起業のすすめ さよなら、サラリーマン

発刊
2021年10月26日
ページ数
256ページ
読了目安
341分
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起業という選択肢を身近にする考え方
働く人の9割以上がサラリーマンとなった日本において、いかに起業という選択肢を選ぶことができるかという視点を紹介している一冊。具体的に起業するにはどのような選択肢やキャリアがあるのか、起業を成功するにはどうすればいいのかが書かれています。
サラリーマン以外の働き方を考える時に最初に読むと、起業の全体像を把握することができます。

サラリーマン化が社会を衰退させる

就業者数に占めるサラリーマンの割合は、1953年43.1%から、2020年90%へと倍増している。日本は過去70年で、サラリーマン社会になった。しかし、真面目に働けば、安定した仕事があって、結婚相手も職場で見つけやすくて、精神的にも物質的にも豊かな暮らしができるという「サラリーマン黄金時代」も終焉しようとしている。

 

まずもって取り組むべきは、サラリーマン教からの解脱である。サラリーマンはとにかく世間が狭い。会社、部、課、係といった村の掟に縛られて、自分の頭で考えられなくなってしまっている。サラリーマン病が深刻なのは、40代以上の世代である。出世コースを歩んでいる人は、まだ未来の希望を持てるかもしれない。しかし、管理職ポストが先細りする中、出世コースに乗れる人はほんのわずか。残りの人は、給料もさほど上がらず、仕事の裁量もスケールも上がらないという袋小路に陥る。
となると人が考えるのは、いかにうまくサボるかである。40歳も超えてくると、手慣れた仕事の繰り返しや調整の嵐になる。すると、いかに与えられた仕事を無難にこなして、給料をもらい続けるかを考えるようになる。転職や起業する意欲や勇気もなく、なんとなく会社にいる。そんな人の比率が増えると、会社が衰退していく。

 

起業家になるべき5つの理由

①サラリーマン思考から卒業できる

起業を通して、起業家マインドセットをインストールできる。

 

②キャリアアップにつながる

社外であれ、社内での起業であれ、言い出しっぺとして事業を立ち上げる経験が、最高のトレーニングになる。

 

③金銭的な報酬が大きい

起業家として成功した時のアップサイドはサラリーマンと比べ物にならない。大企業で出世競争を勝ち抜いて社長になるより、創業者や幹部としてスタートアップを創って上場する方が難度は低い。

 

④人生の自由を得られる

自分らしい生き方を、自分らしいスタイルで実践できる機会が広がる。サラリーマンとして働いている以上、真の自由を得るのは難しい。であれば、会社や社会が変わる前に、自ら主導して、変化の波にうまく乗ればいい。その代表的な手法が起業であり、「仕事のプロ」になることである。

 

⑤社会を変えられる

特に今のような時代の転換点にある時は、既存のプレーヤーよりも起業家のような新参者の方が、新しい時代の価値観を打ち出しやすい。

 

起業型キャリアの5つのタイプ

具体的に起業家になるには、5つのタイプがある。

 

①成長志向スタートアップ型

社会を変えるようなスタートアップを、VCからお金を調達して創って、ユニコーンを目指していくモデル。

 

②プロフェッショナル独立型

仕事のプロファーム。個人や少人数で、プロにしかできないサービスを提供していくモデル。建築家や、ブティック型のコンサルティング、弁護士、会計事務所、弁理士、行政書士などの資格系プロフェッショナル、デザイナー、コピーライター、コンテンツクリエイター、メディアなどのクリエイティブ型企業は少数精鋭型である。こうした一部の職種に限られていた「プロフェッショナル独立型」が、今後は、あらゆる職種へと広がっていく。

 

③スモール&ミディアムビジネス型

SMB(中小企業)分野において企業家として活躍するチャンスは様々だが、今後の注目テーマは「事業承継」と「ローカル」と「ソーシャル」である。SMBの事業承継者不足は、大きな社会問題になっている。これは経営者のニーズが極めて高いということ。最近では「ベンチャー型事業承継」という言葉も出てきている。若手の後継者が、先代の経営資源と、最先端のテクノロジーや異分野の知見を組み合わせて、新たな事業や業態や市場に挑戦することを指す。
他にSMB経営者のルートとして、サーチファンドというファンドを仲介者として、若い経営者候補をSMBに送り込むモデルがある。

 

④スタートアップ幹部型

スタートアップの幹部として経営を担い、ゆくゆくは自ら起業することも視野に入れる。成功確率が最も高いと思われるのは「大企業→スタートアップ幹部→自ら起業」というルートである。最初の大企業でどこを選ぶかに大差はない。それに対してスタートアップは本当にピンキリであるため、どの会社を選ぶのかが人生を大きく左右する。
賢いスタートアップの選び方のポイントは5つ。

  1. 創業者がいるか
  2. 創業者が好きか嫌いか(相性が良いか)
  3. ビジネスモデルが強靭かどうか
  4. センスがあるか
  5. 報酬制度がフェアか、ストックオプションをもらえるか

 

⑤大企業イントレプレナー型

大きな組織の中で、組織内外のアントレプレナーたちと組みながら、改革を実現したり、新たな事業を作り出したりする。大企業イントレプレナーの魅力は、成功した時に社会へのインパクトが大きいことである。社内調整などが大変な分、会社のブランド、営業力、開発力など、巨大なリソースを使うことができる。