How to Decide 誰もが学べる決断の技法

発刊
2021年7月29日
ページ数
409ページ
読了目安
556分
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最良の決断を下すシンプルな技法
人は結果だけを見て、後からその時点の決断を評価する。しかし、決断の結果は、運に左右されるため、必ずしも決断の良し悪しが結果の良し悪しに繋がるとは限らない。
様々なバイアスに惑わされずに、純粋に決断の質を向上させるための方法が紹介されています。

結果の良し悪しだけで、決断の良し悪しを決めてはならない

どんな場合も、決断は結果に振り回されている。これは「結果主義」と呼ばれるものだ。結果が伴う場合、人はその結果から判断し、決断の良し悪しを見極めようとする。しかし、いい決断がいい結果をもたらすこともあれば、いい決断が悪い結果をもたらすこともある。決断と実際に手にする結果の間には、運が介在する。

結果の質は、私たちの決断の質を見極める能力に影を落とす。人は、結果と決断の質を一致させたいと思う。そして整合させようとすると、大半の決断にまつわる事実を見逃し、その先にある様々な展開を認識できなくなる。

  • いい決断 × いい結果 = 努力の賜物
  • いい決断 × 悪い結果 = 不運
  • 悪い決断 × いい結果 = まぐれ
  • 悪い決断 × 悪い結果 = 当然の報い

 

いい決断をするには、経験から学ぶことが重要だ。経験には未来の決断を向上するための教訓が含まれている。結果主義から学ぼうとすると、間違った教訓を得ることになる。決断の質と結果の質を切り離す訓練は、「どの決断を繰り返し、どの決断をやめるべきか」を判断するのに役立つ。

 

結果が出た後に、それが予測可能だったという勘違いをしてはならない

後知恵バイアスは、結果を知った後にあれこれ言うだけでなく、決断時に知っていたことを2つの方法で歪める。

  1. 決断時の見解を誤った記憶に置き換え、結果が出た後の知識に一致させる。
  2. 予測可能性や必然性の観点から、こうなることを予想するべきだったと考える。

 

過去を誤って記憶していると、意味のない教訓を経験から学ぶことになる。

後知恵バイアスを示す明らかな手がかりがある。「あんなことになるなんて思わなかった」「やっぱりね」「そう思っていた」「どうして気づかなかったんだろう」といった言葉だ。こうした精神的、言語的な手がかりに耳を傾ける訓練をすれば、後知恵バイアスを見抜くスキルが身に付く。

 

優れた決断を下す6つのステップ

実際の結果が出た後に、決断を正確に評価するのは難しい。だが、優れた決断のプロセスを実践し、それを記録しておけば、正確性は格段に増す。予想外のものを後に評価するのは難しい。しかし事前に作業をしておけば、先の展開に意識を集中していい決断ができるだけでなく、決断時の思考の記録を見て、どの時点で予想外の展開になったのかを確認できるようになる。これが意思決定のスキルを高める道だ。

 

①可能性のある結果をリストアップする。

②各結果の自分の好みを特定する。(どの結果が実現して欲しくて、どの結果が実現して欲しくないのか)

③それぞれの結果が起こる確率を推測する。

④検討中の選択肢の「実現して欲しい結果」と「実現して欲しくない結果」が起こる相対的な確率を出してみる。

⑤①〜④のプロセスを繰り返す。

⑥選択肢同士を比較する。

 

起こりうる可能性を認識すれば、特定の結果が自分の見解を歪めるのを防いでくれる。だがそれには、過去の決断を理解し、未来の決断の評価を向上させたいと望むだけでは十分ではない。

あらゆる決断後に起こりうる結果をきちんと理解するには、それぞれの結果に対して、次の3つを組み込むことが必要である。

  1. 好み:人それぞれで目的な価値観に左右される
  2. 見返り:目標に対して結果が影響を及ぼす度合い
  3. 確率:物事が起こる可能性

 

確率と好みと見返りを組み合わせることで、選択肢を明確に評価し、比較できるようになる。