真の意味で自分を知っている人は幸福度が高い
自己認識とは、自分自身のことを明確に理解する力、自分とは何者であり、他人からどう見られ、いかに世界へ適合しているかを理解する能力だ。自分自身のことや他人からどう見られているかを理解している人間の方が幸福度が高いという科学的証拠がある。そういう人々の方が賢明な判断をする。公私ともにより良い関係を築く。自己認識は私たちの成功と幸福によって重要な役割を果たす。
しかし、私たちは他人の認識不足はすぐに責めるが、自分に認識が欠けているかを自問することは極めて稀である。自己認識の欠如によって生じる事態は、自分の能力に対する自信過剰や、自分自身の価値観や目標を明確に持てず、自分にとって最善ではない選択をし続けてしまったりする。
内的自己認識と外的自己認識
①内的自己認識自分自身を明確に理解する力。自分の価値観、情熱、野望、理想とする環境、行動や思考のパターン、リアクション、そして他者への影響に対する内的な理解である。内的自己認識の高い人物は、本来の自分に見合った決断を下し、より幸せで満足度の高い生活を送る傾向にある。
②外的自己認識
周りが自分をどう見ているかを知る力。外的自己認識に長けた人々は他人の視点から自分自身を正確に理解できるため、より強固で信頼度の高い関係を築くことができる。
内的自己認識ができる人は、外的自己認識もできると想像しがちだが、この2つには何の相関関係も見られない。真の意味で自分を知るには、自分自身を知ると同時に自分がどう見られているかを知る必要がある。
インサイトの7つの柱
大人になってから自己認識に劇的な向上があった人たちは、自己認識に欠けた人々には見られない特徴的な7種類のインサイト(理解)を持ち合わせている。
①価値観(自らを導く行動指針)
②情熱(愛を持って行うもの)
③願望(経験し、達成したいもの)
④フィット(自分が幸せで存分に力を尽くすために必要な場所)
⑤パターン(思考や、感情や、行動の一貫した傾向)
⑥リアクション(自身の力量を物語る思考、感情、行動)
⑦インパクト(周りの人への影響)
7つの柱すべてにとって一番大切なのは内側の視点と外側の視点の両方を持つことだ。それができて初めて、自分自身のことや、自分がどう見られているかを真に理解することができる。
内的自己認識を強化する
①「なぜ」ではなく「何」を問う「なぜ」の質問は過去に自分を追い詰め、「何」の質問は潜在的な可能性に目を向けさせてくれる。
②比較と対比
これまでの自分の経験や、思考や、感情や、行動の中で共通する点や異なる点を探す。過去に気づかなかったパターンを探す。
③リフレーミング
自分の状況や振る舞い、関係を新しく違った角度から眺める。
④一時停止
疑念を何度も脳内で再生するのではなく、そこから離れて、より冷静な状態で問題と向き合うようにする。
⑤思考停止
決断後の反芻を停止する。
⑥事実確認
反芻に囚われている時、信頼する誰かに事実確認してもらう。
⑦ソリューション・マイニング
解決策に焦点を当てる。早く目標に辿り着くだけでなく、考え込むことを抑えて理解を増す。