インダストリー4.0とは
インダストリー4.0とは「第4の産業革命」のこと。ネットワークで情報をつなげ、コンピュータ、人工知能を活用して、生産や流通などの自動化を最適なレベルまで引き上げるという試みである。ドイツやアメリカなど欧米諸国で、実現に向けた取り組みが活発化している。
この背景には、インターネットの爆発的な普及がある。2020年には500億以上のヒトとモノがつながると予測されている。このIoT社会の到来によって、流通、医療、インフラ、交通システムを飛躍的に改善する動きが、急速に広がり始めた。
ものづくりの分野でも、人工知能やクラウドコンピューティングによってネットワーク化した情報を活用し、生産・流通の現場の効率化を進める動きが活発になってきている。また、従来は売り切りで終わっていた製品にセンサーを組み込んでインターネットに接続し、スマート化。センサーから収集される膨大なデータを、人工知能で分析し、その結果を消費者に提供する事によって付加価値を高めていく。
こうした動きが特に欧米では、ドイツの国家プロジェクトや、アメリカの製造業及びIT企業を中心とする企業連合という大きな潮流となり始めている。
スマート工場の実現が第4次産業革命をもたらす
インダストリー4.0とは、第4の産業革命を指す。ドイツ政府が公表する、産業革命の進展は次の通り。
①第1次産業革命(18世紀末)
水力・蒸気機関を活用した機械設備の導入
②第2次産業革命(20世紀初頭)
大量生産の始まり、分業化された労働及び電力の利用
③第3次産業革命(1970年代初め)
エレクトロニクス・IT技術の活用による自動生産の促進
④第4次産業革命(現在)
サイバー・フィジカル・システムの活用
ドイツが取り組むインダストリー4.0では、新たな技術革新によってさらにもう一段、生産効率アップを推し進めようとしている。ドイツはプロジェクトで「スマート工場」を作ると言っている。これを実現するための技術は、人工知能を使ったサイバー・フィジカル・システムと呼ばれている。
現実世界の工場の情報をデジタルデータに置き換えて、コンピュータに情報として吸い上げ、人工知能などのITの力を活用して、一番効率的で速い、理想的な生産を実現してしまおうというものである。
IT上で行われる製造シュミレーションが現場と一致するまでの高い精度で情報を吸い上げる事により、設計、生産計画、物流、部品の供給から調達まで最も効率的でスピードアップした製造が実現できると考えられている。このレベルのスマート工場が実現できれば、高付加価値の製品が、少量生産でもフレキシブルにコストを安く抑えて製造できるようになる。
インダストリー4.0によりビジネスモデルが変わる
消費者のニーズが多様化する社会の中で、ドイツが考えるものづくりの変化とは何か。それは大量生産から、マス・カスタマイズ生産時代へのシフトである。
インダストリー4.0の取り組みは、次の2点でビジネスモデルを大きく変化させようとしている。
①オーダーメイド
スマート工場では、オーダーメイドの生産が自動的に可能になる。工場では、人工知能やサーバー・フィジカル・システムを利用し、消費者の希望通りのものづくりが行われる。部品の調達や出荷もインターネットを通じた自動処理で行われるため、効率が高まる。インダストリー4.0の時代には、多品種少量生産、オーダーメイドビジネスが主流になる。
②アフターサービス
消費者への販売が完了した段階から、今度はIoTを活用したアフターサービスというビジネスが始まる。製造業は、センサーやビッグデータ分析を駆使したアフターサービスで付加価値を高める新しいビジネスモデルにシフトしていく。