成功するイノベーションはなにが違うのか?

発刊
2015年2月10日
ページ数
368ページ
読了目安
629分
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イノベーションを実現するためのメソッド
企業が取り組むべきイノベーションを起こす手法がまとめられた本です。MBAなどの既存のマネジメント手法では、イノベーションを起こせないと説きます。

イノベーション実現メソッド

「イノベーション実現メソッド」とは、成果を上げているイノベータが、イノベーションの不確実性をうまく扱う際に使っているプロセスである。本当は顧客が欲しくないような製品を開発し、市場に投入する事でリソースを無駄にしてしまう前に、独創的なインサイトをテストし、検証するプロセスである。スタートアップや既存の企業で成果を上げている多くのイノベータが、この手法を活用している事がわかっている。

 

このプロセスは、次の4つのステップから構成されており、不確実性が高い課題を解決し、インサイトを成功したイノベーションへと変えるために使われている。

 

①インサイト(サプライズを味わう)
②課題(片づけるべき用事の発見)
③ソリューション(最小限の素晴らしい製品のプロトタイピング)
④ビジネスモデル(市場投入戦略の検証)

 

各ステップは挑戦の要となる仮説を実験するため「仮説、実験、学習」のループを繰り返し行うようになっている。

 

インサイト(サプライズを味わう)

イノベーションは、解決する価値がある課題についてのインサイトを生み出す事から始まる。インサイトを生み出すきっかけとなるものは「サプライズ」だという事がわかった。サプライズは、価値のあるインサイトにつながる何か新しいものを知るきっかけになる。

優れたイノベータがサプライズを見つけ、新たなインサイトを生み出すには「関連づけ思考」(一見無関係の情報やアイデアを結び付け、新しい方法でまとめる能力)を引き起こす4つの行動が鍵となる。

 

①質問:「なぜ、そうなのか?」という質問を問い続ける
②観察:注意深く観察し、新たなアイデアを獲得する
③ネットワーク:異なる考えを持つ人達と定期的に会話をする
④実験:絶えず実験を行う

これら4つの行動を実践していく場合、幅広く探索する事が極めて重要である。

 

課題(片づけるべき用事の発見)

イノベーションのプロセスを進めるにあたって、次にやらなければならない事は、解決する課題、つまり片づけるべき用事を深く理解する事である。顧客は用事に気が付くと、それらを片付けるために雇う製品やサービスを探す。

すべての用事には機能的、社会的、感情的という3つの側面があり、これらの要素の重要性は用事ごとに異なっている。この3つの側面を理解する事は、解決しようとしている課題を正しく特定し、イノベーションを成功させるための準備として最も重要な要素である。

 

片付ける用事を探す際、唯一の真に迫った質問は、どの用事が解決する価値があるかというものだ。その判断には「収益につながる用事」を探すとよい。

 

ソリューション(最小限の素晴らしい製品のプロトタイピング)

新しいソリューションを開発するためには、幅広くソリューションの調査を行い、選択肢を幅広く思い付く。検証には4つのプロトタイプを作る。

①理論上のプロトタイプ
②バーチャルプロトタイプ
③実用最小限のプロトタイプ
④最小限の素晴らしい製品

 

プロトタイプを洗練させる際、忘れてはならないのは、顧客は用事をこなすためにソリューションを雇うという事だ。そして、すべての人に素晴らしいと思ってもらう事は難しいという事だ。

 

ビジネスモデル(市場投入戦略の検証)

ビジネスモデルにおいて最も重要な要素は、価値提案である。価値提案を市場に伝える際に、検証しなければならないのは、次の6つの要素である。

 

①価値提案:価値を届けるソリューションは何か
②価値戦略:顧客はいくら払ってくれそうか
③顧客との関係:どのようにコミュニケーションをとるか
④チャネル:顧客が手に入れやすいようにするにはどうしたらいいか
⑤主要活動:卓越しなければならない主要な活動は何か
⑥リソース:最も重要なリソースや資産は何か