なぜ、思い込みは失敗を招くのか?

発刊
2021年7月31日
ページ数
336ページ
読了目安
406分
推薦ポイント 4P
Amazonで購入する

Amazonで購入する

思い込みの罠から抜け出す思考法
ほとんどの人は思い込みの罠にはまって、客観的に物事を判断することが苦手である。人が思い込みの罠にはまる様々な事例や理由を紹介しながら、どのようにして思い込みから抜け出せば良いのかを紹介している一冊。
自分の物事の考え方を客観的に見直すためのヒントが書かれています。

思い込み思考から脱却せよ

思い込み思考とは、物事がうまくいかなくなる「ムダな考え方」のことである。どんなに賢く知識が豊富な人でも、とんでもない思い込みをする人はいる。むしろそれが当たり前で、頭がよくても、幅広く色々な経験をしなければ、発展的な思考法は身につけられない。もし、結果が悪い方向にいっているなと思う時は、最初から考え方が「思い込み思考」に陥っていると考えること。

 

心理学者のように考える

誰かに、こう考えているはずだと決めつけられて嫌な時は、思い込みの罠にはまっているかもしれない。人間は、他人が何を考えているかわかっていると思いがちであるが、実際には苦手である。それなのに、他人の心がわかって行動していると思い込んでしまう。他人の話す言葉や行動を知ることはできるが、他人が何を考えているかを推し量ることはできない。

思い込みの罠にかかっているかもしれないと疑問に思うなら、次の2つのルールを覚えておくといい。

 

①「相手はこう考えているに違いない」という確信を持っているならば、それは「思い込み思考」だ。

②常識的な説明がつく考え方より、非常識な考え方を採用してしまったら、自分は思い込みで決めつけているかもしれない、と疑ってみた方がいい。

 

人々の行動を冷静に観察もしないまま、簡単に心を読むことができると決めつけた時に思い込みは起きる。残念ながら、人間は様々な要素でできていて、1つのレッテルで判断できるほど単純でも、人の心が読み取れるほどにも進化してきていない。人間にとって理解できる、ということは大きな快楽であり、依存性がある。だから、知らず知らずの内に、快楽を得るためだけにレッテルを貼るという行為が続けられる。

 

心理学の分野では「投影」と呼ばれる現象がある。簡単に言えば、自分自身の落ち度を他人のせいにしてしまう心の働きのことである。自分のものだと認めたくない場合に無意識に他人に押し付けて防衛する時に起きる。一般人には心理学的な「投影」なのか「本当のこと」なのかを見分けられない。相手を批判する場合、どちらかだけを信じることは「思い込み思考」である。

 

アーティストのように考える

アーティストの強みは、想像力が強いことである。その想像力は思い込みによる失敗を避けるのに役立つ。思い込みによる失敗を避けるには、人生で遭遇する多くの状況が「思いがけないもの」だということを心に留めておく必要がある。私たちは、何かが起こった理由をつい悪く考えてしまいがちである。疑い深く、誰かに騙されているのではないかという心配が付きまとっているからである。

一般的に、合理的で頭のいい行動をする人と、ムダが多くバカげた行動をしがちな人をすぐに見分けることはできない。これは重要なポイントで、どちらも、理解不能な行動をする可能性があるということである。実際には、物事を客観的に把握できるごく稀な時を除いては、どちらがバカなのかはわからない。

 

人生は予測不可能なカオスである。私たちの頭脳は、非力で常に偏見に満ちた思考をしがちで、物事の因果関係を正しく理解するのにあてにはならない。しっかりした意見を持つには、なるべくアーティストのように世の中の出来事の背景を様々に想像できる力が重要である。

その力を得るために、年齢を重ねることは役に立つ。五感を使って自分で積み重ねた経験によって、想像は飛躍的に広がる。正しいと信じて疑わなかったことが間違っていたと気づくたびに、常識や当たり前で片付けず、しっかりと心に留めておくこと。そうすると、体験を通して人生経験を積み重ねるごとに、1つの事実には様々な面があると理解し想像できるようになる。

 

一連の事実の説明として1つしか理由が思いつかないなら、想像する力が足りていないと思うこと。人生で起こることの大半は「思いもよらなかったこと」でできている。