インディペンデント・シンキング
もはや大企業の従業員であっても全身全霊のコミットメントの代償として、生涯の安定を得るということが当たり前ではなくなった。これからは個人の責任に基づくキャリアの構築が当たり前になる。所属組織にしすぎず、横並び、同質の人たちの中の序列を気にせずに、自分でキャリアを創造していく。自分でキャリアを構築していく上では、「どこに就職するか」よりも「自分は何をやることで価値を創造できるのか」という観点がより重要になる。
インディペンデント・シンキングとは、「所属組織に依存して、その組織に尽くすことで人生の後半にリターンを得ていく」という既存の思考、マインドからの決別のための思考法だ。どこに所属するかではなく、何をするか。人の作った序列と基準の中で汲々とするのではなく、自分の基準は自分で作る。
今の組織にいて自分の価値を高められるかを考える
いつでも外で活躍できるマインドとスキルを身につけていれば、たとえ企業が「いて欲しくない」と言っても慌てる必要はない。一方で、「いて欲しい」と言われても、社内だけで通用するような人材にはならないという覚悟も必要となる。社外に対しての自分の価値向上を継続することで、今でなくても、次の機会に外に飛び出す準備をしていくことを考える方がよい。
大事なのは、今の組織にいた場合に、一年後、N年後の自分の価値を、今よりも高められるのか否かだ。もし、そこに限界を感じたら、その時点で別の機会に移るというオプションを持っていることが重要だ。
共通価値を拡大し続けるために必要なこと
社内だけで通用する「社内価値」ではなく、どこでも通用する価値「共通価値」を拡大していくためには、まずは早い段階で外の海を見るという努力が必要だ。内向きに徹していては、共通価値が大事であるということには決して気づかない。20代から常に共通価値の拡大に努めていくことが必要だ。そして、共通価値の維持向上には継続的に学び続け、刺激的な環境の中に身を置き続けることが必要だ。
共通価値を拡大し続けるには、年齢を問わず、常に新たな知的刺激の中に身を置くことが大事だ。そして生涯にわたって継続して共通価値の向上に努めること。そのような環境がもし社内になければ、転出するか、あるいは副業として社外に求めてもよい。社内でも企業内起業の機会を得たり、あるいは海外の支店などで経営の力を試してみるということもあるかもしれない。あるいは不採算事業の立て直しなど、常に新たな領域に挑戦していくことではないか。
インディペンデント・シンキングを身につけるためには刺激的な環境に身を置きつつ継続的に学び続けることが不可欠だ。
自分の価値を算定せよ
インディペンデント・シンキングはインディペンデントな「マインド」と「スキル」の両方で成り立つものである。まずは「マインド」がなければ始まらない。マインドは組織の中にいても「独立した立場だったらこの場合に何と言うか」を考え、体験を積むことだ。
自分の行なっていることに対して、相手はいくら価値を認めているのだろうかを意識する。そうしなければ、自己満足に終わってしまう可能性がある。新しい稼ぐ力にもつながらない。
自分の提供価値を可視化する方法として、パーディアムを徹底する。これは自分の単位時間当たりの仕事に対して、相手にチャージする金額を決めることだ。このように考えれば、自分の「生産性」を上げていくにはどうするか、それは給与に見合った仕事というだけでなく、相手にとって認められる価値を提供するにはどうするかということが、行動の基準となる。