決定力! 正解を導く4つのプロセス

発刊
2013年9月20日
ページ数
416ページ
読了目安
611分
推薦ポイント 8P
Amazonで購入する

Amazonで購入する

より良い選択をするにはどうすればいいのか
人間の脳は、バイアス(偏見や先入観)などによって、不合理な考え方をする。意思決定にかかわる4つの罠を紹介し、それぞれの罠を打ち破る方法を説く。
より良い意思決定をするための方法がわかる本です。

不合理な脳

「脳の働きで驚くべき特徴の1つは、めったにうろたえない事である」と心理学者のダニエル・カーネマンは話している。彼は、私達がいとも簡単に結論を導き出すと説明している。それは、私達が目の前にある情報を重視しすぎ、視界の外にある情報を考慮しないからだ。この傾向を「スポットライト」効果と呼ぶ。

スポットライトが当たっている情報だけで、正しい判断が下せる事はめったにない。でも、私達はスポットライトを動かすのを忘れるだけでなく、スポットライトの存在自体を忘れる事もある。

近年、多くの本や論文が、私達の意思決定の問題点を明らかにしている。バイアス(偏見や先入観)、不合理な考え方。意思決定という点でいえば、私達の脳がポンコツ機械なのは明らかだ。意思決定を改善したいなら、そのバイアスの仕組みを学ばなければならない。

 

意思決定の4つの罠

意思決定には4つの致命的な罠がある。

①視野の狭窄
視野の狭窄とは、選択肢を狭めすぎ、意思決定を白か黒かで見てしまう傾向の事だ。私達は「二人の関係をもっと良くする方法は?」と考える代わりに、「恋人と別れるべきか否か?」と考えてしまう。

②確証バイアス
私達は生活の中で、ある状況について直感的に信念を抱いた後、その信念を裏付ける情報を探すという習慣がある。例えば、特定の政党の支持者は自分の考え方を裏付ける情報源は探しても、別の政党の意見に目を向け、自分の信念を疑う事はめったにない。

③一時的な感情
難しい決断に直面すると、感情が揺さぶられる。悩んだ挙句、目の前が見えなくなる。

④自信過剰
私達は自分が実際以上に未来予想に長けていると思っている。未来について予想する時、手元にある情報にスポットライトを当て、その情報から結論を導き出す。

 

意思決定のプロセス

一般的な意思決定プロセスは4つの段階に沿って進む。しかし、各段階には4つの罠が潜んでいる。

①選択に直面する → でも「視野の狭窄」によって選択肢を見逃してしまう
②選択肢を分析する → でも「確証バイアス」によって都合の良い情報を集める
③選択する → でも「一時的な感情」によって間違った選択をしがちになる
④選択の結果を受け入れる → でも未来の出来事について「自信過剰」に陥る

 

WRAPプロセス

バイアスをなくす事はできない。しかし、正しい習慣さえ身につければバイアスを弱める事はできる。4つの罠を打ち破るプロセスは次の通りである。

W:選択肢を広げる(⇔視野の狭窄)
・検討している選択肢がどれも選べないとしたらどうするかを考える
・複数の選択肢を並行して検討し、ORではなくANDで考える
・自分と同じ問題を解決している人を見つけ、新しい選択肢を生み出す

R:仮説の現実性を確かめる(⇔確証バイアス)
・反対意見が言いやすい状況を作る
・否定的な情報が判明しやすい質問をする
・逆を考えて自制を効かせる
・外部の視点に立って、他の人々の経験から教訓を得る
・状況にクローズアップして、意思決定の参考になる色合いをとらえる
・小さな実験を通じて選択肢を広げる

A:決断の前に距離を置く(⇔一時的な感情)
・10分後、10ヶ月後、10年後にどう感じるか考えてみる
・他人にアドバイスする場合はどうかを考えてみる
・核となる優先事項を見つけて明文化する

P:誤りに備える(⇔自信過剰)
・想定される出来事の全体像を描き、未来を「幅」で考え、悪い状況、良い状況の両方に備える
・日付、指標、小分けにするなど、アラームをセットし、リスク・テイクに安全地帯を設ける