ピクサー流 創造するちから―小さな可能性から、大きな価値を生み出す方法

発刊
2014年10月3日
ページ数
424ページ
読了目安
656分
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ピクサーはなぜ創造的な作品を生み出せるのか
ピクサー創業者が、創造的な発想を生み出すために必要な会社のマネジメント方法を書いている本です。皆がいかに自由にコミュニケーションをとれるかという企業文化を築くことが、いいものをつくる鍵だといいます。

ピクサーの基本的な考え

『トイ・ストーリー』をきっかけに、ピクサーのクリエイティブを特徴づける2つの基本的な考え方が生まれ、皆が心の拠り所にし、標語か合い言葉のように会議で繰り返し唱えるようになった。それを指針にして、『トイ・ストーリー』と『バグズ・ライフ』の初期段階の試練を乗り越えられた。

①物語が一番偉い
技術であれ、物品販売のチャンスであれ、何であってもストーリーの妨げになってはならない。

②『プロセスを信じよ』
様々な要素が絡むクリエイティブな作業には、必ず困難や失敗がついてくるが、「プロセス」に従って進めば切り抜けられると信じていい。ピクサーは、アーティストには「遊び」を、監督には権限を与え、社員の問題解決能力を信頼する会社である。

ピクサーが成功してきた理由

ピクサーが成功してきた理由の中で、間違いようのない事が1つある。それは、持続する創造的な企業文化を築く方法を見つけること。率直さ、卓越さ、コミュニケーション、独自性、自己評価といったものが重要だと口先で言うのではなく、それがどれほど不快な思いを伴っても、それを有言実行する事だ。

いいアイデアよりも適切な人材を

いいアイデアを二流のチームに与えたら台無しにされる。二流のアイデアを優秀なチームに与えたらそれを修正するか、捨ててもっといいものを思い付いてくれる。アイデアをきちんと形にするには、第一にいいチームを用意する必要がある。

優秀な人材は必要だが、本当に重要なのはそうした人同士の相互作用だ。どんなに頭のいい人たちでも相性が悪ければ無能なチームになる。従って、チームを構成する個人の才能ではなく、チームとしてのパフォーマンスに注目した方がいい。メンバーが互いを補完し合うのが良いチームだ。

あらゆる創造的試みの決め手になるのは、人(その仕事、才能、価値観)にこだわるかどうかだ。

創造的プロセスに率直さは欠かせない

問題を解決し、効果的に共同作業を行うためには、事実や問題点、ニュアンスをつかむ必要があり、そのためには隠し事をしたり人を惑わせたりせずオープンに、十分にコミュニケーションをとるしか方法はない。グループの集合知と率直な意見に頼る事ができたら、より正しい意思決定ができるようになる。

正直になる事を妨げる障害から自らを解放する方法が「正直さ」という言葉を「率直さ」という道徳的な意味合いの小さい別の言葉に置き換える事だ。率直さを邪魔するものは、その存在を皆が自由に認められるようになって初めて対処する事ができる。

ピクサーには、率直さが価値のある事だとはっきり伝わるような仕組み「ブレイントラスト」がある。これはピクサーで最も重要な伝統の1つだ。ブレイントラストは、スタッフが忌憚なく話し合いをするための要となる制度で、およそ数ヶ月ごとに集まり、制作中の作品を評価する。賢く熱意あふれるスタッフを一堂に集め、問題の発見と解決という課題を与え、率直に話し合うように促す。そこに常になくてはならない要素が率直さだ。率直な議論という批評的な要素なしでは信頼は生まれない。そして信頼なしでは創造的な共同作業はできない。

本音を語るのは難しい事だが、創造性を求められる会社では、それがいいものをつくる唯一の方法だ。