チャレンジャー・セールス・モデル 成約に直結させる「指導」「適応」「支配」

発刊
2015年10月30日
ページ数
291ページ
読了目安
382分
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これからの営業マンに求められる資質
今や営業に求められるのは「顧客に価値や知見を提供する」ことである。複雑化する商品やサービスを売るにあたって、必要な資質とは何かを示し、営業成績の高い販売員を育成するための方法を紹介する一冊。

複雑化する営業

ソリューション営業は、一般には「個々の製品の売上」重視から「製品・サービスの包括的なコンサルティング販売」重視への移行と表現される。成功の鍵は、幅広い顧客ニーズを満たし、ライバルが簡単にまねできないユニークなバンドル製品をつくる事だ。ソリューション営業を重視する大きな動機は、個々の製品・サービスの差別化が難しくなるという圧力にある。

ソリューション営業は飛躍的に進化し、もっと大きく複雑、高価かつ破壊的な「ソリューション」を売り始めた。その結果、買い手のB2B顧客は、これまでになく慎重で手ごわくなっている。その特徴は次の4つ。

①取引を成立させるためにコンセンサスの必要性が高まった
②リスクを回避傾向が高まった
③カスタマイゼーションの要求が高まった
④第三者のコンサルタントを雇うケースが増えた

購買のあり方は大きく変化し、その結果、伝統ある営業テクニックも、もはや昔のように効果を発揮しなくなった。いまや平均的な販売員は、ごく単純な案件でない限り、悪戦苦闘する。営業が複雑になると、ハイパフォーマーと平均的パフォーマーの差が劇的に拡大する。

 

販売員の5つのタイプ

成績の良い花形販売員は、平均的な販売員とどこが違うのか。調査の結果、世の中のB2B営業担当者は5つのタイプに分けられる事がわかった。

①ハードワーカー(勤勉タイプ)
朝早く出勤し、夜遅くまで居残り、常に頑張りを惜しまない。どの販売員よりも多くの電話をかけ、多くの訪問をこなす。

②リレーションシップ・ビルダー(関係構築タイプ)
顧客の組織と強力な関係を築き、顧客の組織のあちこちに賛同者を確保する。時間を惜しまず働き、顧客のニーズに応えようとする。親しみやすさとサービス精神がウリ。

③ローンウルフ(一匹狼タイプ)
自信家で、ルールよりも自身の直感に従う。多くの点で「気難し屋」で、思い通りに行動できないくらいなら何もしない。

④リアクティブ・プロブレムソルバー(受動的な問題解決タイプ)
細部に目を配る、信頼できる販売員。営業活動の過程でした約束は、すべて守るのが当然だと考える。販売後のフォローアップを重要視し、サービスの実行に伴う問題には迅速かつ徹底的に対応する。

⑤チャレンジャー(論客タイプ)
顧客のビジネスを深く理解しており、その理解をもとに顧客の考え方に強く働きかけ、顧客企業の競争力アップについて指導する。論議を呼びそうな見解であっても臆する事なく披露する。自分の考えを強く押し出し、価格設定のような事についても自己主張する。

5つのタイプの営業成績を比べたところ「チャレンジャー」が飛び抜けて成績が良く、「関係構築タイプ」が断然成績が悪かった。

 

ソリューション営業に必要な資質

チャレンジャーは次の資質を備えているのが特徴である。

①指導
顧客のビジネスについて独自の視点を持ち、双方向の対話能力に長けており、営業上のやり取りの中で差別化ポイントを指導する事ができる。

②適応
顧客の「価値向上要因」や「業績促進要因」を把握しており、顧客組織の中の正しい人に正しいメッセージを伝え、共感を得られるよう適応する事ができる。

③支配
お金の話もいとわず、必要とあらば顧客に多少の無理強いができる。従って、営業プロセスを支配する事ができる。

ソリューション営業では、顧客に行動を変えてもらわなければならない。そうしてもらうためには、ビジネスの新しい見方を顧客に提示し、自分達のビジネスについて違う発想をしてもらわなければならない。よって、価値重視またはソリューション志向の営業アプローチを目指すならば、顧客に対して論客としてふるまえる「チャレンジャー」販売員が絶対必要になる。