成果に直結する「仮説提案営業」実践講座

発刊
2022年8月29日
ページ数
224ページ
読了目安
388分
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これからのBtoB営業に必要な武器
競争環境が厳しくなり、従来の待ちの営業では売上が取れない中で、営業マンはいかに顧客を獲得すればいいのか。IT業界でのBtoB営業で実績を上げてきた営業コンサルタントである著者が、その営業ノウハウを丸ごと紹介している一冊。

仮説をもって、顧客に気づきを与えることで、信頼を勝ち取ることが大切であると説き、オンライン営業が当たり前になった時代にも普遍的なノウハウが書かれています。
BtoB営業における実践的な内容になっており、自社の営業を強化する際に役に立ちます。

BtoB営業の課題と対策

IT業界ではクラウド化などの影響で案件数や案件規模が年々縮小しており、既存顧客からの提案依頼が来るのを待つ「待ちの営業」から、積極的にこちらから新規提案を行う「攻めの営業」への転換が求められるようになった。
ところが、積極的にアポイントをとって商談機会をつくれたとしても、ソリューションの選択肢があふれ、顧客自身が自分で様々な情報リソースに触れることができるようになった昨今、単に製品紹介をするだけでは商談を案件化するのが以前よりも難しくなった。

さらに、対面商談が激減し、初回からオンライン商談ということも当たり前となる中、オンラインでは顧客と信頼関係を築くのが難しい、と多くの営業が感じるようになった。

 

こうした課題は、IT業界に限らず、すべてのBtoB営業に当てはまる。このような状況で、商談を確実に前に進め、受注につなげていく鍵となるのが、「仮説提案」スキルである。仮説とは、「顧客はきっとこんなことで困っているはずだ」といった想定のこと。

顧客からまだ十分な情報をヒアリングできていない状況で、顧客の課題やニーズについて事前に仮説を立て。その課題解決策として自社ソリューションの提案につなげていく。この「仮説提案」のスキルこそが、オンライン商談が普及したこれからの時代、「攻めの営業」にとって必須になる。

 

初回商談ではまず必要性を訴求する

初回商談で「うちの会社にはまだ必要なさそうだな」と思われてしまっては、その次のステップに進むことができない。特に、昨今は顧客が自ら情報収集のために各社の話を聞くことが増えているため、初回商談で「参考になりました。ありがとうございました」と情報提供だけして終わってしまうケースが急増している。

 

顧客はあくまでも「話を聞くだけなら」というスタンスで打ち合わせに臨んでいることが多く、明確なニーズがないケースがほとんどである。その状態で製品の素晴らしさをいくら上手に熱くプレゼンしても、「なぜ自社に必要なのか」わからなければ、プレゼンする社数を増やしてもなかなか案件化できない。

そのため、ニーズが顕在化していない顧客との初回商談では、まず、顧客に「そういえば、ウチにもこういう課題があるな」「確かに、この課題について、解決策を今検討すべきだな」という気づきを与え、ニーズの掘り起こしをする「必要性訴求」にこそ、ウェートを置くべきである。

 

仮説提案で顧客に気づきを与えることで信頼を勝ち取る

効果的な「必要性訴求」のために、初回商談で「仮説提案」を準備しておくことが重要である。限られた情報をもとに顧客の課題と解決策について、仮説を立てて個別提案資料を準備し、商談でのヒアリングを通してその仮説を検証し、その結果をもとに次の商談で仮説を修正した本提案をするフローになる。

 

「仮説提案」においては、「立てた仮説が正しいかどうか」はそれほど重要ではなく、「仮説を立てて商談に臨むこと」そのものが重要になる。なぜなら、初回商談で「仮説提案」をすることの真の目的は。顧客に新たな気づきを与えることによって、顧客の信頼を勝ち取ることだからである。

 

仮説の立て方

①最低限の情報を集めて書き出す

顧客の現状に関して、以下の情報を収集し、文章にしてまとめる。

  1. 顧客の業界の現状や全体的な動向
  2. 顧客企業のビジネス状況や近年の動向
  3. 顧客企業のIT部門の全体的な動向
  4. 担当者の動向

新規顧客の場合、3と4の情報入手は難しいが、既存顧客の場合は過去のやり取りからわかる範囲でまとめる。事実を文章化することで、頭の中を整理し、思考を広げる。

 

②問題仮説と解決仮説を立てる

まとめた情報をもとに、2つの仮説を立てる。

  1. 問題仮説:顧客には◯◯という課題があるのではないか?
  2. 解決仮説:この課題を解決するには、××を実施すべきではないか?

特定製品・サービスの拡販がミッションの場合、先に「××製品を導入すべきだ」という解決仮説につながるような問題仮説を逆算して考える。問題仮説を立てる際は、一般的・抽象的過ぎず、その顧客ならではの課題を見つけることを意識し、課題を深掘りする。

 

③問題仮説と解決仮説を「So What ?」の自問自答で深掘りしながらつなげる

顧客に納得してもらうためには「問題仮説」と「解決仮説」の間に、「どうしてその課題を放置しているとまずいのか」が必要になる。これによって「何か対策をしないといけない」という気づきを与えることができる。

 

重要なのは、仮説を立てることで、汎用的な提案ではなく、最初からその顧客のための個別提案であるように見せることである。すなわち、顧客に「これは自社のための提案だ」と認識させることが重要である。