ぼくらの仮説が世界をつくる

発刊
2015年12月11日
ページ数
224ページ
読了目安
245分
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ヒットを生み出す編集者の仕事論
『宇宙兄弟』『ドラゴン桜』などのヒット作を手がけた編集者が、面白いものを生み出すために必要な考え方を紹介している一冊。

仮説を先に立てる

いつも念頭に置いているのは「仮説を先に立てる」ということ。ほとんどの場合、「情報を先に見て」、それから仮説を立ててしまう。前例主義というのは「情報→仮説」という順番で物事を考える事で起きる。過去の情報を集めてきては「仮説・検証」を繰り返す。しかし、こうした行為が前例主義になり、身動きが取れなくなってしまう。

多くの人は重要な決断に迫られた時に、できるだけたくさんの情報を集めて、それから仮説を導く。でも、そうしていると新しい事は何も生まれない。

仮説を立てる時は、誰でも得られるような数字のデータではなく、「日常生活の中で、なんとなく集まってくる情報」そして「自分の中にある価値観」の方が大切である。

先に仮説を立てること。そして、仮説を補強・修正するために情報を集めてくる。その順番が大切である。「仮説→情報→仮説の再構築→実行→検証」という順番で思考する事で、現状に風穴を開ける事ができる。

 

情報の方が間違っていると考える

「今ある情報が自分の考えている仮説と違う」時には「情報の方が間違っている」可能性も考える。すぐに賛同者が出るようなアイデアは、新しい事ではない。「新しい事をやろう」と覚悟を決めているのなら、そういう態度でいる事は大切である。

目に見える数字のデータであっても、集め方次第で数字は変わってくる。数字をつくり出したのも人間なので、なにかしらの意図がある事も少なくないからである。過去の数字・データを鵜呑みにせず、むしろ自分が普段の生活や仕事で感じている事を信じる事が大切である。

 

「宇宙人視点」で考える

大胆な仮説を立てるためには、あらゆる常識や、これまでの慣習というものに囚われず,自由に思考する事が大切である。物事の本質を考える時に「自分が宇宙人だったら、どういう風に考えるだろう」と思考する。あえて極端に「宇宙人視点」という考え方をして、客観的な視点を持つ。

宇宙人には、レッテルやイメージという固定観念もなければ、業種という概念もない。よって、純粋なビジネスモデル=骨格だけが浮かび上がってくる。

まずは変わらないもの(本質)を見つけること。そして、日々起きる変化の中で、何が大局の変化で、どれが一時的な文化や習慣に過ぎないのかを「宇宙人視点」で見つける事である。長期的な変化が何なのか、それを予測し仮説を立てる。今あるすべての習慣は、技術が変わっていく中での「過渡的」なものでしかなく、「絶対的」ではない。

 

「ドミノの1枚目」を倒す

仕事をする時に抱いているイメージが「ドミノを倒す」ということ。ある1枚のドミノを倒すと、次にどのドミノが倒れるのか。それをいつも意識している。

単発の仕事を延々と繰り返す事で目標に近づくのは、どれだけ精神力があっても足りない。ある仕事をすると、次の仕事につながる。そういう「連鎖を生み出す仕事」であれば、やる気も自然と継続する。いかに自分がやる気を継続させられるような仕組みを作るか、という事が重要である。

最終的にどのドミノを倒したいのかを見極め、それを倒すためにはどのドミノを倒すべきなのか。その「キーとなる最初の1枚」を徹底的に攻める。連鎖の起きるドミノをきちんと倒せば、確実に変化を起こす事ができる。

「そのキーとなる1枚」こそが「基本」である。基本を徹底する事で、自然にドミノが倒れていき、気付けばものすごく大きな事が実現できている。そして、1枚目のドミノは、「たった一人の熱狂」である。熱狂している人が、仮説を立てること。それが、2枚目のドミノ。3枚目のドミノは、もう一人では倒す事はできない。熱狂している人の周りに集まってきている人達が倒す。それで、やっと、ぼくらの仮説が世界をつくる事ができる。