人工知能に負けない脳 人間らしく働き続ける5つのスキル

発刊
2015年8月27日
ページ数
200ページ
読了目安
193分
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人工知能時代において求められるスキルとは
脳科学者の茂木健一郎氏が、来るべき人工知能時代において、人間としてに役割と磨くべきスキルについて紹介している一冊。

IQや偏差値がナンセンスな時代に

コンピューター技術が今のスピードで発達し続けると、ある地点で人類の知能を超える究極の人工知能が誕生する。それが30年後の2045年だと予測されている。人工知能プログラムが人間の知能を超えて進化し続けると、コンピューターは自分で自分を改良できるようになっていく。つまり、人工知能の能力はどんどん「ブラックボックス化」していく。そのため、人工知能をどうコントロールするのかという点が問題になっている。

人類の知能を超えた人工知能は、あえて数値化すればIQ4000といったレベルになるとも言える。こうなると、人間と人工知能のIQを比較する事自体、もはや意味がない。人工知能時代にはIQや偏差値などナンセンスとなり、そもそも気にする必要など全くなくなる。計算力や記憶力を活かした仕事は、人工知能にまかせてしまえばいい。

 

人間が求められている役割について考える

急速に進化する人工知能の技術開発を横目に、私達が今考えなければいけない問題は、人間が求められている役割について戦略を立てていくという事に尽きる。人工知能の研究によって、人間がなすべき仕事の役割や働き方が大きく変わっていくのは目に見えている事実である。これまで人間にしかできないと思われていた仕事がロボットなどの機械に取って代わられようとしている。

人工知能の特徴は、人間にルールや評価基準を決めてもらい、それに従って忠実に稼働する「マニュアル人間」の典型のような存在だといえる。その意味において、私達が人工知能時代を生き抜くヒントとは、ルールや評価の基準が決まっていないところで真価を発揮する事である。

 

人工知能時代を先取りするために必要なこと

①知識や教養、肩書きや組織に依存しない
知識や肩書き、組織などに流される事なく、実質をしっかりと見て判断する事が重要である。人の判断を人工知能がアシストできるようになれば、これからの時代において、肩書きに頼る事がなくなっていく。実力主義のパイが、権威主義を超えて大きくなっていく。

②不特定多数の人と自由にコミュニケーションする
人間の脳でしか伸ばすことができないスキルこそ、コミュニケーションである。人工知能が爆発的に発展する時代においては、コミュニケーションにおける差が、人類のニュータイプと旧人類ほどの差となって出てきてしまう。コミュニケーションに関して大切な事は「自分の長所と短所を正確に把握すること」である。これができるようになると、長所も短所も合わせて個性だと客観的に認識できるようになり、コミュニケーションも上手くいく。

③「身体性」を向上させる
身体性とは、物理的な身体の存在が周囲の環境との相互作用を可能にするという意味だけでなく、学習や知能の構築にも良い効果をもたらす事を指している。人工知能やコンピューターは身体性を持たない。そのため、特に人間だからこそ持つ身体性は、大きなアドバンテージになり得る。即ち、体を鍛えるという事は人間らしい非常に有効な方法である。身体性を高めるには、「いい無茶ぶり」をつくること。脳のドーパミンという神経伝達物質は、無茶ぶりによって自分が越えられるかどうかわからない、ギリギリのハードルを越えた時に出る。

 

人工知能時代の本質的な思考

人工知能が一般的に解いているのは一定の制約の下での問題解決である。つまり「できない理由よりもできる理由を1つでも探していく」という発想を持つ事が大事である。

「できる理由」を見つけ出すには、一般常識や固定観念の前提をしっかり明示していく事である。前提になっている条件を明確に意識する事で、発想の可能性を広げていく事ができるようになる。