テレビCMの逆襲 運用型CMで売上50億を2年で実現したテレシーCEOの実践広告論

発刊
2023年1月17日
ページ数
180ページ
読了目安
208分
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推薦者

運用型テレビCMの強みと効果
これまでアナログ的な手法で、効果がわかりづらいとされてきたテレビCMに、ネット広告の考え方を取り入れた「運用型テレビCM」が増加している。運用型テレビCMを提供するテレシーの代表が、テレビCM出稿のメリットを解説し、これまでハードルが高いと考えられてきたテレビCMの現在を紹介しています。
ネット広告に次いで、DXが進むテレビCMの進化がわかります。

アドテクノロジーの進化

ネット広告は、2000年代からリスティング(検索連動型)広告、コンテンツマッチ(コンテンツ連動型)広告、ターゲティング広告、ソーシャル広告などの手法が主流になり、2010年頃になると、広告枠を入札型インプレッション課金で取引するアドエクスチェンジという手法が広がっていく。枠を買って欲しい複数のメディアと、その枠が欲しい複数の広告主がリアルタイムに取引するプラットフォームができた。

 

このようにリアルタイムのビッティングでターゲットや予算を変更できて、クリックやインプレッションに応じて課金するのが「運用型広告」である。従来のマス広告のように広く浅くリーチするのではなく、ターゲットに対してピンポイントで広告を配信できるためムダがなく、効果が大きいというメリットがある。しかも、広告の効果を表示回数やクリック数などのデータにより可視化でき、結果によって配信パターンやクリエイティブを細かくチューニングすることも可能である。

今や、ネット広告の主流とも言えるのが運用型広告で、アドテクノロジーの進歩とともにさらに拡大している。

 

運用型テレビCMの強み

ネット広告が拡大の一途を辿る一方で、「テレビはオワコン」と言われていた。しかも、テレビCMを出稿するのはかなり高額だというイメージが根強く、有名な大企業だけのものであって、多くの広告主企業にとって、自分たちには関係ないと思われている。

そんな状況も、運用型テレビCMの登場によって一変した。ネット広告ほどではないものの、地域や期間の選び方によっては百万円程度から放映できることが認識され、誰でも出稿を検討できるメディアというくらいにハードルが下がってきている。また、テクノロジーの進歩によって、ネット広告の考え方に近い指標でデータを可視化できるようになり、放映によって獲得したデータをもとに次回のキャンペーン効果をさらに高めることができるようになった。

 

運用型テレビCMとは、データ分析や発注においてオンラインダッシュボードを活用し、広告主やその委託を受けた広告代理店が、製品・サービスの直接的な販売促進や顧客獲得などを主たる目的に、一定のKPIを参考とし、短期的に広告クリエイティブや出稿先の変更、調整を繰り返して、広告効果の最適化を図るテレビCMの出稿方法のことである。

ネット広告全体で運用型の取り組みが広がるなどマーケティングのDXが加速する中、アナログ的な従来のテレビCMの「効果が見えにくい」という弱点を克服して、ネット広告同様の即時性のある効果測定を可能にするというものである。

運用型テレビCMの効果を測定するための前提として、はじめにクライアントと一緒にKPIを設定する。例えば、サイトセッション、資料請求数、問い合わせ数、アプリのダウンロード数といった指標である。その上でテレビCMを放映して、その期間と、その後数週間の数値の推移を確認し、効果を可視化するのが特徴である。

 

テレビCMには、ネット広告をはるかに凌ぐ圧倒的な到達力がある。テレビには、他のメディアにない3つの大きな強みがある。

  1. 短期間で多くの人に情報を届けられること(大規模リーチと即時性)
  2. ターゲットとして想定していなかった層にも届くこと(巻き込める層の広さ)
  3. 興味関心を引き出す力

 

運用型テレビCMは、テレビが本来持っている力を活かしつつ、デジタル化の波に乗り遅れていたテレビCMをDXしたものと言える。

 

テレビCMの可能性

テレビCMは、実はリーチ単価で見れば決して高くない。一般的にテレビCMを使ったキャンペーンの媒体費は数千万円から億単位に及ぶこともあり、投資額はかなり大きくなる。但し、届く層の幅広さや数が他のメディアとは違う。例えば、タクシー広告の場合1リーチ当たりの単価は2〜4円だが、テレビCMのリーチ当たりの単価はタクシー広告の1/10程度に過ぎない。タクシー広告のようにピンポイントで届くメディアではないものの、テレビを見ている人の内数%でも経営者やプロモーション決裁者がいれば十分投資に見合うと計算できる。

地方局や深夜などのリーズナブルな枠は視聴者数が大幅に少なくなるものの、それで効果まで下がってしまうとは言い切れない。リーチ単価、顧客獲得単価という指標で見ると、深夜の世帯視聴率1%の番組周辺の枠だとしても、ターゲット層が相対的に多く含まれていれば、かなりコスト効率の良いプロモーションとなる。

 

テレビ広告のコスト面での印象は、ネット広告と比べても大量かつ広域のターゲットに届くという認知面でのコスト効率はかなり良く、直接的に顧客獲得できなかったとしても、最終的にそこに至る道筋がつくれるということで成功につなげることが可能である。

テレビCMに出稿すると、それと比例してネット広告の効果も上がる。指名検索数、サイトセッション数は顕著に上がり、放映中は広告のCTR、CVRともに増加する。ネット広告と決して敵対するものではないのである。