽象化」する。抽象化すべき要素を見つけたら、そこから右半分に矢印を引っ張って、対応する抽象命題を書く。
⑤右ページの右半分に「転用」の要素を書く
抽象化した気づきを別の何かに適用して実際に行動を変えるための「転用」の要素を書く。「○○という真理・命題を受けて、これをこう変えてみよう」という、実際のアクションにつながる粒度まで落として書くことが重要である。
「ファクト→抽象化→転用」という一連の流れが、知的生産メモにおける最大のポイントである。
物事を抽象化する方法
一番重要なのは、抽象化する際の「問い」である。
①What型:物質軸、関係性軸
②How型:特徴型(どんな)
③Why型:ヒット軸(当たった理由は何か)、インサイト軸(本当は何が言いたいか)
この内、②と③の価値が高い。あらゆる具体事象に対して「どんな?」「なぜ?」と問うことを癖にしていくことが重要である。