レジリエント・カンパニーとは
レジリエンスは、直訳すれば「耐性」「回復・復元力」「柔軟性」「適応力」「ストレスを跳ね返す性質」を意味する。日本後では「しなやかさ」が最もイメージに近い。
予測性が低く事業環境の座標軸が動く時に、企業の柔軟な対応力が問われる。組織として、環境のストレスを前に折れてしまうのか、それとも次なる発展のきっかけを掴んでいけるのかが、盛衰を分ける決め手となる。
レジリエント・カンパニーとは、危機に直面した時の回復力が高く、事業環境の変化に柔軟に対応し、そのストレスや不確実性の中から、次なる発展のきっかけを見出し、社会全体の健全な営みに資する行動をとる企業をいう。
レジリエント・カンパニーの特徴
①アンカリングができている企業としての「拠り所」があり、社員と顧客を惹き付ける魅力がある。危機に直面した時の判断基準(価値観)、何のために存在しているか(使命)、どこへ向かおうとしているか(展望)が不鮮明であれば、団結力は生まれないし、市場における本当の意味での差別化も図れない。さらに、価値観、使命、展望を生きたものにするためには、組織内に信頼関係があり、社会から信用される必要がある。
②自己変革力が高い
自己変革力とは、事業環境の変化をいち早く察知し、自ら戦略や商品ラインナップを刷新するだけでなく、カルチャーや組織の在り方も柔軟に変える能力の事をいう。この中には、ダイナミックで開かれた学習(人財育成)、創造性と革新力を引き出す組織的な仕掛け、そして、内外の協働やパートナーシップによる新しい研究開発への挑戦が含まれる。つまり、創造性と革新力を引き出す組織をつくれるか否かによって、競争力が大きく左右される。
③社会性を追求している
レジリエント・カンパニーが追求している社会性は単なる「企業の社会的責任(CSR)」とは異なる。社会全体の方向性と自社の戦略・行動のベクトルの整合性がとれているかどうかを意味している。倫理的な行動に徹し、高いレベルの企業統治を目指す事は必要不可欠だが、これは土台や出発点に過ぎない。
レジリエンスを高めるために欠かせない7つの行動
①価値観と使命を活かす「利益追求を超えた使命」を日々の行動に活かしているか否かが決定的に重要になる。会社が最大の力を発揮できる時は、情熱と使命感を共有しているコミュニティのような存在として機能している時だ。
②信頼を積み上げる
組織内の信頼関係が深ければ、会社の戦略を信任する空気が生まれ、多少無理な目標も一致団結して挑む事が可能になる。
③ダイナミックに学ぶ
環境の変化を理解するために、内外の垣根を取り払った学びに力を注ぎ、創造性を高めるために問題解決能力を高めるダイナミックな学習を志向する。
④創造性と革新力を引き出す
社内から広く創造性を引き出すための仕掛けが重要性を増している。開かれた学習環境に加え、継続性ある効果的な仕組みを設ける必要がある。
⑤研究開発を一新する
内部と外部のアイデアの活発な循環を踏まえ、各プレイヤーの強みを活かしつつ、自社内だけでは発見しきれなかった有望なシードを見つけ、機動性の高いイノベーションを実現する。
⑥トレード・オンにこだわる
トレード・オフを乗り越え、トレード・オンを目指し、社会に広く受け入れられる。
⑦ブランドをつくり変える
従来型の品質や性能的な側面に加え、トレード・オンに本気で取り組んでいる姿勢を、会社の行動と商品の特性によって実際に示す。