ゲーム・チェンジャーの4類型
既存の業界に新たな競争のルールを持ち込むプレーヤーを「ゲーム・チェンジャー」と名付ける。ゲーム・チェンジャーには次の4類型がある。
①プロセス改革型(既存の製品・サービス × 既存の儲けの仕組み)
既存のバリューチェーンを見直す。ex.Amazon、セブンカフェ、ゾゾタウン
②秩序破壊型(既存の製品・サービス × 新しい儲けの仕組み)
既存の儲けの仕組みを無力化する。ex.スマホゲーム、リブセンス、コストコ
③市場創造型(新しい製品・サービス × 既存の儲けの仕組み)
顧客が気付いていない価値を具体化する。ex.JINS PC、青山フラワーマーケット
④ビジネス創造型(新しい製品・サービス × 新しい儲けの仕組み)
想像力と創造力を発揮する。ex.価格.com、オキュラスリフト、カーシェアリング
秩序破壊型
提供する製品やサービスはこれまでとほぼ同じものであるにもかかわらず、市場に新たな戦い方「儲けの仕組み」を持ち込む事で競争のルールを変えてしまう。そして、既存プレーヤーの儲けの仕組みを無力化する。
●新しい儲けの仕組み
・課金や広告料、基本サービス無料(LINE、スマホゲーム)
・消耗品で課金、本体は無料(ネスカフェ・アンバサダー)
・成功報酬(リブセンス、じゃらんネット)
新しい儲けの仕組みを作り出すには「事業連鎖」を組み替える視点が必要である。消費者が位置する「右側」から、事業の川上にあたる「左側」に向かって機能や活動の流れを見て、2つの視点で見る。
①Whoが変われば、Whatが変わる
②Howが変われば、Whatが変わる
市場創造型
既存プレーヤーの強みが通用しない新たな市場を創造する事で、競争のルールそのものを作り変えてしまう。
●新しい製品やサービス
・目の保護(JINS PC)
・映像講義(東進ハイスクール)
市場創造の起点は次のいずれか、あるいは両方である。いずれの場合も、消費者が抱えている潜在的なニーズに対応している。
①利便性の向上による市場創造
②不便さの解消による市場創造
こうした潜在的なニーズを捉えるには、事業連鎖を5つのアプローチで読み解く。利便性を高めるには「束ねる」「追加」、不便さを解消するには「省略」「置き換え」が有効である。①省略(中抜きする)②束ねる(結合する)③置き換え(代替する)④選択肢の広がり(選択肢を増やす)⑤追加(新しい機能や価値を付け加える)
ビジネス創造型
経営者や企業の強い思いから生み出された新しい製品やサービスと、新しい儲けの仕組みを組み合わせる事で、これまでにない新しいビジネスを作り出す。成功の鍵は、想像力と想像力の両方を結び付ける事である。
●新しい製品・サービス × 新しい儲けの仕組み
・MOOCs(無料オンライン教育 × 修了証の発行手数料)
・ゴルフダイジェストオンライン(ゴルフ場の代行予約 × 送客手数料)
プロセス改革型
競争のルールを変えるためには、必ずしも儲けの仕組みや製品やサービスを変える必要があるとは限らない。既存のビジネスプロセスに着目し、それを改善する事で,競争優位を生み出している事例もある。そうした事例では、製品やサービスを顧客に届けるまでの「プロセス」を変える事で新たな価値を生み出している。
①業界標準のプロセスをやめる(スーパーホテル、QBハウス、LCC)
②既存プロセスの一部を強化する(スタジオアリス)
③異なる商材を組み合わせる(ヴィレッジヴァンガード、ドンキホーテ)
④業務を標準化する(ベアーズ、ブックオフ、公文)