ハーバード あなたを成長させるフィードバックの授業

発刊
2016年1月29日
ページ数
320ページ
読了目安
434分
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フィードバックを上手に活かす技術
ハーバード・ロースクール講師が、フィードバックを上手に受け取るためのスキルを紹介している一冊。心をザワつかせるフィードバックをいかに効果的に成長の糧に変えるかという方法や考え方が書かれています。

心をザワつかせる3つの理由

つらいフィードバックをもらうと、動揺したり、腹を立てたり、苛立ちを覚えたり、落ち込んだりする。フィードバックが心をザワつかせる原因となりうるものは次の3つしかない。

①真実:フィードバックが間違っている、公平でない、役に立たない
②人間関係:フィードバックを君からもらいたくない
③アイデンティティ:フィードバックをもらって冷静でいられなくなった

フィードバックをうまく受け取れるかどうかは、フィードバックを分類し選別するかどうか、相手のものの見方を理解しようとするかどうか、最初は適切に思えなくても、そのアドバイスを試すかどうか、フィードバックの内容を検証するかどうかで決まる。

 

フィードバックを引き出す力が大切

フィードバックを受け入れる、受け入れないを決める権利は、受け取る側にある。言われた事をどういう意味で捉えるかも、言われた通りにするかどうかも、すべては受け取る側次第だ。強く押し付けたところで、心から学ぼうとする扉が開く事はめったにない。だから、与える側に与え方を教える事に力を注いでも意味はない。職場でも家庭でも、注目すべきは受け取る側だ。フィードバックから学ぶ力を身に付ける事が大切なのだ。

フィードバックを意義あるものにできるかどうかは「引き出す力」にかかっている。「引き出す力」とは、自ら学ぼうとする時に必要な力の事を指す。具体的には、自分が抵抗を感じる事を認識して制御する力、たとえ間違っていると思われるフィードバックをもらっても、成長の糧にできそうなものを見出す力などだ。成長の鍵を握るのは、自分自身である。本気で成長や向上を望むなら、誰からでも上手に学べるようになるしかない。

 

どんな種類のフィードバックとして受け止めるか

フィードバックをもらうと、相反する解釈が生まれる事がある。感謝、熱意、やる気が生まれる事もあれば、傷つき、身構え、怒りを感じる事もある。フィードバックをもらった人の反応は、与える人の技量や言葉で決まるとは限らない。むしろ、もらった相手が言葉をどのように受け止めるか、またはどんな種類のフィードバックとして受け止めるかで決まる。

 

フィードバックには3種類の使い方がある

①感謝
相手の事を見ていると伝える、認めている事や感謝の気持ちを伝える、つながりを保つ、モチベーションを高める。

②指導
受け取る側の知識・スキル・能力の向上を促す。感情や関係性の不均衡に対処する。

③評価
点数やランク、期待している事を伝える、決断の材料を提供する。

フィードバックの難しさの1つに、タイプを混同してしまうという事がある。それには2通りあり、1つは受け取る側の期待するフィードバックとタイプが異なる場合。もう1つは、受け取る側が誤った解釈をする場合だ。

 

フィードバックのタイプを混同させない

フィードバックのタイプを混同させないようにするために、気をつける事は2つ。

①フィードバックの目的を一致させる
与える側と受け取る側のフィードバックの目的を一致させるには、目的を話しあえばいい。

②指導と感謝のフィードバックは評価と分ける
評価の影響は大きいので、指導や感謝はかき消されてしまう。評価のフィードバックと指導のフィードバックは、少なくとも数日あけて行う方がいい。

 

自分と相手の違いに目を向ける

フィードバックをもらったら、その正否を判断する前に、まずは理解する必要がある。フィードバックを与える側は、①観察して情報を収集し、②それを自分なりに解釈する、という過程を経てラベルをつくる。彼らはラベルを通じて自分の解釈を語る。人は自分が目にしたものを、その人独自の経験、想定、嗜好、優先順位、物事のあり方や人としてのあり方に関する暗黙のルールに基づいて解釈する。

しかし、どんなアドバイスをもらう時も、その意味が明快かどうかを確かめる事はできる。受け取る側が与える側に適切な質問をする事で、フィードバックが何に基づいて生まれ、どこへ向うものなのかを確認できる。

自分と他人が違うものの見方をする理由を具体的に理解する事は、フィードバックを受け取る時に欠かせない。違いを見出すというレンズを通じてフィードバックを見るようにすると、何を伝えたいのか、それが何によって生まれたのかといった事がわかってくる。フィードバックをもらっている時は、間違い探しは忘れること。そして、違いを見出すスキルを高め、必要に応じて正しい事を指摘するスキルを発揮できるようになる事だ。