Dark Horse 「好きなことだけで生きる人」が成功する時代

発刊
2021年8月20日
ページ数
320ページ
読了目安
459分
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自分に適した成功を収める方法
「明確な目標を設定し、それに懸命に取り組むこと」が成功の秘訣であるとされる時代は終わった。個性が重視される時代にあっては、そもそもの成功のゴールが異なる。個々の関心や興味、好きなことは人それぞれ。

これからの時代、自分に適した成功を収める方法が重要であるとし、「ダークホース(型破りな成功をした人)」の考え方をもとに、何が個人の成功のために重要なのかを解説している一冊。

かつての成功法則は変わりつつある

「明確な目標を設定し、懸命に取り組み、いかなる障壁に直面しようとも目的地に到達するまでコースから外れるな」。このスタンダードな「成功法則」は、教育者や雇用主、親、科学者から「個人の能力を伸ばす上で、最も信頼できる方式」として大いにもてはやされている。

 

対照的に、予想を覆して勝利する人々、今まで見向きもされなかったのに突然快進撃をはじめ勝者となる人「ダークホース」の場合は、誰にでも当てはまる成功法というよりも、面白味のある偶発的な出来事として片付けられてしまう。私たちは、ダークホースたちが成功したのは、奇跡的に幸運と巡り合ったからであり、極めて場当たり的だと受け止める。しかし、もしこれが真逆だとしたらどうなのだろうか。

 

これまでの標準化時代では「出世の階段を登ることによって、富と地位を獲得すること」が成功の定義だった。標準化時代は、自己啓発と科学を結合させ、成功への手順を一本化した時代として特徴づけられる。

しかし、我々の社会は今、「個別化の時代」を迎えようとしている。個性が重要だという概念は、人々の間でますます強まり、それに伴って、人々の「成功」に対する考え方も変わってきている。他人のことについては、金と力が成功の要件だが、自分自身については、個人的な充足感や達成感を成功の要件と見なすということだ。

 

「あなたにとって、成功を収める最善の方法」こそ、標準化システムから外れて成功したダークホースたちの生き方にある。

 

個人軸における成功とは、充足感を追い求め、成功に到達すること

ダークホースに共通する点がある。彼らは「充足感」を何よりも大切にしている。加えて、強い「目的意識」について語る面々もいたし、仕事への「情熱」、あるいは、自分が成し遂げたことに対する「誇らしい気持ち」を語る人もいた。この「充足感の追求」という、何よりも大切な決断こそが、ダークホースを究極的に定義づけるものだ。

 

我々は、これと決めた仕事で成功して初めて幸福感は得られると思い込んでいる。つまり、充足感は目標を達成した見返りなのだと。しかし、仕事で成功しながらも、不幸な人生を送っている人がどれだけいるだろうか。

 

充足感をもたらす環境は、人それぞれに異なる。一個人の興味・関心・必要性・欲求はそれぞれに異なるからだ。ダークホースたちは「何かに成功すること」で充足感を得たのではなく、「自分自身にとってかけがえのないことに熱心に取り組むこと」で充足感を得たのだ。

人はよく「したいこと」と「しなければならないこと」のどちらかを選ばなければならないと思いがちだ。ダークホースたちは、それが誤った選択であることを教えている。それぞれの個性を生かすことによって、彼らは素晴らしい能力と喜びの両方を獲得している。

充足感と成功を獲得するための重要な鍵は、「自分の興味や関心、能力に合わせて環境を選ぶ権利を持っていることに気づく」ということだ。

 

ダークホース的発想の4要素

ダークホース的な発想の4要素を人生に適用した時、充足感と成功は、意識的にコントロールできるものになる。

 

①大事なのは「大きな情熱」よりも「小さなモチベーション」

自分のモチベーションの本質を理解することが、充足感を得るために不可欠である。独自のやる気を発揮することによってのみ、本来の自分の存在意義も、自己としての完全性も実感できるからだ。そのためには、まず「小さなモチベーションを見つける」ことが重要である。

 

②一般的なリスクは無視していい

自分に合った選択を探し出すことが重要だ。ダークホースはリスクの高い選択をするわけではない。彼らはリスクを見積もる際に自分の小さなモチベーションと目の前の1つの機会とのフィット度合いを見積もった上で、能動的に選択をする。

 

③一見風変わりな方法も自分には「正攻法」になる

戦術を使う人間の個性を考慮に入れずに、どの戦術が最適か判断できるわけがない。自分に合った戦略を見つけることは、誰か上の人から教えてもらった上達法ではなく、自分自身の強みを案内役にして、独学法やトレーニング方法や習得法を探し出すことだ。そのプロセスは、発見と修正を何度も繰り返すという点で、極めて動的である。

 

④「目的地」のことは忘れて、充足感を今抱いているか自問する

目的地を設定することは、標準化されたシステムにおいては素晴らしいものだ。しかし、充足感を目指す個人にとっては、悲劇に繋がる。ダークホース的な発想では、時間は「相対的」なものだ。上達のペースは、個人が選択する個々の機会と、その人が試してみる個々の戦略によって決まる。

標準的な時間は、我々の注意を間違ったところに向けさせる。対処法は「目的地は忘れろ」という指令だ。旅路の果てを見通すのではなく、目の前にあることに集中することだ。