世界初のビジネス書 15世紀イタリア商人ベネデット・コトルリ15の黄金則

発刊
2021年7月15日
ページ数
212ページ
読了目安
193分
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15世紀イタリア商人が書き記した商売の基本
15世紀イタリア商人が書き記した商売の心得。500年以上前に書かれたものだが、現代にもその基本的な考え方は変わらない。商売において普遍的に大切な教えが書かれています。

名誉とともに富む15の黄金則

①正しい足で出発するために、可能なことはすべて行え。<心構え>

取引や商売を始めようと望む者は、適切な場所を選び、不適切な場所を避けなければならない。自分の活動の本拠としては、商人と紳士が足繁く通い、住んでいる場所を選ぶべきである。商人は他の商人たちが出入りする場所に住むならば、日増しに、経験を積んで熟練するようになり、ついには富むことになるだろう。

商業活動を始めるにあたって、不可欠なのは、自分の得意なものが何かを見極め、経験で体得することだ。加えて、商取引を探すにあたっては、用意周到でなければならず、常に新しい取引を検討して、試みる必要がある。

 

②自分自身だけを信頼せよ。<知力と行動力>

自分自身への信頼とは、大胆さのことであり、実行力のことである。この条件は商人の特性と合致している。なぜなら、臆病な商人が裕福になるはずがないからである。しかし、正しい限度を超えるほどに無謀で、大胆であってもならない。節度をもって挑戦し、勇敢にこの技芸を行い、神と運命を信用して身を委ねるべきである。

商人に最も相応しく、必要な美徳は「思慮深さ」である。思慮深さは、「誠実」の根本的な要素であり、善悪を見分ける力を具えている。

 

③常に、困難と苦悩に耐える準備をせよ。<体力と忍耐>

利益をあげるためには、他の事柄への関心はすべて控えて、何らかの仕方で、この職業にとって有益であり、役立つことができるものすべてに、極めて熱心に身を捧げる必要がある。それゆえ、時には日夜の労苦に耐え、足と馬で旅し、海と陸地を行き、売買を行い、このような事柄をできるだけ熱心に行うよう尽力すべきだ。

 

④あなたの技芸に専心せよ。<事業の範囲>

あなたの知性と取引をただ1つの活動に集中させること。あらゆるものにおいて利益を得ようと欲してはならず、他の者たちにも利益をあげさせること。

⑤常に質を追求せよ。<品質>

商人は自らの技芸において評判を保持しなければならない。基本的な心得として、質の高い商品を扱い、顧客が殺到するように評判を保ち、さらに、顧客各々の事情に応じてその要求を満足させなければならない。

 

⑥常に正確で整理された帳簿を所有せよ。<会計>

ペンは極めて高貴で、極めて有能な手段であり、自由学芸であれ、実践的技芸であれ、あらゆるものに必須である。商人には、書くことの巧妙さを具えていることに加えて、文書を保持する際の秩序を認識することが必要である。

⑦金融を理解し、それを活用することを学べ。<ファイナンス>

為替は商業にとって重要で、必要な要素である。商売は為替なしには成り立たない。先物売買は、極めて有益で、それなしに済ますことはできない。

⑧共同経営者を尊重せよ。<利益の分配>

もし共同経営者がいるならば、彼を尊重し、敬い、誠実に信頼とともに過ごすべきである。

 

⑨契約を守れ。<支払いと取り立て>

商人はとりわけ、自らの約束と、自分が結んだ契約の義務を尊重し、契約への信頼を維持しなければならない。さらに、良い取り立て者であるためには、良い支払い者でなければならない。

 

⑩あなたの性格。<心の在り方>
  • 魂の平静は、とりわけ商人において発揮される美徳である。
  • 商人は、運命の浮き沈みやしばしば被る不遇に対して堅固でなければならない。
  • 商人は、公的並びに私的な関係を作り出さなければならない時、誠実な行動をとることが必要である。
  • 順境においても、逆境においても自制しなければならない。
⑪教養がすべてであり、過小評価してはならぬ。<教養>

商売を営む者は、単に優れた文筆家、数学者、帳簿の管理者などだけではなく、またとりわけ文学の徒であり、優れた雄弁家でなければならない。

⑫公的な存在であることを学べ。<話し方・身なり>

商人は偉大な人々とも卑小な人々とも、すなわち、紳士、貴顕、要人とも、職人、農民、工員とも会話できなければならない。相手が誰であれ、商人は、話すこと、歩くこと、すべての動作において厳粛でなければならず、できるだけ自己の威厳を保っていなければならない。

 

⑬息子たちを教育せよ。<後継者の育成>

いつ自分の息子を教育し始め、商業活動へ向けさせるのか見極める必要がある。もし息子が別の活動に向いているならば、商業活動に向かわせても、おそらく彼は幸福な人生を過ごすことはなく、名誉とともに富むという目的を遂げることもない。

⑭家族を大切にせよ。<家庭生活>

商人は金銭を積み上げることだけに意を尽くすのではなく、自分の家族の管理、そして資産と家屋の所有に注意を払うべきである。

⑮大地に投資せよ。<資産運用>
家族の管理者である商人は、ヴィッラ(農園)を所有しなければならず、可能ならばタイプの異なる2つのヴィッラを持つべきである。1つは、家族を維持する利益と収入を得るため、1つは家族の喜びと慰めのためである。地所は、商人の目的であり、いわば彼の道具であり、手段である。