Face to Faceが基本
マーケティングリサーチは、企業などの組織が商品・サービスを提供するにあたり、お客様をよりよく知り、お客様のニーズに合った新しい商品・サービスを企画立案し、具現化していくために、経営資源をいかに効率的に運用するかを示す情報収集活動である。商品開発やコンセプト構築に近いものになり、宝探しである。
アンケートやインタビュー、商品評価テストだけをマーケティングリサーチと考えている人が多いが、家庭でも街の中でも電車の中でも、マーケティングリサーチはできる。
クレームや問い合せは、お客様側から企業へのアプローチで、これもマーケティングリサーチである。ネットの発展でお客様同士の口コミが見えるようになってきた。すべてのリサーチの原点は、N=1のFace to Faceにある。
仮説と検証による調査
仮説なくしてリサーチはない。仮説が立てられるという事は、課題が明確になっているという事である。仮説づくりは、セカンダリーデータの収集と分析で、定性調査を活用して行う。その仮説を検証するのが定量調査である。大まかな仮説を元にセカンダリーデータの情報収集や分析を実施して仮説を再構築し、プライマリーデータで裏付けするというやり方が多い。
プライマリーデータとは、自らリサーチを実施し収集したデータ。一般にアンケートやインタビューなどを実施して得たデータを指す。セカンダリーデータは、世の中に既に存在しているデータであり、インターネットで検索できる情報、過去の統計調査、書籍や企業のIR情報などの既存資料を調べて得たデータの事を指す。お客様を理解するには「質と量」の両側面を調査する事が前提である。
まずは自分自身を知り、周りを観察する
マーケティングリサーチの第一歩は「自分自身を知ろう」である。調査対象はまず「自分」。そして「自分の家族」である。自分のニーズは何か。自分は何者で、どんな人生を歩み、何をしてきたのか、これから何をしたいのかを考える事がすべての原点である。
自分自身を知ったら、次に日々生活している場面においての観察である。さらに「お客様の観察」「街の観察」「お店の観察」「ヒット商品の購入」「買ってみる、使ってみる、食べてみる」など、普段生活の中でのお客様の声に耳を傾けること。
自分のニーズを考えてみるだけで、仮説を立てる事ができる。そして、自分と同じタイプの人がどのくらいいて、その人達が購入意欲を持つのかどうかを定量調査で調べる。
お客様の満足を深堀りする
潜在ニーズは、自分達が気づいていないだけだという基本認識のもと、探索やリサーチを行う事が大前提である。「お客様の日常行動を徹底的に観察すること」と「インタビューによる満足度が高い生声、発言を捉えること」の2つがある。
強い潜在ニーズは、お客様の「満足した」という強い発言から読み取れ、その「満足」に新しいヒントが隠されている。「不満」を聞いても改良点は見つかるが、潜在ニーズは見つからない。満足した人にその意味を聞く事である。「行動の観察」や「満足したという発言」を「こころ」で聴いてその本質を探るには、幅広い知識と経験が求められる。
発言からニーズを読み取る時に注意すべき事は、仮説を設定した上で、発言が体験に基づくモノなのか、非体験なのかをよく吟味し、体験情報を重視する。非体験は、建前、受け売りが多い。意見はカムフラージュしてから本音を言う事が多い。消費者に直接何が欲しいか聞いてはいけない。今無いものを欲しいとは言いにくいからである。