考えるより、行動しよう
先行きを完全に予測できる人はいない。最高の教養を身につけている人でも、先が読めるのは、特定方向の数メートル先までだ。予測できる境界線の先を見たければその場にとどまるのではなく、前に進まなくてはならない。つまり、「考える」だけではだめで、「行動」しなければならない。
頭の中で検討を重ねることに意味がないわけではない。短期間でも集中して考えれば、大きな気づきがある。しかし、時間とともに新たに得られる認識はどんどん小さくなり、すぐに思考は「飽和点」に達してしまう。頭の中で熟考しても、懐中電灯で照らす程度の範囲にしか考えはおよばないが、行動を起こせばサーチライトであたりを照らし出したかのように、一気に色々なものが見えるようになる。
人生において自分が何を求めているかを知るには、何かを始めてみるのが一番だ。考えているだけでは良い人生は手に入らない。
なんでも柔軟に修正しよう
物事がうまく運ぶことなどほとんどない。人生は常に乱気流の中にあって、私たちはありとあらゆる種類の横風や予想外の急激な天候の変化と闘わねばならない。それなのに私たちは、最初の条件設定ばかりを重視し、修正の意義を軽んじすぎている。
早い内に軌道修正した人は、長い時間をかけて完璧な条件設定をつくりあげ、計画がうまくいくのをいたずらに待ち続ける人より得るものが大きい。人生の目的地も1つだけとは限らない。何事もある条件のもとでスタートさせ、それが進んでいく過程で持続的に調整をほどこすのが、正しいやり方である。
好ましくない現実こそ受け入れよう
「好ましくない現実」こそ、受け入れる必要がある。失敗をして、その失敗の原因を突き止めるごとに、人生は向上する。失敗の原因がわからなければ、また失敗を繰り返すことになる。だが、粘り強い分析をして原因を解明しておけば、同じ失敗は避けられるのだ。
現実の好ましくない面は特に受け入れた方がいい。受け入れるための努力をすれば、その努力はやがて報われる。人生は単純ではない。どんなに良い人生であっても、たくさんの失敗がつきものだ。重要なのは「失敗の原因」を突き止めることだ。そして、その原因を完全に取り除くことだ。
「現在」を楽しもう
多くの人は記憶に残らなければ、価値がなくなると考える。しかし、記憶に残らないからといって、その経験に価値がないことにはならない。何も経験しないより、素晴らしい何かを経験できた方がいい。「体験している私」はその時点で起きていることをきちんと感じとっている。
脳は、私たちが意識しないままに「過去、現在、未来」と時間の3つのレベルすべてに関わっている。難しいのは、どのレベルに焦点を定めるかだ。そこで「長期的な計画を立てること」を勧める。そして計画ができたら、そのうちの「今」だけに完全に意識を集中させること。「未来の思い出」より、「今現在の経験」を存分に楽しむこと。素晴らしい瞬間を積み重ねてできた人生は、たとえそれらの記憶が残らなくても素晴らしい人生に違いない。
死よりも、人生について考えよう
死の直前にどう感じるかは、それまでの人生とは全く無関係だ。だから、死ぬ時のことを考えてみても何もならないし、死の瞬間についてばかり考えていたら、良い人生を過ごすことから意識がそれるだけだ。
人生最後の体の衰えた時期だけで、人生を評価してはいけない。酷い人生を送った後に理想的な死を迎えるよりも、良い人生を過ごした後に死の床でつらい数日を過ごした方がずっといい。「加齢」と「死」は、私たちが良い人生を過ごせたことに対する代価だと思えばいい。良い人生を過ごす方が、良い死を迎えるよりずっと大事だ。