倒産の前兆

発刊
2019年8月6日
ページ数
224ページ
読了目安
213分
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倒産する会社のパターン
帝国データバンクが、これまでに倒産した中小企業の事例から、倒産に至る前兆を紹介している一冊。倒産した企業に共通する破綻の公式を解説しています。

破綻の公式1 業界構造、市況変化の波を打破できない

業界内での自社ポジションや、市況は日々移り変わる。周囲を取り巻く環境の変化に対して柔軟に対応できなければ、企業は倒産への道を辿ることになる。周りの状況はどうであれ、企業の業績は、顧客ニーズにいかに応えたかによって決まってくる。

・子供服リサイクルショップ運営 AKIRA
全国100店舗に迫る勢いだったが、「メルカリ」など、リユース市場に特化したECサイトの台頭で実店舗での販売実績が落ち込み始め、FC運営に失敗。

・ステーキレストラン経営 ステークス
ステーキハウス「KENNEDY」を展開し、店舗数40店舗にまで拡大するが、安売り戦略によって「半額でないと行かない」と消費者をミスリード。「いきなりステーキ」の登場に対して、トレンドに合致しない戦略が失敗。

破綻の公式2 大ヒット商品が綻びを生む

業績を大きく伸ばすヒット商品の誕生に伴って、経営者は積極的な投資に乗り出す。しかし、ブームは一過性であることも多い。かつての過剰な投資が尾を引き、後々破綻に至る。

・化粧品・ヘアケア製品販売代行 ジャパンゲートウェイ
「ノンシリコンシャンプー」で一大ブームを巻き起こすも、同業他社が類似製品を次々と投入し、差別化が図れずに店舗での売上が落ち込む。在庫と多額の広告宣伝費が重荷となり資金繰りが悪化。

破綻の公式3 旧来型ビジネスモデルにしがみつく老舗は潰れる

長い歳月にわたって、先代社長から引き継いできた「歴史あるビジネスモデル」は、老舗企業にとって大いなる遺産である。しかし、時代の変遷に応じて、経営戦略を変化させていく適応力がなければ、かえってその遺産によって、首を絞められることになりかねない。

・和菓子製造販売 花園万頭
184年の歴史を持つ老舗。コンビニスイーツとの競合や高級路線一辺倒で、新規の若者層を取り込めず、資金繰りが悪化。

破綻の公式4 ベンチャー企業の急成長は急転落の序章である

売上が急増すると、事業継続のために必要な運転資金も共に上がっていく。その両輪への目配せを怠ると、後々悲劇に見舞われる。

・格安スマホ「FREETEL」運営 プラスワン・マーケティング
大手携帯キャリアからの乗り換えで利用回線数は40万回線を超えて急成長も、キャリア系の格安スマホが次々に登場し、新規契約数が低迷。多額の広告宣伝費、販売店へのリベート費用がかさみ、資金繰り悪化。

破綻の公式5 攻めの投資で上場企業が破綻する

いかに安定した基盤を持っていても、攻めの投資に打って出た金額が、痛手になるほどの負債に変わることがある。好調時のわずかな誤判断が、倒産の前兆になる。

破綻の公式6 経営陣と現場の乖離は取引先の離反の元

経営上の意思決定を行う上層部と、実際に事業を動かしていく現場の社員の意見が食い違うことはよくある。しかし、ある時生じた「溝」を放置してしまうと、取引先や顧客からの信用失墜を招く種ともなりうる。

破綻の公式7 信頼構築のためにトップが不正行為に手を染める

先々の成功を願い、目先の利益を得る策に走ることは、吉と出ることもあるが、その内実が「不正行為」であれば、許されない。粉飾決算、簿外債務、多重リース、これらへ至る道は、自社の成長を願えばこそ、幕が開いてしまうこともある。

破綻の公式8 「倒産の前兆」はあなたの会社にも存在する

いかに安定した経営基盤を持つ優良企業であったとしても、会社が潰れる「前兆」と言えるサインは、すべての企業に必ず存在する。そのシグナルを見落とさず、先んじて手を打つことが、企業存続のためには何より重要である。