92歳 総務課長の教え

発刊
2022年5月11日
ページ数
184ページ
読了目安
200分
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推薦者

66年間働き続ける中で大切にしていることとは
世界最高齢の総務部員としてギネス記録に認定された92歳の著者が、働き続ける中で大切にしていることを紹介している一冊。日々、どのように仕事に向き合い、何を大切にしているのか。
66年間、日々働き続けるための心の指針や考えるべきことが書かれています。

現役92歳で働くということ

1930年生まれで2022年で92歳。大阪にある「サンコーインダストリー」という、ねじ専門商社で「総務部長付課長」として、今でも平日の午前9時から午後5時半までフルタイムで勤務し、勤続66年になる。主な仕事は、経理事務とTQC(全社的な品質管理)活動事務局の運営である。2020年11月には、「世界最高齢の総務部員」としてギネス世界記録に認定された。

 

入社当初は、社員10人ほどだった。小さな会社で、総務を担当するつもりで入ったのに、実際は「なんでも屋」として働かなければならなかった。営業の手伝いはもちろん、お昼になったら社員の注文をまとめてパンやお弁当を買いに行ったり、社員寮で住み込みの社員の食事を作ったりしたこともある。
自分のやりたい仕事とは違うと思い悩み、出社するのが嫌になって1週間ほど休んだこともある。すると、会社を紹介してくれた従姉妹から、「あなたは仕事を何だと思ってるの? あなたに一体、何ができるの!」とすごく怒られた。
その言葉で目が覚めた。「まだ何も満足にできもしないのに、与えられた仕事を途中で放り出すなんてとんでもないことだ。働いて給料をもらっているのだから、まずは与えられた仕事を着実にこなせるようにならなくては」と思い直し、気持ちを新たに仕事をして66年が経った。

 

人生の指針は「感謝」と「報恩」。元気で働けているのは、家族を含めた周りの人たちのおかげ。その恩に感謝しつつ、何らかの形でお返しして、誰かのお役に立つために働いているつもりである。「その仕事、誰かの役に立っているか?」と問いかけながら仕事をしている。

働く上でのもう1つの指針は「いつまでも好奇心を失わない」こと。何にでも好奇心を持ち、自分なりのアイデアで工夫を重ねていたら、毎日のルーティンワークですら楽しくなってくる。

 

今日頑張れたら、明日も頑張れる

小さな努力の積み重ねが大きな成果につながる。92歳でも働いていることは一日一日の積み重ねの結果でしかない。はじめから、90歳を過ぎても働き続けようと思っていたわけではない。
長年のモットーは「今日頑張れたら、明日も頑張れる」。明日がどうなるかを考える前に、今日を精一杯頑張ればいい。今日の頑張りは、きっと明日につながる。だから、明日も頑張れるに違いない。そう長年思い続けている。

 

今日は昨日の続きではない。昨日、何か失敗したとしても、それを翌日まで持ち越してクヨクヨしても仕方がない。昨日のことはもうやり直せないので、リセットして前を向いて、今日を懸命に生きるしかない。

そして、今日より明日は少しでも成長していると思うからこそ、「今日頑張れたら、明日も頑張れる」のである。

 

凡事徹底

当たり前のことを中途半端にやっても意味がない。当たり前のことを徹底的にやるからこそ、意味がある。1日や2日、当たり前のことを徹底したからといって、大きな変化は起こらない。しかし、それを1年、2年と続けられれば話は違ってくる。当たり前の積み重ねが、大きな違いを生む。

挨拶をする、決められた時間を守る、身だしなみを整える、凡事徹底するべきことは、考えれば山ほど見つかる。中でも大事にしたいのは掃除。自分のデスクまわりはもちろん、会議室やトイレといった共有スペースも、掃除をするようにしている。

 

営業活動は掃除から始まる。営業担当なら、身だしなみに気を使うはず。第一印象は大事である。第一印象で「身だしなみがいい」と好感を持たれるか、「清潔感がない」と否定的にとらえられるかで、営業活動に大きな差が生じる。第一印象に2度目はない。
営業だけでなく、会社の第一印象も同じ。お客様がはじめて会社にいらした時、第一印象が決まる。お客様と直に接している外勤の営業だけでなく、内勤も含めてすべての社員が営業担当であり、その基本的な仕事の1つが掃除である。

 

凡事徹底の最も大きなメリットは、継続できたという自信につながること。特別な何かをする前に、平凡を極めることのご利益は、計り知れないものがある。