違和感を大切にする
仕事をする上で一番大事にしていることは「違和感」である。今の時代、面白い仕事が生まれる場所には、必ず矛盾がある。1つの価値観におさまっていないものほど仕事の突破口になる。そのため、事務所では「矛盾したコトバを考える」ということをしている。矛盾したコトバを組み合わせるという行為によって、コトバの意味や価値観を180度変えることもできる。
普通なら出合わないはずのもの同士が出合うと、新しいものが生まれやすい土壌ができる。その違和感こそが、停滞している考えを刺激し、物事を飛躍させるジャンプ台になる。
知識に頼るだけでなく執着する
目の前にある仕事をもっと楽しいものにするためには、がむしゃらに考える、ひたすらに向かい合うことに尽きる。知識より執着が大切である。知識は大切だが、そこに頼るだけでは足りない。絶対にいい仕事をするんだという執着を持ってがむしゃらに考える人の方が、結果的にいい成果をあげる。それは道を探そうとするからである。そして、探す過程にこそ仕事をする楽しさが隠れているからである。
時間がかかった分、他の人は気付きもしなかった道を見つけるかもしれないし、道じゃないルートに気付くかもしれない。知識だけに頼ってしまうと、一定のレベルに達した時点で「できた」と思ってしまって、最初に提示された道以外のルートや新しい歩き方を探せなくなりがちである。
不便こそがセンスの鍵
便利な家に住んでしまうと、何とかしてこの家を使いこなそうという思考が起こらない。ダメなことを家のせいにしている時点で、工夫しない人、考えない人ということである。便利はダメな人間を育ててしまう。
人は本来、不便でも愛着があれば大事に使おうと努力する。不便という負荷がかかることで住む人は成長する。不都合なことも多いけど、でもまあいいかなというところにこそ人は愛着を持つ。
ノイズこそが感動を生む
経験を積むにしたがって、失敗をしないようにするスキルや問題を起こさないようにするスキルが身に付く。思った通りに物事が運ぶようにもなる。それは能力が高くなり、実現性が高くなったということだから、いいことでもあるが、実はつまらないことでもある。なぜなら予定通りだからである。想像したものとできあがってくるものが同じだからである。
誰かと一緒に仕事をすることで、コントロールできない失敗や「部下に伝わらない」というノイズが起こり、思いがけないものが生まれる。そうすると自分だけではつくれなかったものに出合えて感動する。仕事で感動するためには、思い通りになるようにやっていてはダメである。
周りの優秀な人を使う
いつも楽しそうに仕事をしている人というのは、その人自身の能力もあるが、実は周りに助けてくれる人や専門分野に特化した人、面白がってくれる人がたくさんいることが多い。
何かをスタートさせる時、1つのことを深く掘り下げるのもいいが、たくさんの情報を集約させた方が、内容がよくなるし判断スピードも上がることが多い。自分にない能力を持っている人やミッションを実現できる人のことを「外付けハードディスク」と呼んでいる。外付けハードディスクが多ければ多いほど、仕事の可能性は広がるし、プロジェクトの実現率も断然高くなる。ミッションを達成させる手段は、内臓ディスクだけではない。優秀な外付けハードや最新のアプリをどんどん投入した方が、クオリティの高いものを生み出すことができる。