人の行動は6つの「基本的欲求」で決まる
人のあらゆる行動は人間の基本的欲求によって動機付けられている。それらの欲求のうち、最も強力なのが「安心感」「権力」「社会的帰属意識」「社会的受容」「性」「コントロール欲求」だ。誰かを説得したい時は、提案が相手の基本的欲求を1つ以上満たすものだと説明するとうまくいく。すべてを満たす必要はないが、より多くの欲求を満たせれば、それだけ説得力も増す。大切なのは「どのように」相手の欲求を満たすかである。
①安心感を揺さぶる(断った場合のリスクを伝える)
②立場や権力で操る
③社会的帰属意識で操る(他人のための行動だと思わせる)
④社会的受容で操る(みんな同じことをしていると伝える)
⑤性的ニュアンスで操る
⑥コントロール欲求で操る(自分の生活を管理できると思わせる)
「繰り返し聞いたこと」が真実になる
私達はしばしば他人の考えに基づいて自分の意見を形成している。すべての事を自分で判断するのは時間がかかりすぎるので「多数派の意見」や「普通の基準」のようなものを最善の意見なのだと信じる。多数派の意見は、有益だったからこそ今も無意識に使われており、正しいというのは事実だ。問題は専門的な話になった時だ。私達は1つの意見を何人から聞いたか、ほとんど覚えていない。代わりに「どれほど聞き慣れているか」を重要視する。ある特定の意見をしばしば耳にしていると、私達はそれを多数派の意見だと思い込み、その意見を言っているのは誰かという疑問を抱かなくなっていく。
ある意見を多数派の意見だと思わせる事は、何度も繰り返せば、たった1人でもできる。脳にとっては、50人が1回ずつ同じ事を言っても、1人が50回同じ事を言っても変わらない。つまり、人に自分の思惑通りに行動して欲しい時は、できる限り文章や口頭でメッセージを繰り返すべきだ。
「信じやすい情報」にある4つの特徴
「わかりやすい」情報ほど真実だと思いやすい。脳は楽な情報を好む。
①覚えやすい名前をつける
②耳に心地良い音にする
③無用な飾りを捨て、読みやすくする
④相手自身に考えさせない
選択肢が少ない方が売れる
選択肢が多すぎると戸惑い、決断する事自体を諦めてしまう危険性がある。選択肢を少なくする大胆さを持てば、優柔不断な顧客はついてくる。本当にすべての選択肢を検討して欲しくて、削りたくない場合は、一度にすべての選択肢を提示しないこと。9つの選択肢がある場合、まず3つを提示して選ばせ、次に残りの3つを順番に提示し選ばせ、最後に選ばれた3つの中から再度1つを選ばせる。
先行する優れたライバルと同じやり方をとる
多くの受け取り手は、最初に植え付けられたメッセージは覚えていても、細かいところはほとんど記憶していない。そのため「先行者と全く同じやり方」で考え方を上書きするといい。同じキャンペーンの書体を使い、似たような写真を使い、同じようなBGMを使う。できる限り人々に先行者の事を思い出させながら、同じ行動をとる。こうすると、最初の製品と新しい製品につながりが生まれ、連想されるようになる。
「弱み」を見せた方が信頼される
私達は「ネガティブな可能性を自ら認める人」により信頼を置く。特に自分が詳しくないものの場合はそうだ。但し、弱みといっても決定的なものは明かしてはいけない。長所が弱みを補ってあまりある場合に限り、このやり方は有効になる。そのため、弱みを見せる時には、同時に自分の長所を説明し、相手の心をつかむといい。弱みを見せながら長所を説明すると、結果として弱みが気にならなくなり、正直で信頼の置ける人だと感じさせる事ができる。
相手が意見を口にする機会を減らす
人は自分の意見を口にするたびに、ますます強固に信じ込むようになる。そのため、誰かの心を動かしたい時は「相手がもともと持っている意見」に注意した方がいい。相手が意見を口にする機会を減らせば減らすほど、相手の意見を操作できる可能性は高まる。
気が散る環境にいると、人の意見に流されやすくなる
テレビを見ている相手の方が、ちゃんと話を聞いている相手よりはるかに説得しやすい。気が散った状態では1つの事に集中している時よりも、外部からの影響を受けたり、意見を変えたりしがちである。