WHYから始まらない世界
人間の行動に影響を及ぼす方法は、2つしかない。操作するか、鼓舞(インスパイア)するか。ビジネスから政治、マーケティングまで、どんな世界でも操作ははびこっている。
・価格を下げる
・プロモーションを行う
・恐怖心を利用する
・周囲と同じ行動をとるよう仲間集団から圧力をかける
・上昇志向のメッセージを送る
操作には効果がある。しかし、操作したところで、忠誠心を育てることはできない。操作を始めて時間がたつと、コストはどんどん上昇し、次第に短期しか利益が上がらなくなる。
客との取引回数が1回である場合、飴とムチ方式である操作は最善策である。しかし、人や組織が2回以上の取引や忠誠心のともなう関係を望む場合、操作は役に立たない。
WHYから始めよ!
人を操作するのではなく、人をインスパイアできるリーダーは「ゴールデン・サークル」というパターンに従っている。
「ゴールデン・サークル」は、円の外側から内側へと以下の順番に並ぶ。
にっつ
・WHAT(していること)
企業や組織は、自分のWHATがわかっている。自社が扱っている製品やサービスの事ならすらすら説明できるように、WHATは明確に説明する事ができる。
・HOW(手法)
自分がしていることのHOWを知っている人や企業もなかにはある。「価値観に差異をもたせる」「ユニークな販売計画」など、他とは違う方法、より良い方法をHOWと呼ぶ。HOWは、WHATほど明確ではない。
・WHY(理由)
自分が今していることを、しているWHY。これを明言できる人や企業は少ない。このWHYには「お金を稼ぐため」という理由は含まれない。これは結果にすぎない。
あなたの目的は何か?なぜ、あなたの会社は存在しているのか?
大半の組織や人間が、円の外側(WHAT)から内側(WHY)に向う順番で考え、行動し、コミュニケーションをはかっている。私たちはWHAT(していること)は説明できる。時にはHOW(手法)も説明できる。しかし、そうしているWHY(理由)を説明することはめったにない。
だが、傑出したリーダーや組織は、みな円の内側(WHY)から外側(WHAT)の順で考え、行動し、コミュニケーションをとっている。
例えば、アップルのメッセージはWHYから始まっている。つまり、目的、大義、理念であり、WHATとは関係ない。製品は、彼らの信条や大義を具現化したものにすぎない。
人々はWHATを買うわけではない。それをしているWHYを買う。円の内側から外側へとコミュニケーションをはかると、消費者が買い物をする理由がWHYとなり、社の信条や具体的に立証したものがWHATとなる。そうなって初めて、消費者はある会社や製品に惹かれる理由を説明できるようになる。