30代は正解のない仕事で結果を出す必要がある
30代は大きな仕事やチャンスを掴み、自分で人生を動かす「輝くリーダー」へと変貌する人がいる一方で、簡単な仕事しか与えられず、スキルも身に付かず「永遠の作業員」で40代を迎える人もいる。
ビジネスパーソンとして、羽ばたく人、くすぶって終わる人の差は「働き方」の違いにある。その働き方とは「成果のコスパ」である。労力やコストに対して、どれだけの成果が得られるかを意識しなければならない。成果を出し、周りから認められるからこそ、仕事もチャンスも集まる。
20代と30代以上とでは、求められる「成果のコスパ」が変わる。「正解のある仕事を効率よくこなす」から、「正解がない仕事でも、成果を出す」へと働き方をアップデートしなければならない。
30代で「これだけ」やれば困らない5つのポイント
①向いた環境で評価される
成果が求められる30代は、有利な餌場でラクに速く育ち、羽化しやすい環境にいることが一番である。そのために求められるのは、自分に向いている環境(業界、会社、職種)に身を置くこと。自分の「得意なこと、向いていること」(=持ち味)の中から、「好きな仕事、やってみたい仕事」を選べばいい。30代は、不得意なことを克服している時間はない。
これからのキャリアは、「線(同業界/企業)」で考えるのではなく、「面積(他業界/企業/職種/役職・ポジション)」で考えてみるとよい。面積を広げることで、自身の提供価値が広がり、その分、活躍できる場所が増えていく。
自身が活躍できる場に広げる時に必要な考え方が、「逆張り」である。活動しているマーケットで、必要だけど足りてないよそ者の視点と知見は何か。そのポイントを観察して提供できれば、自分だけのポジションを確立できる。
キャリアの面積は人軸(資質・スキル・経験) × 場所軸(業界・会社・職種・役職/仕事)で決まる。ここで重要なのは、人軸は資質に沿ったスキルであることである。単にスキル × 経験・実績を掛け算すると、業界の普通の人になる。そのため、資質=持ち味(動機・性格・価値観)を洗い出し、スキルと掛け算し、オリジナルの強みをつくることが大切である。
自分の資質(持ち味)を知るには、次の4つの視点で洗い出せばよい。
- 周りからの「ありがとう」の声を集めて、その内容を確認する
- 人より、速くラクに、飽きずにできることを書き出す
- 苦手なことを書き出し、「いい意味で」逆転させる
- 「心にひっかかる」ことに着目する
②効果の出る仕事に集中する
最短で結果を出すためには、まずやる気のでない目標を「自分事」に変えることがスタートになる。課された目標を達成したらどうなるのか、どれだけ「すごい」ことになるのかを、自分自身の言葉にしてみるとよい。その上で「効果の出る行動計画」に落とし込んでいく。
「効果が出る行動計画」を策定するには、期日、タスク、ノルマといった予定だけではなく、「こうすれば上手くいきそうだ」という「作戦」まで盛り込む必要がある。
- 予定:ゴールから逆算した予定、ノルマ、タスクが書かれたもの
- 作戦:効果が出るコツが、筋書きに沿って盛り込まれた攻略方法
仕事の攻略法を知るには、優秀な人からコツを教えてもらうのが一番手っ取り早い方法である。その際のコツは、仕事の流れに沿いながら、「普通の人と違うポイントはどこでしょうか? 一番違うポイントから教えて下さい」と聞いていくことである。
③苦手な人も「キャラ」だと割り切って付き合う
30代では利害が対立する相手や、相性の悪い苦手な人も動かさなくてはならない。嫌な相手は「キャラ」と割り切ってしまうのが正解である。「キャラづけ」をしたところで、好きになれない人はいるが、自分自身のフィルターを抜きにして、冷静に人間関係を見つめ直すことが必要である。
④「根回し」で組織を活用する
30代からは「正しい意見を実現可能な形で通して、組織を動かしていく」ことが求められる。いわゆる社内政治が大事になる。そこで必須なのが「根回し」である。根回しの本質は「反対意見を事前に把握しにいくこと」である。そして、反対理由を把握し、やらない理由を1つずつ潰し、提案内容のリスクを減らし、完成度を高めながら、賛成派を増やしていく。
コツは根回しをゲームと割り切って楽しんでしまうことである。根回しは、物事を自分の頭で考え、判断できる理性的な人から行う。そして、意思決定者に近い人を押さえる。この際には上司や担当者の面子を潰さないように配慮することが大切である。
⑤「声がかかる」ように人脈をアップデートする
得意なことで独自のつながりを持ち、人的ネットワークを広げること。一番ラクで確実なのは、自分の過去の人脈を使うこと。半径5m以内の身近な縁から繋いで、広めていく。具体的にはアルムナイ(退職者の集まり)がお勧めである。