コンサル0年目の教科書 誰も教えてくれない最速で一流になる方法

発刊
2023年8月25日
ページ数
240ページ
読了目安
242分
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経営コンサルタントとして成果を出すための仕事術
戦略コンサルタント会社ドリームインキュベータを設立し、代表取締役を務めた著者が、経営コンサルタントが成果を上げるために必要とする仕事のコツを紹介している一冊。

テクニックや知識によらず、汎用的に使えるコツを学ぶことこそ、成果を上げるために必要であると説き、経営コンサルタントとして知っておくべき本質的な仕事のコツが書かれています。

シンプルに使える戦略的思考と成果を上げる仕事の進め方がわかりやすく解説されており、すぐに役立てることができます。

仕事はテクニックではなくコツで覚えよ

人のあらゆる活動に関わるノウハウには、次の3つのレベルがある。

  1. 意気込みでやる
  2. 手法、テクニック、知識でやる
  3. コツでやる

達人と呼ばれる人たちは皆、3のレベルで物事を会得する。2と対比させると、このレベルで身につけたノウハウには汎用性があるし、さらに一度覚えたら決して忘れない。

経営コンサルタントとして生きていくには、煎じ詰めれば「知恵を出せるかどうか」。その知恵を出すための基本原理は、物事の本質をつかむことで、そこからコツを引き出し、しかもそのコツをしっかり会得することである。

 

テクニックや手法のようにお勉強形式で身につけるのではなくて、気づきによって学んでいく、わかっていくのがコツというものである。デキる人と一緒にいて自ら感じ取ったことを信じる。自分でやってみて気づいたことを大切にする。こちらの方が、人から教えられるよりも格段に身につくし、仕事の役にも立つ。

手本になるようなデキる人をしっかり観察し続けている内に、それまで蓄積した様々な「気づき」が一気にブレイクしたごとく、学習能力にグンと加速度がつく瞬間が訪れる。その時のポイントは、お手本を1つ1つ細かな要素に分割して考えずに、全体のイメージで捉えて学ぶこと。知識として学ぶのではなく、自分の気づきから学ぶことの2点である。

 

戦略の二大要素

戦略の基本は次の2つに尽きる。これを正しく理解しておくと、非常によく戦略が見えてくる。

 

①差別化が利益を生む

どんなにすごい商品を作ったとしても、同じようなもので競争すれば、必ず叩き合いになって利益が出なくなるというのが、ビジネスの世界の常である。逆にどんなに馬鹿馬鹿しいものでも、他の人が作れないものであれば利益は出る。この基本中の基本が意外と見過ごされている。というのは、これが利益ではなく「売上」になると話は別だからだ。
売上は世の中にたくさんのニーズがあるかどうかで決まる。しかし、それを他でも作れたとしたら、いつか必ず「儲からない」という事態に陥ってしまうのが競争原理である。したがって、戦略を考える時には、相対性というものが重要になる。

 

②戦略とは資源配分である

戦略を立てたからといって、資金力が増したり、商品開発能力がアップするわけではない。所詮、戦略というのは、今会社が持っているものをどう組み合わせるか、でしかない。どこかから手を抜いて、その分をどこかに集中させることで、結果としてより大きな成果を得る。戦略の本質はこれだけのことだ。

よくありがちな、アイデア満載で、あれもこれもみんなやりましょう、というのは戦略ではない。企業体力がない、人がいない、お金がないというなら、そういう会社ほどより戦略が必要になるのである。偏った資源配分をするのが戦略だと言える。

 

戦略づくりの五大ポイント

次の5ポイントをマスターすると、戦略的思考のレベルを高めることができる。

 

①マクロの視点で考える

マクロの視点で業界全体を眺めてみると、やっていることや商品は個々に違っていても、そこには厳然たる共通性があることが浮かび上がってくる。

  • V字カーブ
    縦軸が利益率、横軸が売上高。「売上高は低いが利益率は高い」ゾーンと「売上高も利益率も高い」ゾーンにいる企業は今後も生き残る可能性が高い。どちらにも属さない中途半端な企業は生き残っていない

 

②問題の切り口を変えてみる

どこの企業も従来の業界の統計を使って分類したがる。そういう統計の取り方、分類の仕方だと、つまらない形のポートフォリオができあがる。そこで従来はやっていなかった商品グレードで分類をしてみる。切り口は絶対に見つかると試行錯誤するしかない。

 

③よくよく競争を考える

世の中では意外と競争を考えていない。例えば商品をつくっている人は自分の商品が一番だと思って、現実の競争を甘く考えてしまっている。戦略をつくる時には、常に競争を意識しておかなければならない。

  • 平均コストの罠
    縦軸が利益率、横軸は顧客または商品。どの会社でも儲けさせてもらっている顧客や商品がいて、一方では儲けが出ない顧客や商品を抱えている。両者をトータルするとなんとかプラスになって利益が出ているのが普通である。この時、フォロワーはナンバーワンの利益率の高い顧客に同じ製品を値引きして売ると勝利できる。

 

④トレードオフを考える

どんな会社でもあらゆることをすべてやることはできないから、何か1つのことをやるべきか、やらざるべきか、これをいつもトレードオフで考える必要がある。トレードオフの対象が明確になっているほど簡単ではないので、議論する時には「定量化」が必要となる。

 

⑤議論には定量化が不可欠

何事も数字に落として、初めて議論になる。トレードオフの議論をするにも、競争を考えるにも、その前の切り口を変えるにしても、定量化しないで定性的なまま話し合っていたのではまとまらない。