シンプルに考える

発刊
2015年5月29日
ページ数
200ページ
読了目安
205分
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ビジネスを成功させるために最も大切なこと
ビジネスの本質とは何か?
LINEの元代表取締役が、ビジネスで最も大切なこと、経営の仕事とは何かということを語っている一冊。

シンプルに考える

会社にとって一番大切な事は、ヒット商品をつくり続けること。ヒット商品をつくり続ける会社が成長し、ヒット商品をつくる事ができなくなった会社が滅びる。「利益」も「社員の幸せ」も「ブランド」も、ヒット商品が生まれた結果として生み出されるもので、ヒット商品がなければ「戦略」や「ビジネスモデル」も画に描いた餅に過ぎない。だから、ビジネスの本質は「ユーザーが本当に求めているものを提供し続けること」以外にない。

そのためには、ユーザーのニーズに応える情熱と能力を持つ社員だけを集める。そして、彼らが何ものにも縛られる事なく、その能力を最大限に発揮できる環境をつくり出す。そのために必要な事だけをやり、不要な事はすべて捨てる。「あれも大事、これも大事」と迷っていると、結局何も決められず、行動に移す事ができない。大切な事は何が本質かを「考える」こと。そして、最も大切な事を探り当てて、それ以外のものは捨て去る事である。

 

「熱」こそが成功の条件

2010年末、「スマートフォンに特化したサービスを開発しよう」という掛け声のもと、少数精鋭のチームが社内で選抜された。彼らは、市場調査を踏まえて「スマートフォン・ユーザーが求めているサービスは何か?」について検討を重ね、「ゲーム」「写真共有」「コミュニケーション」の3つにテーマを厳選。さらにこの中からどれか1つに絞り込んでプロジェクトに着手しようとしていた。

ところが、その矢先に震災が発生。彼らは、震災での自らの体験をもとに議論や分析を深めていった。そして、今求められているサービスは「クローズドなコミュニケーションだ」と確信。後にLINEと名付けられるメッセージ・アプリの開発に着手した。おそらく一部のネットリテラシーが高いユーザーだけではなく、「誰もが使いこなせる」、もっと便利なメッセージ・サービスが必要だ」と切実に感じたに違いない。メンバーの多くは、ほとんど家に帰らずに仕事をした。この時の「熱」が、そのままLINEの成功につながった。

彼らの方針・ビジョンには一切口をはさまなかった。なぜなら、意味がないから。社長の仕事は、自分よりその分野に強い人に仕事を任せること。その人がリーダーとなり、必要なメンバーが集まって全力でプレーをする。社長の仕事は、彼らの邪魔をするものを取り除くこと。何か必要なものがあれば用意すること。彼らの「熱」を守る事が最大の使命である。

 

ビジネスの本質

ビジネスとは「求める人と与える人のエコシステム」。お腹が空いた人に、おいしい料理を出す。とてもシンプルである。人々が求めているものを与える事ができる人は、どんな時代になっても生きていく事ができる。それが、ビジネスのたった1つの原則である。

大切なのは、人々が本当に求めているものを感じ取る能力と、それを具体的なカタチにする技術を磨き続けること。そして、人々が求めているものが変化した時には、それをいち早く察知して新しいものを差し出すこと。そこにひたすら集中する事以外に、不安から離れる方法はない。

 

利益を中心に考えない

会社は「世の中に価値を提供する」ためにある。これがすべてである。もちろん、利益が出なければ会社を存続させる事はできないため、利益は大切である。しかし、利益が出るか出ないかは結果論に過ぎない。価値を提供すれば、その結果として自然と利益はついてくる。

むしろ、利益をビジネスの目的にすると危ない。その企業でも儲けを優先し始めると、ユーザーはその変化に気づく。そして、ユーザーは価値よりも儲けを優先している事がわかると、一気に離れ始める。ユーザーを愛する気持ち、自分が携わる商品やサービスを愛する気持ちこそが、ビジネスを成功させるために一番大切なものである。