なぜ、この人と話をすると楽になるのか

発刊
2015年1月31日
ページ数
212ページ
読了目安
257分
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そもそもコミュニケーションとは
ニッポン放送の人気アナウンサーが、コミュニケーションの技術と考え方を書いた本。コミュニケーション障害だったという著者がどのようにして、コミュニケーション力を上達させたのかが紹介されています。

コミュニケーションの目的は楽になること

コミュニケーションというのは、コミュニケーションが成立する事自体が目的であって、その時に伝達される情報は二の次である。情報の質や内容なんてどうでもいい。情報の伝達より先に、話をしていて楽になる、心地よくなる事の方がずっと重要である。

コミュニケーションは実は難しい。コミュニケーションを支えているのは様々な技術であって、多くの場合、いきなり上手にできる事ではない。会話が上手な人は、コミュニケーションの瞬間瞬間に意味を見出し、その都度ふさわしいテクニックを駆使している。こう来たらこう受ける、こう受けたらこう出すという「型」がたくさんある。コミュニケーションはゲームと捉えると、その流れから「この質問だったらこう受けるのがベスト」とか「この答えだったらこっちに話を振った方がいい」とか分析できる。会話には必勝法はないが、勝率が高くなる戦い方がある。

 

コミュニケーションの核は、人のためにしゃべる事である。自分がどう思うかで話を進めるのではなく、相手の側から話を進めてもらう。

会話の基本は、徹頭徹尾、人のためである。そうしていると相手からも話を訊かれるようになって、自分も楽しくしゃべれるようになる。

なぜ、この人と話をすると楽になるのか。コミュニケーションをとっていて楽になる人というのは、自分を許す事ができた人である。「自分を許す」とは、許し難い自分を見出して解放する事である。自分で自分を許せない、何度も修羅場を経験して、いつか自分を許して、解き放した状態になれた人。そういう人は話をしていて、とても楽である。

 

コミュニケーションは協力プレー

コミュニケーション・ゲームのルールの特徴は次の通り。

 

①敵味方に分かれた「対戦型のゲームではない」、参加者全員による「協力プレー」
相手を言い負かすとか、自分だけが気持ちよくなる事を求めない。相手が気持ち良くなれば、自分も気持ちよくなる。相手が楽なら自分も楽だという一蓮托生のゲームである。

 

②ゲームの敵は「気まずさ」

プレーヤー同士お互いを守りながら、気まずさを回避するゲームである。全員が味方のプレーヤーなんだと思って、自分から積極的に協力プレーを意識するだけでOK。

 

③ゲームは「強制スタート」
目の前に相手が現れた途端に参加させられ、いつでもどこでも始まってしまう強制ログインのゲームである。だからこそ、その攻略法を体感的に身につけておく練習や、普段からのウォーミングアップが大切になってくる。

 

④ゲームの「勝利条件」
ゲームの勝敗は、コミュニケーションをとった後に元気が出るか、精神的に疲れてしまうか。「笑うー笑わせる」「尊敬するー尊敬される」「好くー好かれる」「喜ぶー喜ばれる」など、ポジティブな結果は1つではなく、ゴールにはいくつかの種類がある。

 

普段から勝利条件を目指して、目の前で変化する状況に一喜一憂するような意識を持っていると、それだけでずいぶんコミュニケーションの質が変わってくる。

 

人にしゃべらせること

コミュニケーションがうまくいく確率を上げる方法は「人にしゃべらせる」こと。最初に話しかける時以外、自分からしゃべる必要はない。まず訊く事があって、相手にしゃべってもらって、その話を聞く。相手がしゃべってくれた事柄に対して、自分で考えて、どう動いて対応するかが大切である。

いくら自分の話をしたところで相手へ伝わるメッセージは不確かなものである。もし相手が自分と違う意見を持っていた場合、どこかに共通部分があるかもしれないと思って話をするのではなく、言い負かそうとしていたら何も変わらない。そもそも人が価値観を変更するのは、言い負かされた時ではなく自然に「あっ」と思えた時である。

 

話題とは質問である

コミュニケーションは2人が集まったら強制スタート、はじめからそこにお互いの興味が一致する話題は存在しない。相手と出合った瞬間につくっていかなければならない。

時間が繋がる会話をするには、質問すればいい。的外れな質問をしてもいい。相手の受け答えが訂正から始まれば、いくらでも糸口はできる。話題とは質問であって、自分の話をするのではない。いきなり自分の話を始めるのは、相手に対して「あなたにはニーズがない」と言っているようなものである。今この時間を楽しく過ごすために質問をして、その反応に乗っていけば会話を成功に導く事ができる。