企業が成功し続けるための条件
変化の激しい時代にあっても健全な、成功し続ける会社を築くには3つの要素を適切にする事が必要となる。
①戦略的基盤(市場、顧客、競合他社、競争優位性、変革者)
②ハードエッジ(スピード、コスト、サプライチェーン、流通、資本効率)
③ソフトエッジ(信頼、知性、チーム、テイスト、ストーリー)
この内、企業の持続的優位を支えるのが「ソフトエッジ」である。ソフトエッジはビジネスにおいて最も真価を認められていない側面である。なぜなら、ソフトエッジは数字で表すのが難しいため、投資に対する投資利益率を示しにくいからである。
企業が生き残って成功し続けるには持続的なイノベーションが必要である。そのイノベーションが自然に起きる健全な状態は、「ソフトエッジ」から生み出される。
企業が持続的に成功するための5つの条件
①チーム全体の信頼を高める組織にとって、信頼には主に2つの側面がある。1つは顧客との間に築く「対外的な」信頼。もう1つは従業員とマネジャーと経営幹部の間に築かれる「対内的な」信頼である。組織のシステムと文化が浮き彫りになるこのタイプの信頼は、経営サイドの威信と、敬意をもって扱われているという従業員の実感によって生まれる。信頼は経済的価値の観点からすれば曖昧だが、現実的には高潔さや尊敬、誇りといった感情によって生まれる信頼感が、利益を生み、生産性を飛躍的に向上させている。
イノベーションの鍵は組織の文化にある。信頼は知識の共有や学習成果に影響を及ぼす。従業員がみな互いに信頼するようになると、参加と学習と実験が促進される。結果として、信頼できる環境では創造性が豊かになり、イノベーションも起きやすい。
②変化に対応し続けるための「知性」を育てる
ビジネスの世界において「知性が豊か」である事は、成績評価で満点をとったり、高いIQを持つような優秀な人材を探す事とは関係ない。懸命に励む事の大切さ、粘り強さやレジリエンスの重要性と関係がある。それは何があってもやり抜く気概である。気概は、呑み込みのスピードアップに直結し、多くを学び速く順応できるようにする。
③失敗を恐れないチームをつくる
高い業績をあげるチームをつくるには、次の5つのポイントがある。
・少人数のチームにする
・人種や性別、年齢、経験、思考スタイルにおいても多様性を促進する
・メンバーには、チーム中心の姿勢、情熱、気概を持っている人を選ぶ
・高い期待を寄せている事をはっきり表明する
・思い通りに仕事ができる範囲を与える
④他社には真似できない「テイスト」を生み出す
テイストはデザインを超えるもの、感情に訴えかけるものである。テイストは三大要素(機能、形、意味)から始まり、それらを統合する。テイストは天才がたまたまひらめいて生まれるものではない。不断の努力と、規律の正しさと、粘り強さがあって初めて生まれるものである。
⑤心に響くストーリーの語り手になる
ビジネス界では、ストーリーは新しいブランドを世に出したり既存ブランドのイメージを高めたりするために使われる。新入社員を教育し、ベテラン社員に活を入れるためにも使われる。ストーリーが重要なのは、それが記憶に残るからである。私達の考え方や行動の仕方や感じ方を変える事もある。他人を納得させ、抵抗を克服する最も強力な手段は、考えを感情に結び付ける事である。それには、心に響くストーリーを使うのが何より効果的である。