スモールビジネスに向いているビジネスの基本条件
①課題自体に多くの人が気付きづらい
多くの人の目に触れるような気づかれやすい課題は、必然的に参入者が過剰になる。スモールビジネスにおいては、そもそも存在することすら一般人に知られていない課題に取り組むのが良い。こう考えると、自分が一般的な消費者として感じた課題を解決するというアプローチはその時点で筋が悪い。逆に仕事を通じて「少数の人しか持っていないと思われる強いニーズ」を発見したなら、それは宝の可能性がある。
②自分の趣味、経験があるからこそ出来ること
スモールビジネスにおいて、その優位性を担保するのは自分の能力である。一般人よりは自分がうまくできそうな内容に絞り込んだ方が良い。
③属人性がある
一般にはスケールしづらいという観点でビジネスの敵とされる属人性だが、スモールビジネスにとっては味方である。スケールが求められる大企業やベンチャーは参入しづらいからである。
④称賛されない
取り組んでいること自体を称賛されるビジネスはその時点でかなり危うい。まず称賛されるビジネスは、市場機会に対し過剰な参入を招く。さらに言えば、困難な課題に挑むことが称賛される場合が多く、これは成立しづらいビジネスであることを意味する。「褒められたい」という、ビジネス自体に不要な欲求を排除することで、成功率を高めることができる。
⑤既に類似サービスに金を払っている市場が存在する
「既に市場が存在する」ということは、提供している商品・サービスには競合が存在し、金が支払われていることを意味する。とにかくまずは、類似サービスにどの程度金が流れ込んでいるかを知ること。全く新しいものに金を払えというのは非常にハードルが高い。既に金が払われており、サービス提供者も儲かっている状態の市場に参入し、その金を少しかすめ取る方法を必死に考えて実行するのがスモールビジネスである。
鉄板の成功スモールビジネス
儲かっているスモールビジネスオーナーは、次のビジネスを行っていることが多い。
- デジタルメディア
- 広告運用(D2Cを含む場合もある)
- 人材派遣、SES
- コンサルティング
- システム開発
- 不動産運用
- 営業代行
- 教室
- フリーランスマッチング
とにかく、小規模ながら安定着実に稼いでいるビジネスモデルを発見したら、マイナーチェンジコピー品を作れないか考える。この時、ビジネスモデルに差別化を求めるのではなく、次の3つが差別化を生むと考える。
- 顧客セグメント
- 仕入先
- そこに関連するコンテンツ
スモールビジネスの戦略を構築する方法
スモールビジネスでは革新的なことは目指さない。アイデアを考える方法はシンプルである。
①自分の経験を振り返り探査領域を定める
基本的にスモールビジネスの武器は「自分」である。基本的には次の3点が個人としての競争力と言える。
- 能力
業界内で上位である必要はない。能力のみで戦うのではなく、能力を使って他人がやりたがらないことをやる。 - ネットワーク
顧客が求めるアウトプットを提供するには、多くの人や企業と密接な協力関係を築く必要がある。 - 専門知識
Excel×金融、Excel×管理会計など、能力と専門知識を掛け算することでポジションを作ることができる。
自分自身が持つ武器を整理し、その武器が適用可能な事業領域(ビジネスモデル×コンテンツ)を考える。
②探査領域において儲かっている企業を発見し儲かる手法を知る
目安として、自分の目標営業利益の10倍以上儲けている会社が容易に多数発見できる領域を最低基準とする。次の情報チャネルを活用し、自分が対象とする事業領域で儲かってる会社を調べ尽くす。
- IR資料
- 非上場企業の決算(官報)
- 投資情報
- プレスリリース
- 業界紙
同じ領域内でも儲かっている会社と儲かっていない会社は存在し、そこには必ず成功要因がある。その成功要因をコピーし、その会社のミニバージョンを作る。
③対象顧客セグメントを明確にし、バーニングニーズを発見する
顧客自身がニーズとして語ることと、ニーズを満たしたら金を払うことには大きなギャップがある。相手にする価値のあるニーズは「細かいことはいいからとにかくやりたい!」というニーズの中の燃え盛る欲望、バーニングニーズである。バーニングニーズを把握するには、次の2つのアプローチがある。
- 売れているサービスの着火点を辿る
- 対象セグメントに憑依する
④成功企業の「儲かる手法」を改変しマイナーチェンジコピー品を創出する
顧客セグメントを特化し、スモールビジネスの特徴を活かす要素を加える。頻繁に使われるマイナーチェンジの手法には以下のものがある。
- 対象セグメントを絞りサービスの競争力を局所的に高める
- 提供サービス・機能を絞り価格を下げる
- サプライヤーを変更し価格を下げる
- マーケティング軽視業界でマーケティングを最適化する