相手に合わせて適切なコミュニケーションを選ぶ
「超完璧な伝え方」とは、コミュニケーションの幅を広げることにより、自分の目的を達成するために相手を動かす技術である。何も考えずに、思いついたまま喋るだけでは、コミュニケーションは不完全になってしまう。
「とにかく自分を表現しなければ!」と思い込んでしまうと、相手のことを考えず、身勝手に喋ることになりがちである。それでは、ただの思考停止になってしまう。自分の意見や思いを持ち続けながら、それを「相手に完璧に伝える努力」をする必要がある。
「超完璧な伝え方」が目指すのは「八方美人」になること。「八方美人」は「人によって態度を変える人間」という意味で使われることが多い。しかし、目指すべき「八方美人」は、自分の信念を曲げるのではなく、コミュニケーションを工夫することで、八方向のあらゆる人に信念を伝えられる人である。必要なのは、自分の目的を叶えるための幅の広いコミュニケーションスキルである。相手に合わせて適切なコミュニケーションを選択することで、自分の目的をよりラクに達成できるようになる。
相手の状態を常に把握する
どのようなコミュニケーションにも、目的を持つことが重要である。自分の目的を達成するためには相手に何かしらの行動をしてもらう必要がある。それは相手を支配することや、コントロールすることではない。望むのは相手の自発的な行動や心理的な変化である。
そのためにも「相手がどういう状態にあるのか」は常に把握し続けなければならない。一番大切なのは相手を理解しようとする気持ちである。そして、相手の状態を理解した段階で、何か手を打たなければならない。自分の目的達成に向けて会話が進んでいるかどうかを、相手に質問を投げかけたり、表情や仕草を見たりすることで常にチェックすることが大切である。
まず自分の目的を明確にする
コミュニケーションにも「下地づくり」が必要である。下地とは「自分の目的を明確にすること」である。そして、目的は5W1Hに分けて考えることで明確になる。「いつ、どこで、誰に、何を、なぜ、どのように」伝えるのかを考えてから、コミュニケーションをスタートさせる。
さらに5W1Hにもう一手間を加えることで、さらに超完璧な準備が整う。それは、自分のセリフに対して相手がどう返事するのか、どのような行動を取るのかを頭の中で予想・想像することである。自分に5W1Hがあるのと同じように、相手にも5W1Hが存在する。
相手の返事や行動を予想しながら、自分が立てた仮説でうまくコミュニケーションが成立するかどうか頭の中でシュミレーションする。そして「うまくいったとき」「普通のとき」「うまくいかなかったとき」の3パターンは想像する。事前に予想しておくことで、本番でもうまく対応することが可能になる。
完璧なコミュニケーションの基本3ステップ
自分の目的を達成するためには、以下の3ステップを丁寧に実践し、繰り返していくことが必要である。
①思考力
「何を伝えるのか」の前に、「なぜ」「何のために」伝えるのか、目的を完璧に把握するステップが必要になる。目的を達成するまでの道のりを思い描き、必要なコミュニケーションの手順を整理して仮説を立てる。
②伝達力
思考力で立てた仮説を実際のコミュニケーションで相手に伝える。自分の中で何となく言葉にするのではなく、「相手に伝わる言葉」にできるかどうかがポイントである。単語を変えるのはもちろん、相手のテンションや状態を把握した上で話のスピードや抑揚を変え、声のトーンを調整し、適度なアイコンタクトも行わなければならない。
③理解力
相手が発した言葉の「本当の意味」を理解する。
他人からの評価を集めて分析し、想像力を高める
「思考力」「伝達力」「理解力」はコミュニケーションの基本である。さらに「超完璧な伝え方」に必要なのが「想像力」である。想像とは相手のことを思い、相手の気持ちを考えること。相手の表情や言動から「伝えたいこと」だけでなく、「心理的な状態」まで読み取ることである。
コミュニケーションは、相手、タイミング、シチュエーションなど何か1つが異なるだけで、全く別物になる。同じ人に普段通りのコミュニケーションを取っても、反応は毎回異なる。想像力は常に働かせなければならない。
想像力を身につけるには、「相手から見えている自分」を把握することが欠かせない。自分がどのように見られているかを把握するために必要なのは、他人からの評価を集めることである。日常のコミュニケーションで「真面目だよね」「面白いよね」など自分の性格や印象について相手から言われた言葉を思い出してみる。そして、自分が思っている自分との乖離を比べる。
もし、自己認識や他の人の評価から離れたキーワードが出てきた時は、「なぜ、この人にはこう思われてしまったんだろう」というところまで、掘り下げて考える。この積み重ねによって、「相手から自分はどう見えているか」に対する認識の精度が高まっていく。