上司ガチャとは
「上司ガチャ」とは、配属や配置転換、異動などに伴い、特定の上司のもとにつくことを指す言葉である。一般的には「上司は選べないもので、いい上司に当たるかどうかは運次第」という意味合いで使われている。会社という組織に属している限り、上司ガチャを引く機会は何度も訪れる。
部下の立場から上司を選ぶことはできないし、ハズレだったからと言ってやり直すことはできないのが一般常識だ。しかし、上司ガチャは、決して運だけで決まるものではないし、一生懸命努力すれば、自らの手で上司を選べるようになる。そして、ハズレを引いてしまったとしても、それなりの対応策があり、どの上司につくかによって成長スピードは大きく変わってくる。
部下の方が上司をリードせよ
上司ガチャでハズレを引いたと感じている人の多くは、「上司なのだから、部下である自分の強みを深く理解して、適切に引き出して欲しい」と思っているだろう。だからこそ、「どうして自分のことをわかってくれないのか」などとモヤモヤしているのではないか。
しかし、「自分の強みを理解して活かして欲しい」と上司に期待しても決して叶わない。大抵の上司は、部下の強みを深く理解し、適切に引き出せる力なんて持っていない。そもそも上司は忙しく、1人1人の部下に目を向ける余裕もない。上司というのは「自分をわかってくれる万能な存在」ではなく、自分と同じ、単なる1人の人間に過ぎない。
だからこそ必要となるのは、「自分のことを理解させる努力」ではなく、「上司の強みを自分から理解して、そこに自分を合わせにいく努力」である。
一口に上司と言っても、色々なタイプの人がいる。もし「上司と合わない」と思えば、まずは自分の上司がどんなタイプでどんな人間なのか、その上司を冷静に観察してみることだ。上司の強みと弱みを理解すれば、上司の活かし方がわかるし、部下として弱みを補完することもできる。
「自分を活かしてくれ」という受け身の姿勢は捨てて、積極的に上司を利用するという姿勢にシフトチェンジするのだ。
自分が上司に何を求めているかを考える
ガチャには「レアリティ(レア度)」という概念がある。上司ガチャの場合、自分にフィットした「理想の上司」が「レアリティの高い上司」となる。このレアリティは、自分で高めることができる。そのためには、まず自己分析することが重要となる。
- ワークライフバランスを重視して、ほどほどの働き方をしたい
→ワークライフバランスを重視している上司 - 忙しくてもいいから、とにかく稼げる仕事をしたい
→厳しいノルマを課し、稼ぐための道を示してくれる上司 - ビジネススキルを高めて、どこでも通用する人材になりたい
→とにかく仕事ができて、部下の成長のために時間を割いてくれる上司 - 営業力を磨き、カリスマ営業になりたい
→カリスマ営業として活躍している上司 - 仕事は可能な限り抑えて、人生を謳歌したい
→ビジネスライクに「仕事仲間」として接してくれる上司
「自分は何を理想としているのか」「その理想を叶えるためには、どのような上司が適しているのか」を考える。自己分析を行い、上司の情報収集を徹底的に行うことで、ガチャで当たりを引ける可能性は上がる。
上司ガチャの機会はたくさんある。成長するために「上司ガチャ」を「与えられた運命」として嘆くだけではなく「自分で未来を切り開くためのチャンス」として捉えること。
上司ガチャをチャンスに変える3ステップ
上司ガチャを意味あるものに変えるには、次の3つのステップが有効である。
①上司のデータを集める
自分から食事や飲みに誘うなどコミュニケーションを取れば、上司がオフの時間、どんなスタンスでいるのかが見えてくる。上司が職場で見せる姿は「オン」で、それは一面に過ぎない。データを集めるコツは次の3つ。
- 戦略的な飲みニケーション
- ストレングス・ファインダーの活用
- かわいがられ力を磨く
②上司の強みと弱みを書き出す
上司のことをとことん理解しようという姿勢で相手のことを調べ尽くし、強みと弱みを書き出していく。上司の経歴や出身校、誕生日、血液型、出身地や家族構成、好きな芸能人や好きな本にテレビ、休日の過ごし方など、執拗に相手のデータを書き出していく。それに慣れてきたら、「スキル面」「マインド面」「仕事」「プライベート」などグルーピングできるようになる。
③上司の資質を見極め、「継続」と「チェンジ」をジャッジする
上司の本当の姿はどのようなものか、冷静に客観的に見極める。その資質を見極めた上で、この上司についていくのか、配置換えを目指すのかをジャッジしていく。基本的には「継続」の方向で考えることがポイントだ。組織において「チェンジ」はなかなか実現しにくいし、「継続」という結論があってこそ、努力次第で上司に合わせて成長していけるからだ。