デュアルキャリア・カップル

発刊
2022年3月27日
ページ数
352ページ
読了目安
425分
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カップルそれぞれがキャリアと家庭を両立するための課題と対策
二人ともがキャリアを持つカップルが、キャリアと家庭を両立するために必要な対処方法を紹介している一冊。共にキャリアを持つカップルは、そのキャリアを通じて、3つの転換期に直面するとし、それぞれの転換期ごとの引き金や課題を解説し、取るべき方策を示しています。

キャリアと家庭を両立させるための課題

デュアルキャリア・カップル(二人が共にキャリアを持つカップル)にとって、慎重に練った計画が予期せぬ出来事によってひっくり返されたり、人生で最高に幸せな瞬間に突然の変化や難題が降ってきたりするのはよくあることだ。一方にとって最大のチャンスが厄介で、二人のすべてをあらわにするような会話の口火となる。

 

多くの人々が、お互いにスケジュールを合わせ、家庭内の責任を分担し、キャリアと家庭を両立させるために、込み入った方法を考案している。しかし彼らはもっと深いところにある二人の心理や社会からの圧力の影響に関する話はほとんどしていない。
つまり、どちらが主導権を握るかというせめぎ合いや、共同生活で相手に期待する役割、個人としての希望と不安、良い関係や良いキャリアの定義といった、二人に強い影響を与えるものについての話し合いをしていない。

こうした力は二人の関係の築き方や物事の決断に影響する。この力に注意を向けなければ、力は二人の関係を阻害し対立への道を歩かせる。けれどもこの力を理解し、正面から取り組むなら、力は現実的な難題を解決に向かわせ、二人がうまくやっていくのを助ける。

 

3つの転換期

デュアルキャリア・カップルは、カップルになってから退職するまでに3つの大きな転換期を経験する。そしてそれぞれの転換期で、これまでとは別の疑問、異なる心配事、新たな関係に直面することになる。関係の根本にある二人の心理や社会からの圧力に、転換期のたびに向き合わねばならない。

 

①第一の転換期:どうしたらうまくいくのか?

それぞれに独立した仕事と生活を手にした状態から、お互いを頼る状態へ移行する。この転換期の要は、カップルとして最初に一緒に経験する人生のビッグイベント(転勤を伴う昇進や解雇、子供の誕生、親の介護など)に、慎重に適応することである。最初の転換期を切り抜けるには、なるべく後悔なく、共に成功できるように、キャリアの優先順位や家庭内の分担を話し合わなければならない。

 

この転換期の中心となる問いは「どうしたらうまくいくのか?」である。目の前のライフイベントに対応し、愛とキャリアにおいて、二人が共に成功できるような人生をいかに組み立てるか、考え出さなければならない。

二人のキャリアのどちらを優先するか、家庭内の責任をどう分担するか。この2点について合意にいたるまで話し合い、大きなライフイベントに慎重に対応する必要がある。

 

②第二の転換期:本当に望むものは何か?

この転換期の要は、お互いの個性化だ。個性化とは、世間の要求や期待に合わせることをやめ、キャリア、人生、二人の関係に本当に望むものは何かを考えることだ。この転換期は大抵、不満や憂鬱のような感情によって引き起こされ、そうした感情がこれから向かう方向や目的を探る現実的な問いに変わっていく。独自の興味や願望について改めて考え、相手の人生における自分の役割を再び話し合う。二人の関係に深いレベルで向き合う中で、最初の転換期の時に決めたキャリアと家庭内の分担についても、もう一度話し合うことになる。

 

この転換期の中心となる問いは「本当に望むものは何か?」である。各自がそれぞれの興味や願望を見極めなければならない。次いで、それを追求するのを助け合う方法を見つけなければならない。

お互いが安全な拠点となる関係を築き、二人が共に個性化できるようにする。相手の人生の中で果たしている役割を見直す。そして、第一の転換期に確立したキャリアと家庭内の責任の分担を再び話し合う必要がある。

 

③第三の転換期:今の私たちは何者なのか?

将来への可能性を開きながらも、過去に達成したものに積み上げる形で自分たちの関係を再考することになる。この転換期は、役割の変化(職場で一番のベテランになる、家から子供たちが巣立っていくなど)によって引き起こされ、アイデンティティに空白ができたような感覚をもたらす。この空白は、何らかの喪失と共に生じるが、新しいチャンスのためのスペースにもなる。空白に沈んで漂ってもいいし、探求や刷新の場として使ってもいい。後者を選ぶなら、先行する2つの転換期の未解決の問題を片付けなければならない。それが済んだら、新たな野心や優先事項に基づいて、これからどんな人間になろうかと考えることになる。

 

この転換期の中心となる問いは「今の私たちは何者なのか?」である。カップルは、役割の変化によって失ったものを惜しみつつ、もたらされた新たなチャンスを歓迎して、なりたい人間になるために人生の道を整える必要がある。

新しい野心や優先事項を考慮に入れた上で、自分たちがどうなりたいかを、遊び心を持って考えると、地に足のついた刷新ができる。過去に成し遂げてきたことに基づいて、将来への可能性を開いたまま、自分たちを刷新していく。