子供に好きな本を読ませること
上から押さえつけて命令しても、読み書きの技術は身に付かない。職人の弟子がそれぞれ技術を磨くように、各自が主体的に練習できる場所が必要である。
大人がやるべき事は、子供の情報源になってあげること。教壇に立って知識を垂れ流すのではなく、彼らが学びやすいようにうまく導いていく事である。適切な導きのもとで、彼らが自分の力で文章を読んだ時に、はじめて読解力は自分のものになる。
世の中の成功した事例を見ていると、子供達は大半の時間を、1人で読んだり書いたりする事に費やしている。しかも、本を選ぶのは大人の役目ではない。大人のヒントを頼りに、子供達自身が読みたい本を選ぶのである。
まずは子供達に1冊の読書ノートを渡し、自分が読んだ本の記録をつけてもらう。さらに本を選ぶための手がかりとして、ジャンルごとのブックリストをつくり、各ジャンルから最低1冊は読むという課題を与える。また、読んだ本については、内容のまとめや感想文を書かせるかわりに、皆の前で面白かったポイントを話してもらう。
教室を読書のワークショップに変えるポイント
①時間文章に集中するには、まとまった時間が必要である
②自分で選ばせる
課題図書を押し付けるのではなく、自分で選ぶ事が大切
③感想を発信する
本を読んだら、話し合いや文章を通じて感想を発信する
④仲間とつながる
クラスメイトは読書仲間。助け合いを通じて理解を深める
⑤しくみ化する
スムーズに学習を進められるよう、手順をしくみ化する
やらされる読書から主体的な読書へ
何よりも大切なのは、子供達とのコミュニケーション。彼らが何かを発信してくれた時に、うまく反応を返してあげる事である。
大人がいくら話をしても退屈するだけ。自分達で考え、行動する楽しさこそが、子供達の心を動かす。授業では、まず本棚を見て皆の好きな本を探してもらう。子供達自身の好みが尊重されると、読書はやらされるものから、主体的で楽しい時間へと変化する。
大切なのは、子供を信じること。最初から疑うのではなく、皆本を読む子だと信じる事である。そうすれば子供達自身も、本を読むのが当然だと思うようになっていく。自分で本を選ぶ事は、子供達の自身とやる気につながる。与えられたものをこなすのではなく、自分で決める。それが読書への興味をかき立てる。
子供達の自発的な読書を促す7つのポイント
①豊富な出会い様々な本に出会えるチャンスをつくり、毎日本が読める環境を与える
②実用的な説明
読解力を養うためには、読み方の基本を教えてあげる事も大事。的を絞って実際の小説などを例にして説明する
③適切な期待値
子供達は大人の期待に合わせて成長する。ちょっと高めの目標を設定し、彼らがそれを実現できると信じる
④主体的な選択
大人がすべて決めるのではなく、子供達に選ぶチャンスを与える
⑤実践練習
読み方の説明をしたら、それを練習する時間をたっぷりつくる
⑥失敗できる自由
何かを身につけるためには、失敗する事が不可欠。安心して失敗できる雰囲気をつくる
⑦フィードバック
こまめに話をして、彼らの頑張りを褒めてあげる。読む努力を讃え、適切な助言を与え、上達をきちんと評価してあげる
やりがいを感じればやりたいと思える
子供達の自発的な読書を促す7つのポイントを支えるために大切なのが「エンゲージメント」である。
①やりがいを感じる
やらされる作業ではなく、自分にとってやりがいのある事だと感じてもらう
②「できる」と思う
「できる」と思えるように成功体験を与える
③プレッシャーから自由に
失敗して怒られるのではないか、といった不安から解放してあげる
④信頼できるロールモデル
大人がロールモデルとして読書を楽しむ