限られた時間を超える方法

発刊
2023年1月10日
ページ数
272ページ
読了目安
313分
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時間を超越した感覚を生み出すメンタルトレーニング
量子力学の理論を根拠に、時間とは感覚的なものでもあると説き、時間の捉え方、認識の仕方を変えるための方法を解説している一冊。
「フロー」状態や瞑想による「マインドフルネス」などのメンタルトレーニングから、時間を超越する感覚を得るための方法が書かれています。

感覚を変化させることで時間を超越できる

量子力学の原則に則れば、私たちは人間がつくりあげてきた時間の概念を別の見方で捉えることができて、時間による制約をそれまでよりもずっと少なく感じられるようになる。「思考はどこから来るのか」という問いかけを突き詰めると、時間や現実は感覚に過ぎないことに気づく。人間の感覚は物理的な現実と同じくらい重要な意味を持っていることが、近年の発見によってわかってきている。

 

時間は実体のあるものだという思い込みを捨て去りさえすれば、私たちはいつ何時でも「過去や未来」に触れられる。この精神状態は特定の脳波が関与しているものであり、「ゾーンに入る」「フロー」などと呼ばれてきた。これを「超越した感覚」と呼ぶ。この状態に入ると、どこへでも思いのままに「時間旅行」ができるようになる。つまり、感覚を変化させることによって、「時間とのかかわり方」を変えられるのだ。

 

時間を操る能力を向上させるための秘訣は、「超越した感覚」の精度を高めることになる。この「超越した感覚」とは、より高い次元で覚醒した状態であり、「スポーツをしている」「重大な危機に直面している」といった様々な場面で起こりうる。この状態に入ると、「集中力が大いに高まる」「達成感が満たされる」「自己意識が薄れて自己超越の次元に到達する」と感じる人もいる。また、時間の感覚がいつもと違うという特別な経験をすることになり、大抵の場合、時間の流れが遅くなるか完全に止まっているように感じられる。

 

「超越した感覚」には脳波が関係している

「超越した感覚」という特別な状態には、誰でも自由に到達できる。その鍵となるのは「脳波状態」だと考えている。脳波は「人の経験に関する重要な情報」を与えてくれる。通常、神経科学で観察および分析されるのは、周波数が異なる5種類の脳波である。

  1. ガンマ波:集中の極み、感覚の高まり、より高い次元での覚醒
  2. ベータ波:注意を怠らない、仕事に精を出す、熟考
  3. アルファ波:リラックス、達観、空想
  4. シータ波:瞑想、直感、変性意識状態
  5. デルタ波:熟睡、潜在意識

 

「超越した感覚」状態をもたらす可能性が最も高いのは、「頭は常に注意を怠らず、体は非常にリラックスしている」という覚醒と瞑想の2つを融合させた状態である。この状態は、様々な脳波の状態が融合して、より高い次元での「覚醒状態」をつくり出した時に自然にもたらされる可能性が高い。

 

「目を閉じて、リラックスできる大好きなことをして過ごしている自分を思い浮かべる」という作業によって「ベータ波」が出る日常生活時の意識状態から、もっとリラックスした「アルファ波」状態へ移る。さらに、時計の秒針が刻む単調なリズムを確認しながら動きを追うことで、瞑想が「感覚ははっきりしながらもリラックスしていて、あらゆるものから解き放たれて達観した気分になる」という、より深い状態へ入る可能性が高まる。その後、しばらくすれば「瞑想、直感、変性意識」状態に関する「シータ波」の状態に達する。

そうして、起きたままの状態で自分の感覚をフルに生かし、好きなことをして過ごしている自分を想像してその気分に浸り続ければ、「ベータ波」「アルファ波」「シータ波」の状態が一体化した、「より高い次元で覚醒した、超越した感覚」状態へと辿り着ける。

 

「超越した感覚」状態をつくり出す

瞑想は時間の捉え方を変化させるために、効果的な脳波の状態をつくり出す。

 

  1. 目を閉じ、電気を消し、暗い中で行う
  2. 足を組んで床にゆったりと座る
  3. 両手は掌を上にして膝に置く
  4. 自分の頭が今どんな風に働いているかを見て取る
  5. 思考がただ浮かぶままにしておいて、自分の呼吸に集中する
  6. 鼻から息を吸って、口から吐く呼吸を始める
  7. 息を吐く時は、目をつぶったまま数字の3を思い浮かべる
  8. 次に息を吐く時は数字の3が2になるのを想像し、順番に息を吐くたびに数字を減らし0になるのを思い浮かべる

 

時間を超越する

古典物理学の世界では、情報を思いのままに消去できる。しかし量子の世界では、情報は創造することも破壊することもできないという「量子情報保存」の理論が立てられている。

不死性を獲得する鍵は、必ずしも肉体を永遠に生かそうとすることではない。重要なのは、永久に残り続けるとされる量子情報によって、誰もが既に不死であるという考え方だ。滅びることがない本質的な自分が時間を超越して存在し続けることを感覚的に捉えられれば、時間が足りないと思うどころか、たっぷりあると思えるはずだ。

 

  1. まず超越した感覚に入るメンタルトレーニングを用いて、できるだけ深くリラックスする
  2. 次に、いきなり目を開け、周囲を見回す
  3. この時「すべては私だ」と考える

 

自分とは異なるものだと思っていたものすべてが、実は異なるものだと思っていたものすべてが、実は区別がつかないほど自分と同じものだとわかる瞬間が来るだろう。

宇宙を構成しているものは、物質も含めたすべてが万物の理論に基づいて互いに作用し合い、情報を生み出している「量子粒子」に過ぎない。そこでの現実は「物理的なもの」でもあれば「感覚的なもの」でもある。その状態に入ると、不安や恐怖の感情は消え去り、代わりに時間を超越した感覚が得られるはずだ。