輝かしい失敗の「16の型」
型があることで輝かしい失敗を突き止めたり転換するのが容易になり、学習体験を積んで活かすための非常に健全な土台になる。
①見えない象(全体は部分の総和よりも大きい)
多角的に考えて物事が初めて、明らかになることがある。異なる目線から見たことを組み合わせて、ようやく全体像が浮かび上がる。私たちは基本的に自分が見たものを投影させるので、時折重要な情報を見逃してしまう。
②ブラックスワン(予見できない出来事が頻発する)
すべてのことが予見できるとは限らない。想定外の展開によって計画と期待が完全に混乱をきたすことがある。予見できない出来事は、私たちの複雑な世界における創発現象であることが多い。
③財布を間違う(誰かに好都合だが、他の誰かに負担がかかる)
複雑な状況では、誰に取って不利になるかも含めて、プロジェクトの具体的な長所と短所を予測しにくいことがある。変化がシステム全体に良い影響を及ぼすこともあるが、それは誰かの犠牲の上に成り立っていたりする。誰かを犠牲にして1人の財布が潤うことのないようにするために、時にはみんなで補償し合う必要がある。
④チョルテカの橋(解決すべき問題は1ヶ所に留まっていない)
世界は複雑なだけでなく、非常に動的で変化しやすい。ある問題はうまく解決できても、すぐに別の場所に問題が飛び火したり、新たな問題が浮上したりする。そこには複数のリスクが存在し、1つのリスクに対処しても別の問題の発生を食い止めることはできない。
⑤欠席者のいるテーブル(すべての関係者が参加しているとは限らない)
変革を成功させるためには、すべての関係者にその変革について同意してもらわなくてはならない。準備や実行に関与しないせいで、変革の有用性や重要性に確信が持てない人もいるだろう。疎外感もまた非協力的な態度につながりかねない。重要になってくるのが、プロジェクトの影響を受けそうな人を特定するためにステークホルダー分析を行い、関係者を適切な形で巻き込み、プロジェクト開始から最後の実行に至るまでテーブルに空席がないようにすることだ。
⑥熊の毛皮(成功が確定する前に結論を急ぎすぎる)
最初に成功すると、これが正しい道だと誤信しやすい。しかし、成功し続けるためには、長期的で大規模なアプローチや、他の状況でも通用するアプローチが必要となる。
⑦電球の発明(何をやっているかがわかっていれば、それを研究とは呼ばない)
進歩は通常、直線的な道をとらない。だから、最善のアプローチや成功への正しい道を探すために、試行、実験、学習をしなくてはならない。必要な情報がすべて揃っているわけでもない。
⑧兵隊のいない将軍(アイデアは良いけれど、リソースがない)
計画通りに成功させるためには、必要なリソースが利用可能で、資金、適切なツール、知識、時間、従業員、パートナー、顧客、インフラなどのリソースを提供する関係者が、活動を行う当事者に十分にコミットしなくてはならない。
⑨捨てられないガラクタ(やめる術がわからない)
始めたことは終わりまでやり遂げたいと思うのは、人間らしいことである。しかし、過去ではなく将来を見た方が良い。
⑩深く刻まれた渓谷(染みついた思考・行動パターンから抜け出せない)
自分たちの経験にむやみに頼ることは一定のリスクがある。あまりにも限られた思考しかできなければ、新しい機会や脅威を見逃してしまうかもしれない。
⑪右脳の功罪(合理的根拠のない直感的な判断をしてしまう)
複雑なシステムの動きを予測するのは困難なことが多い。
⑫バナナの皮ですべる(アクシデントが起こる)
私たちは大きな心配事や差し迫った関心事に集中する傾向があり、システムレベルの現象の引き金になりそうな出来事にはあまり注意を払わない。
⑬ポスト・イット(失敗したけれど、偶然の幸運にも恵まれる)
異なる結果が生まれると、期待外れで、最初は失敗だったと思いがちだ。ところが、詳しく調べていくと、別の形で価値があることが判明するかもしれない。
⑭アインシュタイン・ポイント(単純化しすぎても、複雑化しすぎてもいけない)
原因と結果を結びつけられず、基本的に制御不能な「ブラックボックス」化した状況になるほど、ややこしいアプローチにしべきではない。
⑮アカプルコの断崖ダイバー(タイミングを誤ってはいけない)
何かをするのに適切な時期はいつか。特に新しい製品やサービスを立ち上げる場合、アイデアの良さもさることながら、適切な瞬間を待つことも重要である。
⑯勝者総取りの理(生き残れるのは1人しかいない)
特に多様性と競争の恩恵を受けるイノベーションでは、1つの有力プレイヤーの席しかない場合がある。