企業参謀

発刊
1985年10月8日
ページ数
218ページ
読了目安
303分
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戦略的思考をするための教科書
大前研一氏の初期の著書。新しい時代に企業が生き残るには、組織の中にあって、企業の頭脳中枢として戦略的行動方針をつくりだし、それをラインに実行させる力をもつ「企業参謀」集団が必要であると説く。
企業参謀に必要な「戦略的思考」について説明しています。

戦略的思考が必要

組織の中で、客観性と独立性の強いトップレベルの参謀グループのことを「戦略的思考グループ」という。戦略的思考グループは、企業体の頭脳中枢として戦略的行動方針を策定し、それをラインへ実行させる力を持つ。

こうしたグループを持つ会社はあるが、多くの場合、その役割を担う社長室や企画室は事務処理型に堕し、形骸化している。しかし、企業を取り巻く状勢はそれを許さない。変化する状況に対し「戦略的に考える」必要が生じている。

 

物事の本質を考える

物事の本質を考える時には、「渾然一体」としたものを解きほぐし、個々の要素が全体に与える影響を理解することが必要である。
戦略的思考の根底にあるのは、渾然一体となっている事象を分析し、ものの本質に基づいてバラバラにした上で、それぞれの持つ意味合いを自分にとって最も有利となるように組み立てることである。

戦略的思考の第一段階は、ものの本質を考えることになる。その際に大切なことは「設問の仕方を解決策思考的に行うこと」である。設問が的を射ているために、問題点を正しく把握することが必要である。

問題となる現象をブレーンストーミングなどの方法で摘出し、共通項で整理して、グルーピングを行う。グループとしてまとめたものに共通している問題点は何かを考える。

 

参謀五戒

戦略的思考を実践するには、以下の点に留意する必要がある。

①「イフ」という言葉に対する恐れを捨てよ
戦略的思考を実践する場合、選択できる代替案が何であるかを常に理解していなければならない。代替案を探る時には「もし状況がこうなったら、どのように考えたらよいか?」という設問の仕方をする。

②完全主義を捨てよ
どのような優秀な戦略でもタイミングは重要である。完全主義の方針で臨めば、戦略立案には無限の人員と時間がかかる。大筋に影響がなければ、大局的な判断を果敢に行うべきである。

③KFSについては徹底的に挑戦せよ
物事には、その結果に影響を与える主要因(KFS:Key Factors Success)がいくつか存在する。KFSに対する認識に誤りがなければ、徹底することによって的外れにならず、戦略は成功する。

④制約条件に制約されるな
問題に立ち向かう時は「何ができないか?」ではなく、「何ができるか?」と最初に考える。そして、「できる」ことを「できなく」している制約条件を1つずつはぎ取る戦略を考えることが大切である。

⑤記憶に頼らず分析を
日本人は、小学校において記憶力養成の学習を強いられ、「分析力」と「概念を作り出す力」の開発が疎かにされている。これを克服するため、人々が疑問を持たずにいることを取り上げ、策を展開してみるといった癖をつける必要がある。