無自覚に使われる時間こそが無駄
「Time is on my side(時間は常に私の味方だ」というのが、トップリーダーの時間に対する特徴的な考え方である。忙しく時簡に追われるのではなく、時間を支配し、味方につけて、自分の持ちうるすべての時間を意味ある事に使う。
トップリーダーには、無駄な時間は一切ない。これは、余暇の時間が全くないという意味ではない。余暇やバカンスなど「楽しむこと」を「無駄」と定義しているわけではないという事である。
彼らが「無駄」と感じているのは、無自覚に無意味に使われる時間の事である。例えば「何をしようか悩んでいるだけで、結局今日は1日中ダラダラしてしまった」「よく内容も確かめずに参加したら、自分とはあまり関係のない会議だった」といったように、自分の支配から離れてしまった時間を「無駄」と定義している。
時間を支配するマインドセット
世界を舞台に活躍する「トップリーダー」には、「時間」という概念についての考え方に共通点がある。誰よりも忙しく働き、誰よりも「会いたい」と求められ、誰よりも「学びたい」という好奇心を持ち続けている彼らは、人生を通して時間の大切さを痛感している。
彼らは「時間は常に私の味方だ」と考えている。彼らは決して時間に追われる事がない。「時間を支配できる、味方につけられる者だけが、自分のすべき事を成し遂げられる」と信じている。「トップリーダー」には忙しい人特有の必死さや、悲壮感がない。今目の前にある「時間=人生」を楽しみながら、意識的に時間を使っているからである。
例えば、タクシーに乗っている移動時間も「街を眺める事で情報収集をしている」と考える。経営者仲間とのランチタイムは「長く続けられるビジネスの相手と、信頼関係を醸成するために必要な時間だ」と考える。睡眠のように誰もが当り前にとる時間でさえ、「仕入れた情報を脳に定着させるための時間」「リフレッシュして朝一番から仕事に取り組むために必要な時間」と捉える。
彼らにとってはすべての瞬間がゴールへの道のり。何一つ無駄な時間がないから、時間を使う事に罪悪感がない。このように「トップリーダー」は、時間に対する意識が高い。
彼らは日常的に使う時間の単位を小さくしていく事で、ざっくりと大雑把に時間を捉えてしまう事を予防している。1分を60秒、1時間を60分、1日を1440分、人生を30000日と表現してみる。このようなちょっとしたマインドセットや工夫が、時間に対する意識を高める。
時間を支配するための3つの考え方
トップリーダーが時間を味方にするために考えているポイントは3つ。
①目の前の時間の価値を意識する
②「自己重要感」を高め、自分の時間の価値を意識する
③将来のビジョンを掲げ、そこから今この瞬間の選択を導き出す
時間を意識的に使う
無駄な時間をなくすために必要なのは「時間を意識的に使う」というマインドセットである。「今は何のための時間なのか」を常に意識し続ける。行動は今までと同じでも、考え方を少し変えるだけでいい。
家族とのバカンス休暇を「仕事に備えてリフレッシュしている」、パーティーに参加するのは「長く続けられるビジネスの相手と、信頼関係を醸成するために必要だから」と考える。帰宅してから家で1人、軽くお酒を楽しむ時間は「アイデアを生み出すために自分と対話する時間」、眠る時間は「仕入れた情報を脳に定着させるための時間」と捉える。つまり、普通の人が「休暇だ」「飲み会だ」としか感じない一見すると意味のない時間にも、意識的に意味を与えている。
常に「今は何のための時間なのか」を自分に問う習慣がつくと、「本当に無駄な時間」を削れるようになる。そして、最終的には時間を使う事への罪悪感から解放される。「自分は有意義な事に時間を使っている」と思えるからこそ、時間に追われる事がなくなる。
まずは「人生のゴール」を定めること。今すべき事が瞬時に判断できる状態を作る事である。そうすれば、すべての瞬間がゴールへの道のり。「今何をすべきかを理解して、今しかできない事をしているから、何1つ時間の無駄がない」という理想的な時間の使い方ができるようになる。
自分の時間の価値を知る
時間を味方にするためには「自分の時間の価値」を知る事も必要である。トップリーダーは「自分の時間に高い価値がある」という事を知っている。彼らは、自分の能力に自信があり、ビジョンに自信がある、「自己重要感」の高い人間である。そのため、優れた能力を持ち、大きな目標を達成しようとしている「自分の時間」に高い価値がある事を確信できる。
誰よりも「自分の時間の価値の高さ」を知っているので、緊張感を持って自分の時間の使い方を考えるようになる。「今は何のための時間なのか」という問いが自然に生まれる。これが一瞬一瞬を大切に生きる事につながる。
「自分の時間の価値の高さ」を感じられる人と、そうでない人の違いは1つ。時間に対して無自覚な振る舞いをしている人達は「自己重要感」が低い。自己重要感の土台は、過去の努力である。休み返上で働いた経験、必死で勉強した経験などの努力と、その結果得られた目覚ましい成果や実績が、「自己重要感」を支える。他人には真似できない、血がにじむほどの努力をして、他人が到底達成できない成果を手に入れたという経験が自信に変わり、その積み重ねで「自己重要感」が高まっていく。