TikTok活用大全

発刊
2023年2月8日
ページ数
200ページ
読了目安
177分
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推薦者

TikTokをマーケティングに活用する方法
TikTokの特徴とマーケティングにおける活用方法を紹介している一冊。TikTokで紹介された商品が爆発的に売れる現象「TikTok売れ」を企業はどのようにデザインすれば良いのかを、そもそものTikTokの仕組みを紐解きながら解説しています。

TikTokをマーケティングに活用している事例が掲載されており、TikTokの具体的な活用方法がわかります。

TikTokがなぜ流行っているのか

TikTokは、短尺の動画作成/投稿が可能な「ショートムービープラットフォーム」である。通信規格のバージョンアップを背景に、メディアの情報量は時代とともに拡大し、現在、Twitterはテキスト、Instagramは画像、TikTokは動画のプラットフォームと移り変わってきた。

スマホのある生活が当たり前になり、その便利さに慣れてくると、ちょっとしたことが面倒に思えてくる。例えば、縦に持っているスマホを横向きにすること。こんな小さな手間がユーザー体験(UX)を妨げるようになる。その点で、縦型動画のプラットフォームであるTikTokは、生活者のデバイスに最適化されていると言える。

 

TikTokのユーザー体験が良質である秘密は、TikTokのレコメンドシステムに大きく関係している。TikTokはレコメンドシステムによって、「検索して選ぶ」ことなく、スワイプするだけで、どんどん自分好みの動画が出てくるようにパーソナライズされている。「人がコンテンツを選ぶ時代」から「コンテンツが人を選ぶ時代」への変化を体現しているアプリとなっている。

アプリを起動したら、あとはスワイプするだけで自分好みの動画が再生される。ユーザーは「選択」することなく、ひたすら「レコメンド」を見続ける。おすすめによる視聴体験は、想像以上に「楽」なのである。だから気づくと、あっという間に時間が経過している。この中毒性が世界中でユーザーを熱狂させている要因と言える。

 

また、「ショートムービー」のプラットフォームにしたことで、視聴する側は、見る/見ないの判断がしやすく、同時に投稿側のハードルを下げる効果も生み出している。投稿側の「動画編集の容易さ」も特筆すべき点である。直感的な操作で、誰でも簡単に、高品質の動画を作成できる。そして「動画加工」も容易で、小顔にできたり、足を長く見せられたりするなど、簡単に「かわいい」を作りやすいのもZ世代のユーザーを中心に支持されている点の1つである。

 

TikTok売れの仕組み

TikTokと他のプラットフォームの最大の違いは、機械学習に基づいたレコメンドシステムにある。たとえフォローしていても、ユーザーとの親和性が低いとシステムが判断すれば、投稿した動画が表示されないこともある。そのため、情報の拡散性が他プラットフォームとは異なる。

Instagramは「フォロワー型」。情報が届くのは、基本的にはフォロワーのみ。Twitterは「ネットワーク型」。リツイートによって、ユーザーからユーザーへと情報が拡散する。TikTokは「ループ型」。機械学習に基づいたレコメンドのため、フォローもリツイートも関係なく、視聴数やアクション数などによって、自動で情報が拡散される。そのためフォロワー数と無関係に、100万回再生を超える動画が生まれることも日常茶飯事である。

 

TikTokはスマホ版のCM。短時間で、エンタメ中心に多種多様なコンテンツを楽しめるプラットフォームは、おすすめ視聴が基本のため、他プラットフォームよりも「新しい出会い」と「発見」が多いのが特徴の1つである。

TikTokは「興味(喚起)」を武器に、購入まで促す「TikTok売れ」を実現する。モノを売るだけでなく、「興味」を起点に課題解決できるプラットフォームになったと捉えるべきである。

 

TikTok経由のヒットは、ユーザー同士が真似をして広がる「ミーム現象」から生まれることが多い。TikTokでは、誰かが投稿した動画を模倣して広がることが日常茶飯事のように起こっている。これはTikTokが持つ拡散性の高さ・簡便な動画制作機能・TikTok内文化がもたらした結果だが、ユーザー起点で爆発的に情報が広がることで多くの流行が生まれている。

ミーム文化の中でユーザー起点のコンテンツが爆発的に拡散するから、ユーザーにとっては共感・親近感につながるメッセージを高い頻度で視聴することとなり、その延長線上に「TikTok売れ」が発生している。

 

TikTokのユーザーは「いま」好きなモノを探すことはせず、自分が「次」に好きになれるものをレコメンドされることに価値を感じており、偶然の出会いをTikTokに求めている。その「偶然」から生まれた出会いが「興味」、そして「購買」につながる。

 

TikTokにおいては、レコメンドシステムにより多くの人気ハッシュタグ・楽曲が発生しているが、いわゆる有名人ではなく、TikTokクリエイターがミームの発生源となるケースが多い傾向にある。無名のクリエイターが一夜にして有名人になることも多数発生している。

「TikTok売れ」を起こすためには、クリエイターとのコラボレーションが非常に重要である。一方、そのクリエイターが超有名である必要はなく、むしろ相性が重要になる。