恐れながら社長マーケティングの本当の話をします。

発刊
2019年12月23日
ページ数
340ページ
読了目安
406分
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推薦者

これからのマーケティング組織の考え方
デジタル化が進み、顧客の多様化が進んだ現在、旧来型のマーケティング手法と組織では、顧客を獲得できない。マーケティング領域でのデジタルイノベーションに対応したマーケティング組織の作り方を紹介している一冊。

社長がマーケティングを統括する時代

現在のマーケティングは「4P」(Product、Price、Place、Promotion)で構成されている。商品戦略、価格戦略、流通戦略、コミュニケーション戦略(広告・販売促進)までがマーケティングである。日本では長らくその中のPromotion、コミュニケーション戦略だけがマーケティングと呼ばれて来た。さらに少し前まではそのPromotionを細分化した、ストラテジー、クリエイティブ、メディア、PRといった中のストラテジーの部分だけをマーケティングと呼んでいた。日本の「マーケティング」は一部の機能に偏って、部門やエージェンシーによっててんでに捉えられてきた。

しかし、これらは4P全体でマーケティングを設計する必要がある。Product、Price、Place、Promotionはそれぞれ独立して見るべきものではなく、それぞれが影響し合い、それぞれを掛け合わせることで大きなマーケティング効果が期待できる。マーケティングはこれら4P全ての力を注いで戦う総力戦の時代に突入しており、経営層の判断が必要である。

マーケティング組織を作る

社会のルールが変化する中で、マーケティング組織を正しく作り、機能させるには以下の手順を行う。

①マーケティング組織の全体像を設計する
②その組織の回し方を決める
③その組織に企業カルチャーを植え付ける
④マーケティングの損益計算をルール化する
⑤採用方針、育成方針を決める
⑥外部パートナー連携の仕方を決める

①〜③は社長が担当する。そして、肝心なのは、これを持続可能なものにできるかどうか。そこで、次の3つを社内に貯める感覚が必要である。

①直感力
直感力に秀でた人を育てる

②共有知見
デジタル知見に秀でた人間を1人雇用し、チームに知見を共有するルールを作る

③データ
今すぐマーケティングに使えるかどうかに関わらず、将来の事業を見据えながらデータを取得する。データは各部署に分散していて、アクセス権がバラバラなものを整理する。

デジタルを使ったプロモーションの基本

マーケティング領域においてデジタルイノベーションが起きている現在、新しいPromotion手法を採り入れる足を引っ張っているのが部署のセクショナリズム、部分最適化である。

「ファネル」は、広告がやるべきことだけを整理したもので、次の三層からなる。

①トップ・ファネル(認知):TV、バンパー、Trueview(TV的運用)
②ミドル・ファネル(自分事化):SNS広告、Trueview(SNS的運用)
③ボトム・ファネル(刈り取り):リスティング、リターゲティングバナー

TVCMを企画してからWEBをどうするか、ではなく、ミドル・ファネルを先に企画して、その中の代表をTVCMにする。ミドル・ファネルの役割は「いかに自分にとって価値があると理解してもらうか」(自分事化)である。

ここで態度変容度が大きいのが、WEBCM施策。ターゲットをクラスターに分け、コンテンツを複数制作する方法と、商品で訴求すべきポイントごとに、コンテンツを複数制作する方法がある。社会が多様性に突き進んでいることから、クラスター分類という考え方が今後ますます重要になる。

ミドル・ファネルのWEBCMを先に作り、マスに響くものをTVCMに格上げする。事業を極力リスクなく成長させるためには、獲得しやすい層(CPAの低い層)から広告予算を投じるのが原則である。ボトム・ファネルからトップ・ファネルに上がっていく。

トップ・ファネルに位置するマス広告だけならば、コンテンツの最適化だけで良かったが、フルファネルのやり方では、どれだけ効率良くターゲットにアプローチできるかというメディア活用の最適化も加わり、全体最適となる。新しいマーケティングに対応できる組織の体制づくりが要となる。