いい答えが返ってきたら、いいリアクションで返すこと
それほど興味のない取材をやる事になったとしても、その相手の著書なりブログなり雑誌記事なりを読み漁れば、どこか好きになれるポイントが出てくるもの。そんな「よかった探し」の精神で今まで仕事をしてきた。
嘘をついたら絶対にボロが出るから、相手のいいところを探して、そこを好きになって、本当に心から興味を持って聞くこと。そして、いい答えが返ってきたら、ちゃんといいリアクションを返すこと。
興味を持てない相手には愚痴から入れ! 重くても受け止める度量が必要
「人の話を聞くにはどうすればいいですか?」と質問されると「相手に本気で興味を持つこと」と答えるようにしているが、先日「じゃあ、興味を持てない相手と話す時は?」と聞かれて、こう答えた。
「そんな時は愚痴を聞けば大丈夫!」と。人はみんな誰かに愚痴を聞いて欲しいもの。たとえその問題は解決しなくても、モヤモヤしている事を口に出す事で少しはスッキリできるはずなのだ。
インタビューの極意三か条
①本人より本人に詳しくなる②サプライズを持参する
③敵じゃない事を伝える
全く知らないエピソードを引き出すための「受け身」術
「プロインタビュアーを名乗るとハードルが高くなっちゃって大変じゃないですか?」と言われるが、実はそうでもなかったりする。とりあえず堂々としてさえいれば意外と何とかなるもの。
インタビュー中、あえて無言になる事で相手にプレッシャーを与えて、簡単に終わらせるつもりだったかもしれない話の続きを、強引に聞き出す技術をたまに使う事もある。あまりに堂々と、「プロインタビュアー」を名乗る男が不敵な笑みを浮かべながら黙り込んで何かを待つ事で相手に「やっぱり話さなきゃ駄目か。きっとすべてお見通しなんだろうし」と思わせる、そのための最大の武器と言うべき肩書きなのだ。
普通なら聞きにくい話にどれだけ踏み込むか
「大ベテランの俳優さんを取材する時、代表作品を観るだけでも大変だと思うのですが、どうしてるんですか?」とか聞かれる事も多いが、答えは簡単。「全く観ないですよ」の一言である。
そんなの本気で観ようとしたらきりがないし、短期集中型で知識を詰め込んだところでボロが出るに決まっている。だから、作品論みたいな事は映画に詳しいライターに任せておけばいい。むしろ、やるべき事は普通なら聞きにくい話にどれだけ踏み込むかって事だ。
空気が悪くなるとしても、引かないところは絶対引くな
恋愛でも何でも、嘘をつき通すのは本当に難しい。自分がどんな嘘ををついたかなんていつまでも覚えていられる訳がないし、そもそも嘘なんて大体ディテールが甘いから確実にバレる。なので、インタビューする時のモットーは「嘘をつかない」事だ。
だから、映画の宣伝の取材であっても、その作品がイマイチだった場合は「面白かったです!」とは絶対に言わない。「あのシーンが良かったです」とかピンポイントで褒めるべきであり、そうする事で「いつも仕事で映画を観るとしんどい思いをする事が多いんですけど、これは本当に面白かったです」と、たまに言った時、そこにリアリティが出るし相手も喜んでくれる。
心を開かれすぎず適度に突き放す、この距離感が大切
取材は「あなたの敵じゃないです。心を開いてくれたら力になれるかもしれないですよ」というスタンスで相手に近づいていき、実際に心を開いてくれたら確実に面白いインタビュー記事にしてみせるけど、「しかし、あんまり信用されすぎても困るので、実は味方でもないです」と、適度に突き放す。
初対面で相手の懐に飛び込むための手段として本人も持ってないようなレアグッズや著書を持参して、それをプレゼントしたり、ブログを死ぬ気で読み込んだりするけれど、友達みたいな距離感になったら慣れ合った感じの刺激のないインタビューになるはずだし、そもそも下手に信用されて「あなたは口が堅いだろうから」って事で洒落にならないオフレコ話とかされるのが一番困る。原稿にできなくてイベントでも話せないような内緒話なんて、教えてもらったところで意味もないのである。なので、「あの人に話したら一気に広まっちゃうかもしれないけど、でもちゃんと聞いてくれるから、つい何でも話しちゃう」ぐらいの関係性を作るべきである。