サボタージュ・マニュアル 諜報活動が照らす組織経営の本質

発刊
2015年7月19日
ページ数
128ページ
読了目安
106分
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推薦者

組織をうまくまわらないようにする方法
CIAの前身機関が作成した「組織をうまくまわらなくさせる」ためのスパイマニュアル。一般の市民も参加できる簡単な活動が書かれており、いかに組織の機能不全を起こすかについて書かれています。

サボタージュ・マニュアルとは

第一次世界大戦以降、戦争では武力と武力のぶつかりあいに加え、諜報活動や広報を使用した情報戦、プロパガンダ戦が重要になっていった。特に有名なのはヒトラーによるメディアを駆使した大衆扇動である。アメリカ軍でもこの広報戦略を実施する事になり、その中心となった組織がOSS(アメリカ軍戦略情報局)である。OSSは、偽装したプロパガンダやスパイによる諜報活動、レジスタンスの組織化やその活動の援助を担当した。

『サボタージュ・マニュアル』は、OSSがその活動の一環として作成した、一般市民向けのレジスタンス活動支援マニュアルである。このマニュアルには、どんな「ちょっとした工夫」をすれば、組織がまわらなくなったり、人々をイライラさせる事ができるのか、事故や災害、機械の故障や破壊などを起こせるのかという事が事細かく書かれている。

 

組織や生産に対する一般的な妨害

・組織と会議
①何事をするにも「決められた手順」を踏んでしなければならないと主張せよ。迅速な決断をするための簡略した手続きを認めるな。
②「演説」せよ。できるだけ頻繁に延々と話せ。長い逸話や個人的な経験を持ち出して、自分の「論点」を説明せよ。
③可能なところでは「さらなる調査と検討」のためにすべての事柄を委員会に委ねろ。委員会はできるだけ大人数とせよ。決して5人以下にしてはならない。
④できるだけ頻繁に無関係な問題を持ち出せ。
⑤通信、議事録、決議の細かい言い回しをめぐって議論せよ。
⑥以前の会議で決議された事を再び持ち出して、その妥当性をめぐる議論を再開せよ。
⑦「用心深く」するように主張せよ。
⑧あらゆる決断に対する妥当性について懸念を示せ。計画された行動はグループの権限内にあるのか、それが上層部の方針と矛盾していないのか懸念を投げかけろ。

 

・管理職
①文面による指示を要求せよ。
②「指示」を誤解せよ。その指示をめぐって、切りのない質問を投げかけよ。
③指示されたものの遂行を遅らせるためにありとあらゆる事をせよ。
④作業に利用しているものの在庫が底をつくまで補充するな。
⑤作業手順を決める時に、常に重要ではない仕事から取りかかるように指示せよ。
⑥あまり重要ではない生産品に完璧さを求めよ。ごく些細な不備についても修正するために送り返せ。
⑦部品や素材が施設内の異なった場所に送られるように、経路指定を間違えよ。
⑧士気を下げるために、非効率な作業員に心地良くし、不相応な昇進をさせよ。
⑨もっともらしい方法でペーパーワークを増大させよ。
⑩指示、小切手などの発行に必要な手続きと認可を増やせ。
⑪すべての規則を隅々まで適用せよ。

 

・従業員
①のろのろと働け。自分の仕事で必要となる動きを増やす方法を考えよ。
②できる限り自分の仕事を中断する事を考えよ。
③指示を理解するのが難しいと偽り、何回も繰り返すように尋ねろ。
④仕事の質を落とせ、そしてそれを品質の悪い道具、機械、あるいは装備のせいにせよ。
⑤新しい、あるいは未熟な作業者に自分の技術や経験を決して伝えるな。
⑥できる限りの方法で運営を混乱させよ。用紙に読みにくい文字で記入せよ。

 

士気を下げ、混乱を引き起こすための一般的な工夫

①質問を受けた時には長ったらしい、理解しがたい説明を提示せよ。
②とぼけよ。
③自分が面倒な事に巻き込まれない程度に、怒りっぽく言い争え。
④すべての種類の規則を誤解せよ。