THE VISION あの企業が世界で成長を遂げる理由

発刊
2019年1月18日
ページ数
328ページ
読了目安
421分
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優れたビジョンのつくり方
明確で優れたビジョンを掲げる企業が成長する。いかに優れたビジョンを創り出すかについて、その方法論を紹介している一冊。

ビジョンには公共の視点が大切

組織は本来、目的があって生まれる。しかし、語るべき未来、目指すべき未来がない組織は何かを創造することから離れていく。そこに自身の存在意義を反映したビジョンがないからである。すると、組織のエネルギーは自己維持のためだけに費やされていく。多くのエネルギーが無駄になる。

企業は公器である。企業は世の中の問題解決によって収益を得ている存在である。もはや、20世紀的な利益独占を目指す企業が生き残れる時代ではない。高い倫理性と利益を還元する仕組みを持った企業、つまり「私たちは公器である」という公共的な意識を持った企業が、21世紀半ばから主流になる。

公共の夢をビジョンに取り込んだ企業は、取り込んだがゆえに、世の中から応援のパワーをもらってビジネスを大きくし、利益を獲得する権利を得る。つまり、世の中からビジネスを拡大してよいという権利を、そうしたビジョンを掲げることができたがゆえに、得られる。

ビジョンとは

ビジョンは多くの人の頭の中に、何らかの「未来の姿」「映像」を見せる。言葉本来の意味から考えれば、視覚的なものであり、良い意味での映像を感じさせるものである。ビジョンが1つの視覚的なイメージとして描かれると、強烈な伝達力を持つ。

そして、重要なのは、ビジョンは単純な「絵」ではなく、明らかに「自らの意志を投影した未来像」であること。ビジョンは、まず何よりも「自らが心から達成したいと願う未来」でなければならない。

優れたビジョンは、人や組織に固有のものでありながら、多くの人に「私の夢でもある」と思わせる力を持っている。ビジョンとは、ある固有の組織や人の中に生じた「公共の夢」でもある。

また、優れたビジョンは、現状がどのような状態であろうと、あるべき未来を構想していく「洞察」と自らの「信念」を前提に組み立てられる。であるからこそ、未来を夢見たい私たちのエネルギーを結集する力を持っている。その性質は3つ。

①自らが心から達成したいと願う未来像である
②「公共の夢」として人々を巻き込む力がある
③未来への洞察と自らの信念の上につくられている

こうした性質を持ったビジョンは、企業の未来を指し示す。そのために自らの企業とビジネスがあるから「存在意義」でもある。ビジョンは、優れたコンセプトがそうであるように、日々の企業活動における共有された目標となり、モチベーションの源泉となると共に、一人ひとりの行動や判断の基準になる。その機能は3つ。

①共有された目標となる
②日々のモチベーションの源泉となる
③行動と判断の基準になる

ビジョンの性質と機能を前提にして、ビジョンは次のように定義される。
「自らが生み出しえる最高の公共的未来像」

ビジョンのつくり方

ビジョンは、会社や事業の外にはない。自分の深い根の中から芽を出す。内側から見出すしかない。ビジョンづくりは、大きく3つのステップに分かれる。

①探索ステップ
・創業の歴史を振り返る
・経営幹部インタビュー
・スタッフインタビュー&アンケート
・顧客および社外関係者へのインタビュー
・環境を分析する

②創出ステップ
・最初の問い(なぜ私たちはこの事業を行なっているのか)を確認する
・集めた素材を要素に分解して整理する
・グルーピングで意味合いを引き出す
・「なぜ私たちはそれをしたいのか」を問う
・インサイトとビジョンの種を探る
・ビジョンのキーワードをピックアップする
・ビジョンとアイデンティティを形にする
・ビジョンをチェックする

③定着ステップ