THE POP-UP PITCH 最もシンプルな心をつかむプレゼン

発刊
2023年5月24日
ページ数
256ページ
読了目安
280分
推薦ポイント 8P
Amazonで購入する

Amazonで購入する

ストーリーで人を動かすプレゼンのメソッド
ハリウッド映画のストーリーの構造として有名な「英雄の旅」をベースに、人の心を動かすプレゼンテーションをするためのフォーマットを紹介している一冊。

絵と文章で、ストーリーのアイデアをまとめ、ポジティブに人を動かすためのストーリーを構築するためのシンプルな方法が書かれています。

プレゼンテーションで大事なこと

より良いプレゼンテーションを行う上で大事なのは、人間に詳しくなることだ。人の注意を引くことが難しい今の時代、必要となるのは「ポジティブな説得」だ、人を前向きな気持ちにさせる言葉を使って行う説得は、人々の注意を奪おうとするどんなものよりも光り輝く。

聞き手を前向きな気持ちにさせたいなら、次の3つのメッセージを心から信じ、それらをぶれずに伝え続けなければならない。

  1. 聞き手に関する話である(聞き手にメリットがある)
  2. 聞き手自身がそれを望んでいる(真実を知るのはいいことだ)
  3. 聞き手がそれを手にできる(やればできる)

 

伝える時は、最も重要な部分を凝縮し、できるだけ簡潔に伝える。聞いている人たちが「言う通りにすれば、仕事や人生が今以上に良くなる」と思える伝え方をするのだ。とりわけ、語っている人は自分と同じ人間で、これは自分にも関係する話だと聞き手に思わせることが重要になる。

 

シンプルなストーリーでアイデアを共有するメソッド

そこで必要になるのが「ポップアップピッチ」だ。いくつかのスケッチを添えてシンプルなストーリーという形でアイデアを共有すると、相手に明確に伝わり、相手は安心感や人の温もりを覚える。このメソッドの核となる部分は次のようになる。

  1. 2時間の準備。絵を描き、文章を書き、考える
  2. 10ページの展開でメッセージが明確に伝わるストーリーをつくる
  3. 7分のプレゼンテーションを行う

 

シンプルな絵で下準備をする

説得力のあるストーリーは、既に自分の頭の中にある。これを絵や図にして、呼び起こすのが「ビジュアル・デコーダー」というツールだ。このツールを通じて所定の順序でシンプルな絵をいくつか描く内に、これまでは見えなかったアイデアの新たな一面が目に入り、自分が知っていると認識すらしていなかった要素やつながりに光が当たり、新たな気づきを得られるようになる。

 

ビジュアル・デコーダーは四つ折りにした単なる紙にすぎない。折った紙の外側が表紙と裏表紙、内側が4つのパネルとなり、以下の構造となる。

  1. 表紙/タイトル:これから掘り下げる問題、機会、ストーリーを記す
  2. 人/もの:ストーリーに登場する人物は誰で、登場する物理的なものは何か
  3. 場所:ストーリーが展開される場所はどこか?
  4. 数:ストーリーの主要な要素を数で表せるとしたらいくつになるか?
  5. いつ:ストーリーの中で起こる、知ってもらいたい大きな変化や出来事は何か?
  6. 裏表紙/教訓となること:このストーリーが教える大事な教訓は何か?

この6つのパネルを絵や文字で順に埋めていく。絵はシンプルかつ大雑把に手早く描く。これを完成させれば、頭の中にあるストーリーに対する理解が深まる。そして、最終的につくるポップアップピッチの核心である、それを伝えたい「理由」がその時点で明らかになる。

 

10ページピッチをつくる

プレゼンテーションで一番大切なことは、自分のプレゼンに注意を向けてもらうこと。そのためにはストーリーを語ればいい。

聞く人の説得を目的とするピッチにとって、理想的なストーリーは「波乱はあっても最後は上がるストーリー」だ。この構造は「英雄の旅」と言われ、ハリウッド映画におけるストーリーの主力構造である。英雄の旅の展開は、確実に人の心を動かす。

 

このストーリーがつくれるようになるフォーマットが「10ページピッチ」である。10ページピッチで語るストーリーは「始まり」「中盤」「結末」の3幕に分かれ、3ページずつに分かれる。

 

①表紙:明確

誰と何についての話なのかがわかるシンプルなタイトルをつける。

 

②状況の共有:信頼

聞き手に本音で語りかけ、自分が気にかけている問題は聞き手に関わるものだと説明し、問題を現実に即して理解していると示す。

 

③問題点:不安

怖すぎて直視したくない事実や数字を提示する。

 

④解決できるという感情:希望

問題が解決した時にどんな気持ちになるかを具体的に思い描かせる。

 

⑤誤った期待:厳しい現実

これまでと同じ策を単純に繰り返しても、実際には何の効果もないと認めさせる。

 

⑥かなり大胆な提案:ワクワク感

思い切った選択肢を提示し、少々無茶に思えるが、勇気と決意があれば誰でも実行できて効果が期待できると伝える。

 

⑦本当にやればできる:勇気

大胆な策を実行に移すのは現実に可能であるとの実感が生まれるように説明する。その上で、具体的にとるべき行動に踏み込んで、恐る理由は何もないことを示す。

 

⑧行動の呼びかけ:決意

最初に行う必要のあることを5つリストアップする。

 

⑨すぐに得られるメリット:報酬

行動を起こせばすぐに得られることが確約されているメリットを最低2つ示し、行動を起こすきっかけにする。

 

⑩長い目で見たメリット:本心からの願望

新たな策で新たな現実がニューノーマルとなった時に、思いがけなく手にする大きな成果を提示して幕を閉じる。

 

10ページピッチが完成したら、数分で彼らを前向きな気持ちにさせるストーリを伝える。

参考文献・紹介書籍