SXの時代 究極の生き残り戦略としてのサステナビリティ経営

発刊
2021年4月8日
ページ数
408ページ
読了目安
496分
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推薦者

これからの企業に求められる経営
環境や社会と経済を両立させることが企業にとって必要不可欠になりつつある。今後、企業が社会や消費者から選ばれ、生き残るためにはサステナビリティを軸とした「サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)」が必要不可欠だとし、その処方箋を紹介しています。

SXの時代

気候変動や格差などの世界の課題が拡大し、その解決が待ったなしになる中、企業は「世界の課題を生み出す加害者」から「世界の課題を解決する協働者」となることが事業を存続させる上での必須条件となりつつある。その結果、今世界で急速に広がっているのが、サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)の動きだ。サステナビリティの先進企業は、次々とCO2排出ゼロを目標に打ち出している。しかも、企業内だけでなく、取引先を含めたサプライチェーン全体で、ビジネスの根幹から環境や社会に配慮するために、事業ポートフォリオやビジネスモデルを根本から見直し、事業自体を再創造しようとしている。

 

企業の経済的活動は、何らかの形で地球や環境、社会に負荷をかける。経済活動によって外部にかけた負荷は「外部不経済」と呼ばれる。これからの企業経営では、この「外部不経済」の責任をしっかり取っていく必要がある。

 

サステナビリティ経営とは

サステナビリティ経営とは「長期で利益を出し続けるために、リソース配分を行うこと」だ。長期で利益を出し続けるために必要なことは、その企業が長期にわたって市場から求められ続けること、第二に供給(原材料、知財、人材など)を長期的に維持すること、第三に社会からも信頼され続けることだ。

 

今、社会全体がサステナビリティ志向に大きく転換しようとしている。こうした状況の中で、サステナビリティ市場が生まれてくることが予想される。企業はこの新しい市場ニーズに応えながら、供給サイドを維持し、社会から信頼され、価値を生み出し続ける仕組みを整えていくことが、長期的な利益確保にとって必要不可欠になる。

 

現在、サステナビリティの考え方は、経済価値、社会価値、環境価値の3つの輪が重なり合うものと認識されるようになった。親亀(環境価値)が、子亀(社会価値)の上に乗り、孫亀(経済価値)がさらにその上に乗っている。親亀がこけたら皆こける。即ち、環境や社会が傷つき、毀損されたら、経済活動自身が成り立たなくなる。つまり、経済活動は環境、社会を前提としていて、それぞれが両立していなくてはいけないという考え方になった。

 

サステナビリティ経営の本質は、「単に何でもかんでも環境や社会に良いことをする」ことではない。親亀・子亀・孫亀の三重構造を認識・理解し、親亀がこけないように「事業基盤である環境・社会を維持・増強しながら、事業を持続的に成長させる」ことだ。

資源は無限にある、外部不経済は誰かが負担してくれるといった、これまでビジネスが前提としてきたことが急速に崩れつつある。それによって事業基盤が変わり、クライアントニーズが変わり、カネの流れが変わり、競合も変わろうとしている。このように変貌する外部環境の中で、企業はどのように適応し生き残れるか、戦略を考えなくてはならない。

 

トレードオフから抜け出す

SXとは、次の3つの集約される。

 

①トレードオン(環境・社会と経済の両立させる)事業を追求すること

②統合思考(外部環境を認識・理解した上で、その構造を断ち切る戦略を立案し実行する)で長期的戦略を考えること

③実現できる仕組みを構築すること

 

サステナビリティを追求しようとすると必ず「コストがかかる」「短期的に儲からない」「十分に儲からない」という壁に直面する。多くの企業は、何かを得るためには何かが犠牲になる、それは仕方がないこと、という「トレードオフ思考」にとらわれている。そこから抜け出し、他社に先駆けて「トレードオン」を実現すれば、競合に対して優位性を築くことができる。

 

「トレードオンを阻む壁」には、以下の5つがあり、それぞれをトレードオンに変えるためのヒントは以下の通りである。

 

①大量生産・大量消費じゃないと儲からない → 循環利用・廃棄レスで儲ける

  • モジュール化やas a serviceで顧客を囲い込む
  • アップサイクル、サーキュラー(資源循環)、シェアリングを活用する
  • 売上減でも利益増を狙う

 

②社会・環境投資は3年で回収できない → 長期的に儲ける準備をしつつ、評判・理解を得る

  • 魅力あるビジョンを掲げる
  • 長期投資家やユーザーを引きつける
  • 小さな成功を重ねて将来に備える
  • 成功パターンを他地域に応用する

 

③社会課題解決は事業の柱にはならない → スケールするための工夫を考える

  • テクノロジーで小さな市場をつなぐ
  • レイヤーを上げて事業化する
  • 地域や用途市場を拡大する

 

④市場制度・インフラが整うまで有効な手は打てない → 民主導・官民連携で新たなインフラを創る

  • 民でもインフラは整備できる
  • 開発途上国のインフラ未整備を逆用する
  • 官民連携のアプローチ(インフラ、ルールづくり)

 

⑤消費者の意識がまだ低く市場がない → 潜在市場にリーチして需要を掘り起こす

  • ライトグリーン層を狙う
  • 品質・機能やファッション性に妥協しない
  • 市場啓発と消費者教育で需要喚起する