悪魔の傾聴 会話も人間関係も思いのままに操る

発刊
2022年9月22日
ページ数
264ページ
読了目安
180分
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相手の本音を引き出す会話の技術
ノンフィクションライターとして、数多くのインタビューをしている著者が、相手から話を引き出すための技術をまとめた一冊。聞く技術は、人見知りでも誰でもできるとして、簡単に使える人の話を聞くための心構えとテクニックが紹介されています。

相手の本音を引き出す簡単な技術

悪魔の傾聴とは「相手から本音を聞き切ること」「本音を引き出すことで、相手の問題や疑問、現状の答えを相手から導き出すこと」である。人には「話したい」「伝えたい」という願望がある。悪魔の傾聴では、人のその根源的な意識を逆手にとって、聞き手が相手のその願望が叶いやすいように環境をつくっていく。

 

悪魔の傾聴は、相手に対して「〜をしない」という不作為の技術が中心である。

  • 自分の話をしない
  • 相手の話を否定しない
  • 自分の意見を言わない
  • アドバイスしない

今までの思考や行動を意識して封じることが中心のスキルなので、口下手でも人見知りでも、誰でも習得することが可能である。必要なのは聞き手の意識と準備である。

 

会話で絶対にやってはいけない3つのこと

悪魔の傾聴を習得するための前提スキルとして、相手に寄り添う「聞く会話」を身につける必要がある。やることは、相手の興味を聞きながら、相槌を打ち、つなげていくだけである。

但し、人と会話するあらゆる場面で次の3つは絶対にやってはいけない。

  • 否定する
  • 比較する
  • 自分の話をする

 

自分の話は、相手から質問された時にだけ、聞かれたことに答える。相手に聞かれたことも簡潔に返し、なるべく早く、話を戻して聞き手のポジションに戻ること。

 

相手が話を継続できる質問をする

ピックアップ・クエスチョンとは、既に相手が発言した単語や主旨を拾い、即時に短い質問を投げかけるテクニックである。自分が聞きたい・知りたい質問ではなく、相手の語りをもっと進めるための質問を投げる。

会話の発進の段階では、相手の話に寄り添うことが極めて重要である。会話の潤滑油として、相手が話したいことに沿って、短く一言の質問を投げる。相手にとってはちゃんと聞いてもらっている確認となり、その話を続けることができる。自分の好き嫌い、興味関心は一切関係ない。とにかく相手が話を継続できる質問を心がける。

 

ピックアップ・クエスチョンによって話し手が順調に語れば、いずれ相手が何を話したいのか見えてくる。相手の話を遮ったり、自分の話にすり替えると、会話が続かないだけでなく、相手からの評価も下がり、距離は離れてしまうので注意する。

 

相手の欲望と感情を意識する

相手の欲望を意識しながら会話を進めるのは、悪魔の傾聴において重要な要素である。人の行動には理由があり、理由の中には、必ず何かしらの欲望や感情が存在する。

その人にはどんな欲望と感情があるのかを気にしながら、ピックアップ・クエスチョンを使いながら、相手軸で会話を展開していく。自己開示に相手が反応してくれるのは嬉しいはずで、必ず何かしらの返答はある。

 

人の語りは、欲望と感情を意識して聞けば聞くほど、生き生きとした物語となっていく。相手の言葉を注意深く聞きながら、欲望や感情を引き出すことに注力する。そうすると、相手の人物像や生活が浮き彫りになっていく。「質問→返答→質問→返答」によって、相手の物語を膨らませていく。

 

どんな話を聞けば自分が面白いかを意識する

会話の始動は重要な場面で、つまらない話は避けなければならない。相手が誰であろうと、中身のない話から充実した会話に展開することは、さらなる工夫と労力が必要になる。

 

面白い話を聞きたいという意識は常に持っていなければならない。自分が面白い話をしようと考えるのではなく、「相手からどんな話を聞けば自分が面白いか」と考える。相手を観察しながら、自分自身が面白いと思えて、なるべく相手が返答しやすい質問を心がける。

 

参考文献・紹介書籍