直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN

発刊
2019年3月7日
ページ数
272ページ
読了目安
336分
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ビジョンを創造するためのメソッド
直感をいかに戦略に落としこめばいいのか。多くの人や企業が見失っているビジョンをどのように創造し、アウトプットすれば良いのかが紹介されています。

他人モードによる停滞感

普通に生きていると、私たちの脳はずっと、人から受け取った情報に反応する「他人モード」になっており「自分がどう感じるか」よりも、「どうすれば他人が満足するか」ばかりを考えている。「自分モード」のスイッチを切ったまま日々を過ごしていると、私たちは「何がしたいのか」を思い出せなくなる。そういう人からは何か新しいことを発想したり、粘り強く考えたりする力が失われる。さらに何かにワクワクしたり感動したり幸せを感じたりする力も、だんだん鈍っていく。

実は、ビジネスや企業経営でも、同じことが起きている。安定して業績をあげている企業でも、売上・利益、株主、マーケット、競合他社など「外部」ばかりを見ている内に「自分たちの原点」=「そもそも何がしたかったのか」を見失ってしまう。

妄想を駆動力にできる人・組織が強い

圧倒的な結果を出し続けている会社やチームの陰には、「これがやりたい!」という強い想いを持った人たちがいる。彼らを動かしているのは「論理的に導き出された戦略」や「データ分析に基づいたマーケティング」などではない。その原動力になっているのは、根拠があるとは言えない「直感」、得体の知れない「妄想」、いわゆる「ビジョン」の素になっているものだ。

データやロジックに基づいて、攻略すべきマーケットを事前に絞り込み、そこに資本投下していくという旧来の考え方では、なかなかうまくいかない。肝心なのは、これらの「妄想」が。「戦略」や「市場ニーズ」に先行していることだ。「論理」や「戦略」からはじめない。突き動かすのは「直感」だ。自分が描く未来に対する、狂信的とも言える「妄想」だ。

4つの思考サイクル

いくら内発的な「妄想」からスタートしても、思考を「単なる妄想」のままに留め置いていては、それは「無」に等しい。「妄想」を具体的な形へと落とし込み、周囲の人を納得させていくステップが不可欠である。内発的な「直感」や「妄想」からスタートし、それを駆動力にしながら、具体的なアイデアを磨き上げるには、何をすればいいのか。

これまでの思考の領域を対比する。

①ビジョン思考(創造×ビジョン):妄想を駆動力にして創造する。
「妄想」→「知覚」→「組替」→「表現」

②デザイン思考(創造×イシュー):創造的問題解決。
「課題設定」→「共感」→「発想」→「プロトタイプ」

③戦略思考(効率化×ビジョン):論理に基づき勝利を追い求める。
「目標設定」→「資源棚卸」→「選択集中」→「検証」

④カイゼン思考(効率化×イシュー):PDCAによる効率化を目指す。
「計画」→「実行」→「検証」→「改善」

ビジョン思考

「直感」を駆動力にした思考は、次のサイクルを描く。

①妄想する:自分の妄想をかたちにする
②知覚する:ビジョンの解像度を上げる
③組替する:自分なりの切り口を与える
④表現する:自分らしい表現に落とす

このような思考のモードを「習慣」として成り立たせるには、次の2つが必要となる。

①ビジョン思考の「スペース」
現代においては、余白が勝手に生まれることなどあり得ない。まず先回りして余白(何もしない状態)をつくるのである。

②ビジョン思考の「メソッド」
・紙のノートを使う
・毎日、自分が感じた感情をありのまま書いていく
・「何もしない時間」をスケジュール予約する
・質問を自分に対して設定する
・「好きなもの」の具体的な画像をプリントアウトして並べてみる
・レゴ・シリアス・プレイを活用する
・課題を問いかけの形式に落とし込む